THINKING ABOUT HEARING HEALTH

LOVE MUSIC, FOR A LIFETIME

ヤマハは創業以来、音楽と音を通じて、心と生活を豊かにしてきました。音楽を愛するあなたに、これからもずっと良い音で音楽を楽しんでいただけるように、耳に配慮した音楽との付き合い方を紹介します。

難聴のリスクは身近なもの

WHO(世界保健機関)が発表したレポート*では、世界の若年層(12歳~35歳)のおよそ半数にあたる約11億人が難聴になるリスクを抱えており、何らかの対策を取らない限りその人数は増加していくと予測しています。ヘッドホン、イヤホンで大音量の音楽を長時間にわたり聴き続けることや、屋内外のイベントで大音量にさらされることで耳に大きな負担がかかり、難聴リスクが高まるとも警告しています。

*「New WHO-ITU standard aims to prevent hearing loss among 1.1 billion young people」(2019年2月)

音楽リスニングの音量レベルについて

大音量で音楽を聴き続けると、当然ながら聴力にダメージを与えます。そこで、ヘッドホンやイヤホン、音楽プレーヤーなど、音源からの出力レベルを下げようという動きがあります。特にヨーロッパでは、最大音圧レベルを100dB以下に制限する国際規格が導入されています。また、ライブやコンサート会場、イベントなどで音量規制が行われることもあり、過剰な音量から耳を守るためのさまざまな取り組みが世界的に行われています。

日常的な音の大きさとは?

ヘッドホンやイヤホンでの音の感じ方を理解するためには、日常的な音の大きさを知ることが重要です。音が100dBを超えると、耳に負担がかかります。130dBになると、聴力にダメージを与えるほどの音量になります。

最適な音量とリスニングの時間

耳に負担を掛けずに音楽を楽しむ場合、音量の大きさと聴取時間の両方を考慮する必要があります。成人の場合、走行中の電車内の騒音と同程度の「80デシベル」の音量なら1週間に40時間程度、子どもの場合は、「75デシベル」で同程度の時間が限界だと言われています。難聴リスクを避けるためにも、適正な音量と時間を守るように心がけましょう。*

*表の値は目安です。環境によって時間や音量が異なる場合があります。

参考

ITU-T H.870 “Guidelines for safe listening devices/systems”- ITU (International Telecommunication Union)

LOOKING OUT FOR YOUR EARS

耳にも休息時間を

あなたの耳は日常の音でも疲れます。音楽を聴くだけでなく 特に騒音にさらされる環境では、静かな時間を過ごすことが大切です。そんな時は耳栓を検討してみてください。耳栓は、特定の周波数帯をブロックし、必要な音だけを取り込むといった工夫がされたものもあります。

音量に配慮した音楽リスニング

周囲の騒音が大きいと、気づかないうちに危険なレベルまで音量を上げてしまいたくなるものです。時々、リスニング中の音量を確認するようにしましょう。

耳に負担をかけないイヤホン・ヘッドホンを選ぶ

ヤマハのイヤホン・ヘッドホンに搭載された独自の「リスニングケア」機能により、小さな音量でも高音質で音楽を存分に楽しむことができます。人間の耳の聴覚特性上、小さい音量で音楽を聴くと高域や低域に物足りなさを感じることがあります。そのため、これらの周波数をよりよく聴くために、不用意にレベルを上げてしまうことがあります。リスニングケアは、音量をモニターし、音楽本来のバランスを保ちながら、聴き取りにくい高音域や低音域を最適に補正します。その結果、過剰なレベルによる耳の負担を軽減するだけでなく、聴きやすいサウンドを自然に再現します。また、ノイズキャンセル機能を搭載したヘッドホンやイヤホンがあります。周囲の騒音をこのような機能を使って下げることもリスニング音量の抑制に効果があります。

専門家の声

須山 慶太 / Keita SUYAMA

セーフリスニング事務局(株式会社須山歯研)

いつまでも良い音で音楽を楽しむために

イヤホン、ヘッドホンでの音楽鑑賞やライブコンサート参加、楽器演奏など、私たちは様々なかたちで音楽に関わり楽しんでいます。一方、それを受け取る耳やその役割についてはあまり気にすることがないかも知れません。 音楽に没頭するとつい大きな音で長時間聴き続けてしまうこともあるのではないでしょうか。気軽に楽しむことができるスマートホンとワイヤレスイヤホンで、意識しないまま危険な環境で使ってしまうことも。

「じゃあ音楽は聴かない」、「大きな音を控える」のではなく、どうすれば音楽を最大限満喫し、いつまでも良い音で楽しむことができるのか?音と音楽に深く関わるヤマハが音楽体験と聴覚保護の両立について、踏み込んだ提案を行うことで、安全な環境での使用についてのヒントとなる、ひとつのきっかけになることを期待しています。

大和谷 崇 / Takashi YAMATODANI

医学博士、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会

厚生労働省補聴器適合判定医師

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会補聴器相談医

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定騒音性難聴担当医

耳の健康を考えたリスニング習慣を

大きな音にさらされることで起こる難聴や耳鳴りを音響性聴器障害(騒音性難聴)と呼び、以前は騒音の中で働く人たちに多く発症していました。ところが、ポータブルオーディオやスマートフォンの急速な普及などにより、イヤホンやヘッドホンで長時間大音量を聞き続けることによって起こる難聴や耳鳴り(イヤホン難聴あるいはヘッドホン難聴)が近年問題となってきています。一般に、走行中の車両内における騒音程度である80dB(デシベル)以上の音を長時間聞き続けると難聴を来す危険があるとされていますが、音が直接耳の中へ入るイヤホンやヘッドホンはさらに注意が必要となります。

耳から入った音(空気の振動)は内耳の蝸牛(かぎゅう)という器官にある有毛細胞により振動から電気の信号に変えられて脳へ伝わります。この有毛細胞はとても繊細で、大きな音の刺激を長時間受けることによって徐々に壊れてしまい、数が減っていきます。一度壊れてしまった有毛細胞は再生しないため、症状を自覚した時にはすでに難聴や耳鳴りが治らない状態であることがよくあります。

イヤホン難聴を防ぐために、WHOは「音量を上げない」、「連続して長時間聴かず、休憩を入れる」、「一日の使用時間を制限する」と推奨しており、また、周囲雑音の大きい環境下でも音量を上げずに聞こえるように「ノイズキャンセリング機能のついたイヤホン・ヘッドホンを使用する」ことも勧めています。

楽器や音響製品を長く作り続けているヤマハが、今後もより安心して音楽や音を楽しんでいただきたいと、今までにない聴覚保護を考えたイヤホンやヘッドホンなどの音響製品を作り続けていくことに、私たち聴覚を扱う専門家としても大いに期待したいと思います。

この感動が

あなたとともに

いつまでも