精華女子高等学校 櫻内教昭先生

バンド紹介をお願い致します。

本校吹奏楽部は、1978年に創部し今年で創部43年。学校、保護者の温かいご支援のもと、顧問の先生方と152名の部員で活動しております。この部活動では、友情の大切さ、人間として必要な社会性や人間性を学び、感動する音楽作りを最大の目標としています。「明るく・楽しく・元気よく、今できる最高の演奏、演技を!」をスローガンに、よい活動、すばらしいステージを目指し毎日練習に励んでいます。 
 現在の活動は、吹奏楽コンクール、マーチングコンテストをはじめ、各種イベントや地域行事に出演し音楽の楽しさや感動を伝えることを目標に、年間の演奏回数は数十回にも及んでいます。中でも、1年の集大成である定期演奏会は、2日間の4回公演で、魅せて楽しませて、感動するステージを目指し、コンサートだけでなく、ミュージカルや合唱、マーチングに取り組んでいます。九州内外からも足を運んでくださるほど好評を頂いています。
 これまでに、全日本吹奏楽コンクール22回出場のうち金賞13回銀賞9回、全日本マーチングコンテスト21回出場しすべて金賞。1988年東南アジア吹奏楽指導者協会チェンマイ総会記念演奏会出場。1999年には世界マーチングバンド大会(オーストラリア・シドニー)でワールドチャンピオン受賞。2006年のローズパレード遠征では、ホリデーボウル・ミュージック・フェスティバルで総合1位を獲得。また、ローズパレードでも、高い評価を得ました。さらに、2006年に行われたマーチング世界大会(韓国)では、パレード部門でワールドチャンピオンを受賞、マーチングショー部門では高校生の部第1位を獲得など、国内外でも数々の経歴があり、全国でもトップクラスのバンドとして活動しています。
平成22年度は、コンクールの規定により、国内のコンクールに出場できなかったため、5月2日上海万博においてパレード出演をし、12月15日~18日にシカゴで行なわれたミッドウエストバンドクリニックに招待を受け、満員の聴衆のスタンディングオベーションにより迎えられました。

平成26年度には、第29回日本ゴールドディスク大賞~アルバム賞~クラシック・アルバム・オブ・ザ・イヤーを受賞しました。 昨年度は、大阪城ホールにて行われた第32回全日本マーチングコンテストにおいて、金賞を受賞することができました。

精華女子高等学校 吹奏楽部ホームページ  https://seikabrass.com/

先生のプロフィール

島根大学教育学部特別教科(音楽)教員養成課程卒業。トロンボーンを小林泰一郎、田中昭、宮本敬司の各氏に師事。島根県の公立中学校教員として吹奏楽コンクール中国大会、マーチングコンテスト中国大会、マーチングバンド・バトントワーリング全国大会に出場する。2006年から精華女子高等学校に勤務し、2015年より顧問に就任。

福岡県高等学校芸術文化連盟マーチングバンド・バトントワーリング部門専門委員長、JBA福岡県部会事務局長、福岡県マーチングバンド協会理事。

マーチングとの出会いをお聞かせください。

島根で中学校の教員をしていたとき、ちょっと田舎の方の学校でしたが珍しく部員数が多く、男子生徒も結構いたので、元気だったというか、やんちゃだったというか、エネルギーが有り余っていたので、ちょっと体力を消耗させてやろうと思ってマーチングを始めてみました。
不純な動機ですが、まぁ体動かしたら疲れるだろうと思ってやり始めたのが一番最初ですね。
それで、こっそりやってたんですけど、マーチングの練習をやっているらしいという噂を当時の吹奏楽連盟の事務局の先生が聞きつけて、『大会に出てみないか?』と半ば強引にでしたが出場しました。
あの当時島根では中学校でマーチングをしているところが無かったので・・・
実際出た後は生徒本人たちも充実感があったのと、保護者の方から『聴くのはよくわからないけど、目で見るものはすごく訴えかけられるものがある』と好評いただきました。
そこから保護者の方や地域の方も盛り上がって当時はフェスティバルの部門も一緒にやっていたので、『先生、来年はあれやりましょう!』という声もあり、マーチング協会の大会にも出るようになりました。

指導をされる上で気を付けているポイントは何ですか?

マーチングは吹奏楽の活動の中でも、生徒が主体となってできる活動の1つだと思います。
見てて分かりやすいしチームワークも取りやすいので、なるべく生徒に考えさせて、マーチングリーダー主導でやりますが、リーダーも育てるつもりでリーダーと話し合いどう進めて行くかなどアドバイスをしながら、練習する方法や場所、スケジュールを総合的に考えて練習させるようにしています。

やはり動き重視にならないようにというか、演奏があってのマーチングなので演奏も動きもバランスよく両方とも上手にミックスできるような練習をするようにしています。
マーチングの指導をしているとどうしても熱くなりすぎるので、言葉であったり、指導内容が厳しくなりすぎないようにこちらも気を付けていますが、そういう厳しい言葉が出てしまったときには、あそこのあの言葉はよくなかった、こう言った方がよかったなどの振り返りができるよう、始めと終わりにリーダーとのミーティングをするようにして気を付けています。
ダラダラと練習させるのではなく、目標をきちんと設定させてその目標に向かって練習するように指導しています。

練習場所や練習方法で工夫されていることはありますか?

コンテに関してはうちの練習場所でできるコンテを作ってもらうようにしています。
体育館が40M×35Mなのでその中で収まるように収まるコンテにしてもらっています。
あとは20M×20Mで練習できるような工夫もしてもらっています。
今自分たちが練習している場所でできるものを最初から作ってもらいます。
他には、新たな曲をマーチングのためにやるのは大変なので、マーチングでも使える曲は座奏でも練習したり、2月の定期演奏会のマーチングステージで使用した曲や動きを、各本番に合わせて手直ししながら活用するようにしています。上級生は1度やっているので新1年生へ教えやすかったりといったと負担を減らすことができています。

毎日必ず少しでも動きの練習を組んで、皆さんもされているように廊下や屋上にポイントを打って練習しています。
あと、九州のカラーガード・パーカッションコンテストがあるのは大きいと思います。
この大会に向けて目標持って練習をできるのはとてもスキルアップにも繋がりますね。

コンクールとマーチングを両立する方法とメリットをお聞かせください。

メリットを挙げるときりがないですが・・・やはりテンポ感でしょうか。
歩いて自分の体を動かしながら楽器を演奏して音楽を奏でるというのは、座奏だけではなかなか得られないところなので、そこが一番大きいところだと思います。
コンクールの時もマーチを演奏することも多いので、演奏しながら歩いて練習することもあります。その方が近道だったりします。
動きながら演奏する方がもちろんハードなので、座奏に戻ったときにとても楽に演奏できると生徒達も言っていますね。

マーチングをすると音が汚くなったり荒れると言う方がいらっしゃいますが、最初はそうならないと綺麗にはならないと思います。マーチングの新メンバーには相当吹かせますがそこから少しずつ綺麗にしていきますが、やはり先輩の力は強いですね。うちは3年生と1年生が1対1で一緒に練習をしますが、そうするとやっぱり3年生の音に寄っていくんですね。一子相伝みたいな感じですね。音は先輩の音に似てきます。
体育館や外でクリアに吹く・聞える練習をしているので、座奏でホールに行ったらよりクリアに聞こえる音になるので、そのような環境下で練習するのも一つのメリットかもしれません。

マーチングは一人一人が重要であることを生徒に意識させることができるのでここも一つ重要なポイントではないかと思います。自分自身が全体を構成している一部だという気持ちを持たせること。
結局その部分が、次の学年に上がったときに、演奏する力にもなるんじゃないかと思いますね。

音のズレは演奏している本人は分からなかったりしますが、動きのズレは目で見えて分かりやすいので意識をするようになりますよね。その意識が持てると音の方にも意識できるようになってくるのではないかと思います。

1年間やり切ったという気持ちが次の年の座奏やマーチング、部活動へのモチベーションに繋がったりするので、そこに部活動としての教育的意義があるのではないかと思います。
あっ、音量は大きくなりますね。確実に。

ヤマハの楽器のいいところをお聞かせください。

僕の気に入っているところは、音の発音がクリアなところですね。
特にBDやQTのように音程感のある楽器がバンドの管楽器とよくブレンドされるので、やっててすごくハマりがいいように感じます。
キャリアの9500シリーズに変えてから腰が痛いという生徒が激減しました。これはオススメですね。
うちは女子校で小柄な子も多いので、こういうサイズ感や重さが直結するのでそういうところのトータルバランスがとてもいいですね。

これからマーチングを始める方、指導される方へメッセージをお願いいたします。

〈百害あって一利なし〉という言葉があるじゃないですか。逆にマーチングは部活動として吹奏楽部として百利あっても一害も無いと思うんです。音が荒れるとかお金がかかるなどそういうところはもちろん初めはあると思いますが、それを超える得るものがたくさんあると思うので、まずは出来るところからでいいと思います。
多分皆さんの思われているマーチングは、M協だったりパレコンのイメージを持っておられるかもしれませんが、もっと気軽にステージ上で椅子から離れてちょっと前に出て吹いたり、一列になって足踏みして回れ右したりちょっとした動作を入れていくような感じで、始めていただければいいのかと思います。
あとはマーチング打楽器やスーザフォンがないからできないという方も多いですが、打楽器はコンサート用の楽器でチューバは座って演奏して、動ける楽器だけでうごいてみるといいと思います。少しずつ見たいな感じでやっていると不思議とそういう噂はすぐに広まるので、楽器屋さんだったり、他の先生だったり、マーチングをやっているといろんな方が手を差し伸べて頂けるので、その面ではまずやってみることが大切だと思います。やってみると生徒の方が喜んでやってくれるんじゃないかと思いますね。
本当に気楽に始めてもらうのがいいと思います。最近はダンプレなども流行っていますよね。そういう動きの見栄えを揃えるとかだけでもマーチングという感じでやるといいかと思います。
少しずつ続けていくとできることも増えるし、あれをやりたい!これをしたい!大会に出たい!というように生徒達の視野は一気に広がるんじゃないかと思います。