荘村清志 CGシリーズを語る

日本のクラシックギター界の第一人者であり、NHK教育テレビ「ギターを弾こう」(1974年)、同「趣味悠々」(2007年夏)講師としてもおなじみ。2009年にはデビュー40年を迎え、ますます円熟味を増している荘村清志さんに、クラシックギターのニューモデル「CG192S」と「CG192C」をご試奏いただき、感想をうかがいました。

立ち上がりがよく明瞭な音。クオリティの高さに驚きました

(試奏が終わって)うん、とてもいいですね。本当に普及価格帯のモデルなのですか?(笑) 次のリサイタルで使いたいぐらいの出来だね(笑)。音が非常にクリアで、一つ一つの音がしっかりしているのが特にいいと思います。普及モデルの音は一般的に言えば「少し曖昧でボケた音」という印象があるのですが、このモデルの音は明瞭でしっかりと鳴っていますね。感心しました。

弦高が低いから、押弦しやすく初心者も弾きやすいはず

それから、弦高が低く押弦しやすい点も素晴らしいと思います。普及モデルはたいてい弦高が高めですが、このモデルは弦高が低いので弦が柔らかくて押さえやすい。初心者のためにもこれはいいことだと思います。指が痛くなりませんからね。素晴らしいのは結構強く弾いても音にビリつきがないことです。胴の構造がよく考えられているのだと思います。

フォルテシモにもピアニシモにも応えてくれる

強く弾いてもビリつかない、というのはギターの演奏上のダイナミックレンジに関わってくる大切な点です。強く弾いた時にビリついた不快な音が出てしまうのなら、その大きさの音は使えないということになります。フォルテシモの上限がそこに抑えられてしまうんですね。その点、このモデルは通常の普及モデルよりも強く弾けると思いました。タッチが強くても雑音にならずに、しっかりと振動がボディに伝わって明瞭な音が出てきます。また弱音も大切な要素で、ピアニッシモで弾いてみてボソボソした音だと、これも演奏で使えません。このギターは弱く弾いたときもポーンとしっかり音が出ています。

価格以上のクオリティが詰まっていて、自信を持って推薦できるギター

全体的にデザインもシンプルになって、明るい感じでいいですね。サウンドホールの象嵌も綺麗だと思います。今回は表板がスプルースのCG192Sと表板が米杉CG192Cを両方試奏しましたが、僕の個人的な好みで言えばスプルースのSタイプが良かったです。Cの米杉もよく音が鳴っていましたが、スプルースの明るくてクリアな音が気に入りました。いずれにしても、クオリティは非常に高いですね。価格以上の価値があると思います。クラシックギターを始められる初心者の方に、自信をもって推薦できるギターです。

いつはじめても一生楽しめるのがクラシックギター魅力

クラシックギターはソロ楽器でもあるし、伴奏もできるし、いろんな楽しみ方があります。また難易度も簡単な曲から難しい曲までいろんな曲がありますから、多くの方にクラシックギターを楽しんでもらいと思います。ただクラシックギターって、いっぺんには上達できないん楽器なんです。弾けるようになるまでそれなりに時間がかかりますので、過程を楽しんで、焦らずにじっくりと時間をかけて「積み重ね」を大事にしてほしいと思います。積み重ねてみてはじめて、一年前、二年前を振り返ると上達が分かるんです。ああ、こんなに弾けるようになったんだなって。以前NHKの趣味悠々で中高年の方にギターをレッスンしましたが、ギターなら50歳から始めても70歳までの20年で上達します。年をとってもいつまでも成長できる楽器なんです。自分が努力すればそれだけ帰って来る楽器ですから、クラシックギターは一生楽しめると思います。

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profile : 荘村清志

9歳より父・荘村正人に学び、後に小原安正に師事。1963年、来日したナルシソ・イエペスに認められ、翌年にはスペインに渡り4年間イエペスに師事。1971年、イタリアで開かれた世界青少年協会国際フェスティヴァルに日本代表ギタリストとして参加、 この成功により北米各都市で28回にのぼる公演を開き、国際的評価を不動のものにした。1974年NHK教育テレビ「ギターを弾こう」に講師として出演し、一躍全国にその名が知られることになった。 2007年にはNHK教育テレビ「趣味悠々」の講師として再登場した。現在、東京音楽大学客員教授。