マーチングバスドラムについて

マーチングでは、サイズの違うバスドラムを一台ずつメンバーが担ぎ、一つのフレーズを演奏します。小中学生が使用する場合、サイズは体力的に恵まれた男子で28”を最大限と考え、一般的には最大を26”と考えます。大人では32”まで使われることもあります。

コンサートのバスドラムと違い左右両面を打って演奏し、テナードラムのような細かいフレーズを打つので、バスドラム特有の長く響く残響音をミュートでカットするのが一般的ですが、コンサート楽器の延長として取り扱う場合は例外です。

バスドラムのサイズに応じてマレットのヘッドの大きさを選びます。小さいサイズのバスドラムはシャープなアタック音が必要で、大きいサイズのバスドラムには深みのあるパワフルな音が必要です。曲に応じてハードとソフトを使い分けます。

叩き方の基本

叩く位置

叩く位置

基本はA(センター)で演奏します。ただ、リムに近付くにつれ音の立ち上がりが鋭くなるため、バスロールなどはあえてセンターを外して叩きます。これはコンサートバスドラムのロールと同じように考えます。

マレットの持ち方

マレットの持ち方

マーチングバスドラムは画像のように、スネアドラムのマッチドリップでの持ち方をそのまま縦に起こしたような角度に構えます。この時マレットヘッドが垂れ下がらないように注意してください。

叩き方と演奏上の注意

良い例 悪い例

(a)演奏中でもセットアップの時の手首の角度を変えず、手首の回転を使って叩きます。

マルチバスドラムでの注意

(a)1台~2台のバスドラムでビートを叩くだけの役割から進歩して、近年のマーチングでは、細かいリズムを演奏するようになってきました。同時に、3台~5台のバスドラムが各々異なるピッチにチューニングされてランニングベースを演奏、文字通りベースの役割を演ずるまでになっています。

(b)マルチベースの醍醐味は、3台~5台のバスドラムの音が、あたかも1人で演奏しているかのように、スムーズにつながる点にあります。メンバーの呼吸がぴったり合えば、最高にカッコよくなります。

(c)バスドラム4台のアレンジ譜を、3台のバスドラムに再アレンジする場合には、中2台を1人で受け持ったり、上2台を1人で受け持ったり、メンバーの実力を加味しながら縮めてゆきます。

(d)人選

サイズの異なったバスドラムには、簡単な役割があります。通常は身長等で振り分けますが、次のような事項を考慮に入れてください。

  • 1番小さいサイズのバスドラムは、フレーズのきっかけが主な仕事です。
  • 1番大きなサイズのバスドラムは、フレーズの締めくくりのボリュームのある音を求められます。
  • 2番、3番は、シンコペーションや裏拍が多くリズムの要となり、又、練習中前後に声を掛けやすいのでリーダー的ポジションになります。

(e)トレーニング

リズムを分けて叩く場合で(特にシンコペーション)タイミングがずれてしまうのがバスドラムの演奏で一番頭を悩ます事です。これはお互いが他人のリズムを聴きすぎて遅れてしまうのが、大きな原因の1つで、これを解消するには個々が自分のパートを1人でも指揮のメトロノームに合わせて演奏できるようにし、全員で合わすときも、他のメンバーのミスに左右されないようにすることが大切です。