SATOKOが教えるドラムの基本 ~もっとドラムと仲良くなろう!

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ポップスやジャズの曲などで大活躍するドラムセット。しかし、吹奏楽では経験者が少ないせいか、セッティングや奏法がわからなくて困っている人もたくさんいるようです。そこで今回は、FUZZY CONTROLのドラマーとしてデビューし、DREAMS COME TRUEなどのサポートで活躍するSATOKOさんに、ドラムのセッティングの基本や電子ドラムを使った画期的な練習法を聞きました。

 

長時間リラックスして叩ける セッティングが基本です

 両手両足を使って複数の打楽器を1人で演奏するドラムセット。そのセッティングに関しては、他の楽器のような絶対的基準がなく、奏者の体格や演奏内容によって少しずつ異なるところが、とくに初心者にとっては難しいと感じる点でしょう。しかし見方を変えれば、最低限のポイントさえ押さえておけば大丈夫という、良い意味での「ゆるさ」があるとも言えます。
 吹奏楽部とコラボレーションする機会も多いというSATOKOさんに、その最低限のポイントを尋ねると「リラックスして叩けること」という答えが返ってきました。
 「いろいろな吹奏楽部を見ていますが、ずいぶん叩きにくそうなセッティングになっていることも多くて(笑)。椅子の高さ1つにしても、〝高いな〟とか〝低いな〟と感じる状態だとリラックスできないので、そういうところをバロメーターにしてセッティングしてみることをお薦めします」
 とはいえ、ドラムに慣れていないうちは、リラックスすること自体が難しい話。最初から適切なセッティングができなくても気にすることはありません。演奏経験を重ねる中で少しずつ自分に合ったセッティングを見つけていけばいいのです。その出発点として、SATOKOさんが話してくれたセッティングのポイントを下にまとめたので、参考にしてみてください。
 「まず椅子とスネアの位置を決めて、それに合わせて他のパーツを調整していくといいですね。あとは、演奏前にいろんなところの調整ネジが緩んでいないか確認することも大切です。ネジの締めすぎにも注意してください」

ドラムのセッティング、ここがポイント!

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1)ハイハット「椅子に座ったときに、バスドラムのペダルと左右対称になるように置きましょう。高さは、座ったときの胸の位置より低ければ大丈夫。あまり高すぎると、スティックのショルダーを使った大きな音しか使えなくなるので、チップでも叩けるちょうどいい高さを探してみてください」

2)スネアドラム「椅子の位置と高さを決めた状態で、ペダルに足を置いて真ん中にスネアがくるようにします。レギュラーグリップで演奏する人は奥側に傾けることが多いですが、最近は手前に倒す人が増えているみたい。手前に倒しすぎるとリムショットがしづらくなるので、普通のショットとどちらをよく使うか考えて調整しましょう。あと、スナッピーのスイッチは演奏するときだけONにする習慣をつけておくのがいいです」

3)椅子「長時間叩いても疲れない高さとして、学習机に座った状態に近付けるのが良いとされています。また、ドラムから遠すぎても近すぎても叩きづらくなるので、自然な足の動きでペダルを踏めるくらいの位置に置きます」

4)シンバル「水平にするほど音が大きく、手前に傾けるほどスティックのチップを使った繊細な演奏をしやすくなります。吹奏楽では少しだけ手前に傾けることが多いですね。また、高くすると華やかに見えますが、叩くときに肘が伸び切ってしまうような状態は良くないです。常に視界の中にあって、確実に叩ける位置に置くことを薦めます」

5)タムタム「打面の中心を自然に叩けるようにセッティングするのがポイントです。傾け具合いによって叩きやすさや音質も変わりますが、手首が固いと感じる人は、あまり角度をつけすぎない方がいいと思います。あと、バスドラムに接触しないように注意!」

6)フロアタム「高さはスネアドラムとほとんど同じか、ほんの少し低いくらい。3本脚のうち1本を自分の方に向けて、わずかに手前に傾けると叩きやすいです」

7)バスドラム「床の状態にもよりますが、演奏中にバスドラムがどんどんズレてしまう場合、2本の脚の長さを同じにせず、ほんの1~2mm程度変えると解決することがあります。ペダルはしっかり取り付けないと、演奏中に外れてしまうこともあるので注意しましょう

電子ドラムを使うとこんな練習ができる!

クリックに合わせた反復練習を 1人でも楽しく行なえます

 近年は電子ドラムの性能が向上し、アコースティックドラムと比べても遜色のない演奏感を実現しています。電子ドラムならではのメリットも多く、練習や本番でおおいに活用できます。
 「ドラムは音量が大きくて練習しづらいんですよね。吹奏楽部では、1年生はスティックで机とかを叩くだけで、ドラムを叩かせてもらえないこともあるし。でも電子ドラムなら周りを気にせず叩けるし、1個1個のパッドを練習台として使えば、1台のセットで何人も同時に練習できます」

 また、電子ドラムには練習に役立つトレーニング機能を備えたものもあります。ここではヤマハのDTX502シリーズに搭載された8つのトレーニング機能の中から、特に注目したい2つを紹介していただきましょう。
 「吹奏楽で何よりも重視される正確さを鍛えるには、クリック(メトロノーム)に合わせた反復練習に尽きます。そこで役立つのが、クリックに合っているときだけ叩いた音が鳴るリズムゲート機能。初心者は自分の演奏が合っているかどうか、なかなか判断できないものですが、これなら音が鳴る/鳴らないではっきりわかるので、1人でも練習できます。難度を4段階で設定できるのもいいですね。最も難度が高いモードは、私でもちょっと難しいくらいなので、できなくてもがっかりしなくていいです(笑)。叩いた後には点数が出て、ゲーム感覚でも楽しめます。
 もう1つは、特定の小節だけクリックの音を消すメジャーブレーク機能。ドラムは曲の節目に入るフィルインのところでリズムが乱れがちなので、そこでクリックが消えるように設定して、フィルインの前後でテンポをキープする能力を養うことができます。これもかなり練習になりますね」

豊富な内蔵音色を使って いろいろな曲を演奏できます

 こうした機能以外にも、電子ドラムを使う利点はたくさんあるとSATOKOさんは力説します。
 「ドラムからパーカッションまで、いろいろな音色が内蔵されていて、とにかく楽しい!
 持っていないパーカッションが必要なときも、電子ドラムで代用できるので、演奏曲のレパートリーを増やせます。ドラムはきちんとチューニングされた音が入っているから、初心者でもきれいな音で演奏できるし、アコースティックドラムの音を調整するときの参考にもなります。
 打面に特殊なシリコン素材を使ったパッド(DTX-PAD)は、叩いたときの生音が静かなのに、感触はアコースティックドラムにとても近い。演奏の強弱もしっかり拾ってくれます。
 セット全体の大きさがコンパクトなので、部室に置いても邪魔にならないと思います。でも、叩くのが楽しすぎて取り合いになっちゃうかも(笑)」

Profile

1982年9月10日生まれ。13歳でドラムを始め、様々なバンドやセッションに参加し始める。FUZZY CONTROLのメンバーとして、ドラムコーラスと作詞を担当。ドラムのワークショップを全国各地で展開する傍ら、DREAMS COME TRUE、稲葉浩志、吉川晃司、花澤香菜等、多岐に渡るアーティストのサポートも行っている。2015年9月、自身初の絵画個展を東名阪で開催。LINEスタンプを同時リリースする等、音楽活動に加え作家としても精力的に活動している。2016年1月より稲葉浩志のライヴサポートが決定している。

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