2.ユニット/音づくり

NS-700 Series / NS-700シリーズの音とスタイリングを語る

2. ユニット/音づくり / Soavoの優れた基本設計を受け継ぎながら700シリーズらしい「聴く楽しさ」を表現する

それでは、次に製品の中身についてお話を伺いたいと思います。今回の700シリーズに搭載されたスピーカーユニットはウーファーがA-PMD、ツィーターが DC-ダイヤフラムで、これはSoavoと同じ仕様ですね。

飛世: はい。振動板材質など基本構成の部分には、これまで実績を積んだものを多く使っています。

考えてみれば、A-PMDウーファーとDC-ダイヤフラムツィーターの組み合わせというのはSoavoだけでなく、525シリーズまで遡っても同じですね。もちろんユニットの設計はだいぶ違うんでしょうけど。

岡崎: そうですね。ユニット自体はすべて700シリーズのために新開発しています。Soavoとの違いは、ミッドレンジのマグネットがネオジウムからフェライトに変わること、全ユニットのボイスコイルが平角のリボン線から丸線に、そしてサラウンドの材料が変わることですね。

ああ、それはなかなか贅沢ですね。それではネットワークの部分はどうですか? 上へ

NS-F700ウーファー構造図

飛世: 完全な3ウェイ構成でフィルターは二次、という点ではSoavoや525シリーズと同じですが、もちろんパーツなどはユニットに合わせて吟味しています。詳しいことを説明すると長くなってしまいますが、525シリーズに比べると構成パーツのグレードはユニットに合わせてレベルアップしています。 下へ

ツィーターの周囲にフェルトのようなものが貼ってありますが、これも効きそうですね。

飛世: これはアコ-スティックアブソ-バーと言いまして、ツィーターを支えるフレーム部の共振などをコントロールする音響効果があるんです。

かつてのNS-10MやNS-1 classicsと同じアイディアですね。デザイン上もヤマハらしくて、良いアクセントになっているじゃないですか。

飛世: そうですね。Soavoではツィーター周囲のバッフルをアルミダイキャストの一体成形にしてキャビネットからの共振を抑えているんですが、700シリーズではデザインやコストの面も考慮して、伝統的な手法で同様の効果を狙いました。

なるほどね。でも、こういうディテールの部分を除けば、やはりSoavoと700シリーズには技術的な共通点が多いですよね。その割に、出てくる音のキャラクターはかなり違うじゃないですか。絶対的な音のクォリティではSoavoのほうが上手だなあ、と思いますけど、700シリーズには独特の潔さというか、音楽をうまく整理して聴かせる良さがあるでしょう。特にロックやポップスが好きな人だったら、「Soavoもいいけど、700は700でいいなあ」と思うでしょうね。 上へ

岡崎: そう思っていただけるといいですね。まあ、そういう音づくりですから、結果的に音楽だけじゃなくて映画もかなり楽しめる音に仕上がっています。たとえばアクション映画とか、サブウーファーを組み合わせてマルチで再生すると、純粋なシアターサウンドとして見ても相当にハイレベルなものがありますよ。

飛世: さっきの繰り返しになってしまいますが、スピーカーの世界ではHiFiとシアターの境界線が本当になくなってきているんだな、ということが、この700シリーズを聴いていただけばよくわかると思います。