YH-C3000 開発ストーリー
開発者がYH-C3000に込めた想い
-YH-C3000の発想の原点-
“これまで幾度となく聴いてきた曲も、このヘッドホンで聴けば新たな発見と歓びに出会える”──YH-C3000では音質から装着性、デザインに至るまで、あらゆる要素に徹底してこだわり抜きました。すべてを忘れて音楽に没頭する、豊かでかけがえのない時間に、このYH-C3000が寄り添えることを心から願っています。
波多野 亮
モデル開発主務者
“深く、長く、時間を忘れて音楽に没入できる”──そんな体験を実現するために、YH-C3000では密閉型ヘッドホンとしての最適解を追求しました。一見シンプルに見える筐体の中には、私たちの挑戦と工夫が凝縮されています。美しい木製ハウジングが生み出す空間の中で、生き生きと躍動する音楽に何度も身を委ねてみてください。きっと、楽曲の新たな魅力に出会えるはずです。
音楽に感動することは、自らの感性を確かめるような体験でもあると思います。このヘッドホンが皆さんの感性のそばに寄り添う存在となれたなら、これ以上に嬉しいことはありません。
中嶋 弘
振動板研究開発担当
アルモダイナミックドライバーに採用した振動板は、約10年にわたる開発を経て、ついに製品として実装されたヤマハの自信作です。今回の振動板では、良い音を鳴らすために欠かせない「剛性」「軽量性」「内部損失」という3要素をバランス良く備えるため、単一素材ではなく、特性の異なる層を組み合わせて一枚の振動板として成型するという方法を考案しました。これにより、高い応答性を持ちながらも、解像度に優れ、滑らかで自然な音色を実現しています。
長い年月をかけて育ててきた技術が、こうして初めて形となったことは非常に感慨深く、1人でも多くの方にこのYH-C3000で音楽を楽しんでいただければ幸いです。
Yamaha High-end Headphones YH-C3000 | MESSAGE FROM THE DEVELOPERS
アルモダイナミックライバーのすべて
― 音楽の新しい感動を求めて
アルモダイナミックライバーには、楽器ブランド・ヤマハならではの独自技術と 音楽への深い想いが込められています。完成までに約10年の歳月を費やしたこのドライバーについて、その名前の由来から詳しい技術情報、さらには開発の裏話まで余すことなくご紹介します。
アルモダイナミック― その名前の由来
アルモダイナミックライバーの「アルモ」は、イタリア語で“調和”や“ハーモニー”を意味する音楽用語「アルモニア(Armonia)」に由来しています。世界一*¹の強度を誇るPBO繊維ザイロン®*²をはじめ、異なる特性をもつ複数の素材を絶妙なバランスで組み合わせることで、振動板に求められる「剛性」「軽さ」「内部損失」といった要素を高次元で 実現。こうして生まれた振動板が奏でるのは、スムースでありながら、密度感と開放感を 両立させた 全てが調和した音です。その思想を体現する名前として、このドライバーは「アルモダイナミック」と名付けられました。
*1「現存する有機繊維の中での比較データ(2025年7月時点、東洋紡エムシー調べ)」
*2 ザイロン東洋紡エムシー株式会社の登録商標です。(MHC25029)
複数の素材を組み合わせた3層構造の独自振動板
アルモダイナミックライバーに採用された新開発の振動板は、異なる音響特性を持つ素材を組み合わせた独自の3層構造によって、一体化された設計となっています。外層は、高い応答性能と解像度を実現するため、PBO繊維ザイロン、紙、樹脂を配合した高弾性層。内部層には、軽量化と適度な内部損失を両立する、紙と樹脂を配合して発泡させた層を配置。 この軽量発泡層を高弾性層で挟み込む構造により、単一素材・一層構造の振動板では到達し得ない より滑らかで理想的な音響特性を持つ振動板を 実現しました。
10年以上にわたる試作と研究の末に完成
「アルモダイナミックドライバー」 開発の起点は、2011年にまで遡ります。 開発テーマとして“軽くてかたい振動板”が追及され、 その実現には 、構造全体での工夫が必要でした。
そこで、自然界の竹や鳥の骨格、さらに航空宇宙材料で採用される「サンドイッチ構造」をヒント に、軽量化と高剛性を両立させる技術を模索していました。転機となったのは、包装資材の特許に着目し、その構造を応用した新素材の採用です。通常の音響開発では注目されない分野の素材にたどり着いたのは のは、異分野での研究経験を持つ開発者ならではの柔軟な視点によるものでした。さらに、スピーカーでも採用されるPBO繊維ザイロンをこの振動板に混合したことで、音質が飛躍的に向上。こうして、複合素材を使用した混抄紙 による積層構造振動板が確立されました。その後も、この技術をヘッドホン に最適化するため、材料配合や層構成を細部にわたって調整を繰り返しました。
こうして完成した振動板の性能を最大限に引き出し、 製品化に向けて試行錯誤することで 、ついに「アルモダイナミックドライバー」として実現 しました。
叶えたのは、ヤマハヘッドホンの新しい音、音楽に深く没入できる体験
幾多の困難を乗り越えて完成した新開発のアルモダイナミックドライバー。これによって実現したのは、応答性や解像度に優れつつ、 密度感と開放感を 両立した調和のとれた サウンドです。 アーティストが想いを込めて奏でた1音1音をありのままに楽しむことができ、音楽の躍動感や臨場感を味わいながら、全てを忘れ音の世界へ深くいざないます。
これまでにない音と出会い、音楽をもっと自由に、もっと深く楽しんでください。