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「2020年という『前向きなしめきり』に向けて」

シブヤ大学学長 左京泰明さんインタビュー ~後篇~2014.07.10

左京泰明氏 特定非営利活動法人シブヤ大学 学長
左京泰明氏 特定非営利活動法人シブヤ大学 学長
左京泰明氏特定非営利活動法人シブヤ大学 学長
1979年生まれ。福岡県出身。早稲田大学卒業後、住友商事株式会社に入社。2005年に退社後、特定非営利活動法人グリーンバードを経て、2006年9月、特定非営利活動法人シブヤ大学を設立、現在に至る。著書に『シブヤ大学の教科書』(シブヤ大学=編 講談社)、『働かないひと。』(弘文堂)がある。

2020年という「前向きなしめきり」に向けて

渋谷区をキャンパスに見立て、生涯学習を軸に地域のコミュニケーションの促進や発展を目指すNPO法人「シブヤ大学」学長である左京泰明さんへのインタビュー。後篇では、音楽の街づくりプロジェクトとの出会い、そして2020年の東京オリンピック開催に向けて、日々変わりゆく渋谷という街への想いを伺いました。
シブヤ大学では、どうやって収益を上げていくかというビジネスプランについての議論はなされたのですか?
シブヤ大学を設立した2006年当時は企業のCSR活動が注目されていた時期だったので、たくさんの市民に愛されているサービスやソリューションを提案すれば、多くの企業から寄付金や協賛金が集まるのではないか、という協賛金モデルを考えていました。今となってはとても単純な考えで、一口100万円みたいな企画書を作っていたのですが、いざ資金を集めようとしてみるとそんなに上手くはいきませんでした。

そもそもCSR関連の部署はそんなに潤沢な予算をもっていませんでしたし、もし予算をもっていたとしても、彼らが出資するのは、国境なき医師団やユニセフのような、そこに寄付することで企業の評価につながるような、日本中が知っているグローバルな団体だったんです。もちろん、シブヤ大学のようなこれから始まる草の根のNPOに寄付するには、彼らとしても社内を説得することができなかったんです。

ですが、そうしたお話をしていくうちに「企業としての出資は難しい」と前置きしたうえで、個人的にシブヤ大学の未来を考えてくれる方々が現れ始め、非常にうれしく思いました。そうした議論を続けていくなかで出てきたのが、例えば東急ハンズがスポンサードしてDIY(Do It Yourself)のおもしろさを伝える講座を開くというような、ひとつの授業を企業と連携して行う「冠授業」とでも言うような手法です。これは現在でも我々のビジネスモデルの大きな部分を占めているアイデアです。
音楽の街づくりプロジェクトも佐藤雅樹が登壇し、授業を行ないました。 音楽の街づくりプロジェクトも佐藤雅樹が登壇し、授業を行ないました。
渋谷という街を含め、これまで活動してきたなかで何かが変わったという実感はありますか?
2007年に『シブヤ大学の教科書』という、シブヤ大学立ち上げの経緯や展望を書いた本を講談社から出したのですが、当時本屋に見に行ってもビジネスコーナーには見当たらなかったんです。それでよく探してみたら、なんとサブカルコーナーに置いてあって(笑)でも今は本屋の真ん中に「ソーシャル」とか「コミュニティー」といったコーナーがあるんですよね。10年も満たない間に社会はここまで変わるのかと驚かされます。

そして、シブヤ大学のように街の名前を冠して大学活動を行うというプロジェクトも、気がつけば全国色々なところで始まっているらしく、昨年取材を受けた『ソトコト』という雑誌では、ソーシャル系大学特集が組まれていてびっくりしました。そこで「ソーシャル系大学の元祖といえばシブヤ大学」と書かれていて、そうか僕らは元祖なのかと思いました(笑)
音楽の街づくりプロジェクトとはどのようなきっかけで出会われたのでしょうか?
仙台の市民音楽祭「定禅寺ストリートジャズフェスティバル(JSF)」ですね。シブヤ大学の活動の一環で、Sing! 恵比寿という社会人合唱団がJSFに参加していまして、それがきっかけでした。
街の活性化施策として映画祭や音楽祭といったアートを使うという事例は、世界的に見れば決して珍しいわけではありませんが、音楽の街づくりプロジェクトはヤマハという音楽を扱う企業が主体となって始めていて、なおかつ商売っぽくないという点にとても興味を喚起されました。
左京泰明氏 佐藤雅樹氏
これから再開発によって渋谷が激変していくと思うのですが、シブヤ大学はこの流れにどのように関わっていきたいとお考えですか?
今の渋谷には、再開発やオリンピックを起点とした動きがありますけれども、僕らはそれを「前向きなしめきり」と思っています。社会課題はすぐに解決する問題ばかりでもないですし、取り組みがゆっくり過ぎることも多々ありますが、今回のオリンピックのような具体的な目標地点があれば「その頃までにこうしていたい」という、ある程度具体的な目標やビジョンが見えてくるんですよね。そしてそれは周辺の企業や団体も共有できる、わかりやすい目標となるわけです。だから、今みんなで何かをしようという素地として、やりやすい状況にあると思っています。

ただしオリンピックや再開発は通過地点であってゴールではないんですよね。ですから根本的にやらなければいかなかった課題を、ひとまずしめきりを設けてみんなでやろうということだと思います。あくまでビジョンは長期的に持ち、「渋谷という街を日本の街づくりのモデルケースにしたい」という想いのもとに活動していきたいと思っています。 そして音楽の街づくりプロジェクトと協同で実施する「渋谷ズンチャカ!」も、その萌芽のうちの一つになればと思います。
シブヤズンチャカ 渋谷ズンチャカ! 公式ページ
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我々が「おとまち」を始めるときに、関連してくるであろう団体を色々と考えていました。その頃から、キャンパスを持たない"大学"として、シブヤ大学をよく耳にしていましたし、その取り組みが、街づくりの方向性という事もあり、私たち「おとまち」が学ぶところがたくさんあるだろうと考えていた訳です。シブヤ大学のノウハウは全国で活用されるべきものとも考えていました。

そして渋谷再開発が始まるというこのタイミングで「渋谷ズンチャカ!」というイベントを始めるなら、それはもう左京さんたちと一緒にやるしかないと思ったんですよ。
おとまち/佐藤雅樹
おとまち/佐藤雅樹
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