東海大学付属大阪仰星高等学校 藤本佳宏 先生
バンド紹介
1983年開校と同時に創部。「勉強と部活動の両立」をモットーに活動し、定期演奏会、クリスマス・チャリティーコンサートを中心に、幼稚園、小・中学校での演奏会、地域の様々な行事での演奏など幅広い活動をしている。全日本吹奏楽コンクールには5回、全日本マーチングコンテストには1回出場している。
また吹奏楽による国際交流にも力を入れており、これまでにカーセージ大学(アメリカ)、ロイヤル・セントジョージズ大学(カナダ)、台北市立大安国民中学(台湾)、セント・オラフ・カレッジ(アメリカ)、オハイオ州立大学ウィンド・シンフォニー(アメリカ)などと交流を行っている。2024年4月には韓国京畿道広州市より招待を受け、同市で演奏会を行った。
『美しいサウンドから生まれる感動的な音楽』を目標に、吹奏楽を通じて、平和な社会を構築する人間を育成すること。音楽、芸術を通じて社会を豊かにすることを活動の目的にしている。
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東海大学付属大阪仰星高等学校 吹奏楽部(@gyosei_symphonic_band) • Instagram写真と動画
先生のプロフィール
中学校吹奏楽部でクラリネットを始める。
東海大学付属仰星高等学校、大阪音楽大学を卒業後、フランスへ留学。パリ・エコール・ノルマル音楽院で、クラリネットと室内楽で高等演奏資格を取得。クラリネットを本田耕一氏、ギイ・ドゥプリュ氏に師事。
2002年より母校である東海大学付属大阪仰星高等学校教諭。吹奏楽部顧問として指導にあたっている。
マーチングとの出会いをお聞かせください。
私は東海大仰星高校が母校なのですが、当時本校はマーチングをやっていませんでした。ところが高校2年生の時、大阪府吹奏楽連盟30周年特別事業で大阪府高等学校選抜吹奏楽団(136名)でアメリカのカリフォルニア州パサディナ市で開催される「ローズ•パレード」に参加させていただきました。その時に当時理事長の松平正守先生を始め、大阪府吹奏楽連盟の先生方にマーチングを教えていただきました。「ローズ•パレード」は約10kmありますので、当日まで不安はありましたが、いざ始まると沿道の観客の割れんばかりの拍手と声援に大興奮して、パレードはあっという間に終わった印象です。
国も民族、言葉の壁を全て飛び越えてしまう音楽とマーチング•パレードの力に、全身が震えるほど感動したのを今でもハッキリと覚えています。
実は、その際書き下ろされた マーチ WE LOVE OSAKA の振り付けを担当させていただいたことも、大変貴重な経験でした。
今でも、学生たちが振り付きで演奏している様子を見ると、当時のことを思い出します。
普段の指導でのポイントは何ですか?
まずは「音楽ありき」ですので、サウンド作りと合奏での音楽的内容の充実を一番大切にしています。
そしてコンテで動いた際にも、音楽のイメージが損なわれないように、またイメージ通りの動きであるかを常に意識しています。もしそうでない部分があれば、コンテを見直しブラッシュアップしています。
各専門家の先生方にはそれぞれの専門性に特化して見ていただいているので、私は全体を通して違和感がないか、気になる点がないかを確認して、必要に応じて調整や修正をお願いしています。
練習場所や練習方法で工夫されていることはありますか?
大会前など年2-3回はマーチング合宿を行い、そこでコンテスト用のコンテを付けるなどしていますが、普段の練習場所の確保がなかなか難しいのが現状です。
校内では、生徒玄関前や廊下にポイントを打ってマーチングのベーシック•トレーニングをしています。
屋外でも全員で練習できるスペースはないので、AとBの2チームに分けて練習を進めています。
Aは室内で楽器の練習、Bは外で動きの練習を時間で交代しながら限りあるスペースを活用して練習しています。
学校の体育館は大会前のシーズンの時に、運動部の練習が終わった後など30分だけ使わせてもらって全体での動きの練習など行っています。
座奏のコンクールとマーチングを両立する方法やメリットをお聞かせください。
実は数年前までは3年生はコンクールで引退して、1・2年生のみがマーチングをするというのが伝統となっていました。しかしコロナ化の活動が自粛したタイミングをきっかけに、1年生から3年生までコンクールもマーチングも全員が取り組むという新たな体制に切り替え取り組んできました。
「マーチングを楽しむ」ことももちろんですが、姿勢や歩幅、列のズレなどを生徒同士で見て、学年関係なく指摘し合うことができ、コミュニケーションも積極的に取れ、自分たちで気付きを得られることも増え、非常に教育的効果も高いと思っています。マーチングで得たものが座奏にも活かされ、良いチーム作りには欠かせない要素の一つになっていると思います。
また体を動かすことでリズム感や体力が養われるので、普段の練習やコンサートバンドでの技術向上、さらには合奏での集中力アップにも繋がっています。
ヤマハの楽器のいいところ(選択されている理由)をお聞かせください。
本校は「美しいサウンドから生まれる感動的な音楽」を目指しています。マーチングコンテストの大会の基本理念にもあるように、「コンサートバンドがそのまま演奏しながらパレードをしよう」を意識したうえで、コンサートバンドのように管楽器と打楽器の音色がブレンドされた演奏をマーチングでも目指しています。
打楽器は音楽を作る上で極上のスパイスだと思っていて、ヤマハの楽器はそれに見事に応えてくれていると思います。
これからマーチングを始める方、指導される方へメッセージをお願いいたします。
部活動としての吹奏楽・マーチングの良いところは、「自分の考えと主張を持ち、時には意見すること」、「他人の考えを知り、理解、尊重すること」これによって「協力•協働」を学ぶ事だと私は考えています。
マーチングはそういった面で、やはり教育的効果は絶大だと思います。
楽器の技術は周りより少し追いついていない生徒がいたとしても、マーチングがあることで動きだけでもと自分の出来ることに対しての目標を持てることもあるため、努力を続ける意欲もわくと思います。
完成する過程の労力は、生徒にとっても指導者にとっても大きいですが、出来た時の喜びや達成感はより大きいものになると感じています。
マーチングに取り組んでみて、デメリットに感じることはありません。
生徒の中でもマーチング未経験者が多いのではじめは「マーチングやったら音が荒くなるのでは?」と質問されることもありますが、音が荒れるかどうかはソルフェージュができているか・できていないかになります。そこの基礎練習がきちんとできていれば、いくら吹いても音が荒れることはないと考えています。
マーチングは音楽の表現方法のひとつではあるので、大会へのハードルが高いと感じる場合は、まずは体育祭などでパレードに取り組んでみるのもいいと思います。
マーチングはチームで作り上げる面白さもあり、観る側も楽しいし、ショーとしても本当に素晴らしいものです。ぜひ一度、マーチングにもトライしてほしいと思います。