京都両洋高等学校 藤重佳久先生、山田有紀先生、赤司健一先生、平山拓斗先生

バンド紹介

私たち京都両洋高等学校吹奏楽部は、「いつも心に太陽を!」「笑顔は心のビタミン」をモットーに、毎日明るく楽しく元気いっぱいに活動しています。130名を超える部員全員が一人一役を担い、受け持つ係りや役割に責任を持ちながら、組織的かつ主体的な部活運営を目指しています。
昨年度は、関西吹奏楽コンクールで金賞、日本管楽合奏コンテストで最優秀賞、そして念願であった、全日本マーチングコンテストに出場を果たし「金賞」を受賞する事が出来ました。
また、「地域や企業様からの依頼演奏」「保育園や幼稚園でのコンサート」「商店街やイベントでのパレード」などの演奏にも一生懸命取り組み、これまで、「ベルリン」「チェコ」「台湾」への演奏旅行も実施しました。
演奏活動を通して多くの方々にお楽しみいただくと共に、皆様に愛されるバンドを目指して活動しています。

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先生のプロフィール

藤重佳久
福岡県久留米市に生まれる。中学・高校で吹奏楽活動を行う。武蔵野音楽大学でホルンを田中正大、フーベルト・ブラーデル、大野良雄各氏に師事。在学中より、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団団員として活躍。1980年より精華女子高等学校(福岡県)音楽科教諭に赴任。活水中学校・高等学校吹奏楽部音楽監督を経て、現在は長崎県大村市音楽指導官、島根県浜田市音楽定住コーディネーター、石見音楽文化振興会(島根県) 吹奏楽研究推進室 室長などを務める。2023年4月より京都両洋高等学校吹奏楽部音楽監督(ミュージックマイスター)に就任。 吹奏楽部顧問として全日本吹奏楽コンクール21回出場のうち金賞10回受賞。全日本マーチングコンテスト20回出場。1999年、マーチングショーバンド世界大会でワールドチャンピオンを獲得。2006年、毎年カリフォルニア州パサデナで行われているローズパレードに出場、総合優勝。同年のマーチングショーバンド世界大会のパレード部門でワールドチャンピオンを獲得。2008年度に全日本吹奏楽連盟の長年出場指揮者と福岡県私立学校教育功労者、2009年度に文部科学大臣優秀教員の表彰を受ける。 2013年度、吹奏楽部が第21回福岡県文化賞受賞。2015年より活水女子大学音楽学部特任教授に就任。活水中学校・高等学校吹奏楽部音楽監督として初年度に全日本吹奏楽コンクール出場。2016年に活水学院吹奏楽団がマーチングバンド全国大会一般の部に出場。2017年より3年連続で活水中学校・高等学校吹奏楽部が全日本マーチングコンテスト出場、うち金賞2回受賞。2019年には全日本吹奏楽コンクールにも2回目の出場。2024年には京都両洋高等学校吹奏楽部 音楽監督として全日本マーチングコンテストに初出場で金賞受賞。

山田有紀
京都両洋高等学校吹奏楽部 部長

赤司健一
京都両洋高等学校吹奏楽部 顧問
日本マーチングバンド協会 準公認指導員

平山拓斗
京都両洋高等学校吹奏楽部 顧問
日本マーチングバンド協会 準公認指導員

マーチングとの出会いをお聞かせください。

藤重先生)
大昔…大昔ですよ。タイへ演奏旅行に行ったときに、パレードをやってくれと頼まれたんですよ。それまでそんなのをやったこともなかったので、それが初めてですね。慌てて衣装を用意して、パレードをやりましたね。
出会いの点で思い返すと、武道館で見た宇都宮の泉が丘小学校のマーチングには、ものすごく衝撃を受けましたね。「オペラ座の怪人」を演奏されていたんですが、世の中にこんな小学校があるのかと驚きました。本当に上手で、こんなにも感動するものなのかと胸を打たれましたね。本当に素晴らしかったです。
もう一つ、僕自身、30年以上前ですがマーチング講習会に生徒を連れて合歓の里に行ったんですよ。
もともとは引率で行ったのですが、いざ現地に行くと講師の先生方に、「マーチングを指導するならお前も一緒に受けろ。生徒にやらせるだけじゃダメだ」と言われて…結局、生徒達と一緒に講習を受けることになったんです。
生徒の前で恥をかきたくなかったので、夜中もできるようになるまで歩いて必死に練習しましたね。マーチングってこんな大変だとは思いもしませんでした。
でもやっぱり、何事もそうですが、自分が実際に経験してからする指導と、経験せずにする指導とでは違うと思うので、今振り返ると本当に素晴らしい出会いと、貴重な経験だったと思います。

山田先生)
小学校の運動会でマーチングしていました。スネアドラムを叩いたり、ベルリラも演奏したりいましたね。バトンも少しやっていました。

平山先生)
高校からマーチングを始めました。中学3年生のときにマーチングの大会を初めて観て、衝撃を受けました。「絶対にこれをやりたい!」と思って、それまで受験しようとしていた学校から、マーチングが盛んな学校へ進路も変えました。

赤司先生)
実はスポーツ少年で、中学校まではテニス部でした。高校に入学したらたまたまそこの学校でマーチングもやっていました。最初は正直あまり好きじゃなかったけど、だんだんと興味が出てきてって感じですね。

藤重先生)
2人とも同じ高校出身なのに、きっかけは全然違うんだね。

赤司先生)
そうですね。ちなみに、平山先生は僕が教育実習で高校に行った時の1年生だったんです。

平山先生)
赤司先生との出会いはそこでしたね。

普段の指導でのポイントは何ですか?

藤重先生)
まず大切にしていることは、「音」や「動き」を楽しむということ。まずは音楽ありきなんです。もちろん技術的なところも大切ですが、それ以上に「その音楽にどんな魅力があるのか」「それに対するマーチングにはどんな魅力があるのか」そういうことを伝えた方が楽しいと思っています。
それから、もう一つは「基礎」と[基本]。
基礎と基本の違いを考えたことはありますか?
僕の考えでは、基礎は最初に築く最も大事な土台の部分で、基本は練習の方法・やり方・考え方ということです。
感覚的には同じように使われがちですが、指導の中では意識して分けて使っています。

平山先生)
それって、数学でいう「定義」と「定理」みたいな関係に近いですかね?

藤重先生)
おお、素晴らしい!なるほど、それは分かりやすいね。ブラボー!
基礎と基本という言葉は、なんとなく出使われがちですが、そこがとても大切な部分だと思っています。
儀式のようにただ繰り返すだけの練習はあまり意味がないですね。そこに成長は無く、ただやらされているだけになってしまうんですよね。
それともう一つ大切にしているのが、「和声」と「和音」の違い。これを知っているか知らないかで、音がまったく変わってきます。
実は、いちばん和音を意識しなくてはいけないのが打楽器なんですよ。例えばB-durとH-durは音色を変えないといけないけど、それができるかどうかは、奏者自身がその感覚を持てるかどうかですね。
和声と和音の違いについては、かなり指導でも大事なところだけどまたの機会に…

練習場所や練習方法で工夫されていることはありますか?

藤重先生)
廊下でも練習ができるように工夫しています。教室の前でもちょっとポイントを打つだけで、マーチングの練習ができます。もちろん、その場でも立ったり座ったり、ベルアップしたり、その場で方向転をしたりできますよね。
他には、トラッキングという練習方法もあります。これは、演奏しながら歩いたり、動きながら吹いたりするトレーニングですが、これは音楽室でもできます。マーチングの練習は、必ずしも体育館じゃないとできないわけではありません。テンポと歩幅さえ調整すれば、いくらでも練習できます。
30m×30mの場所が取れなくて、半分の広さしかとれないような場所なら、ドリルを半分に分ければ問題ありません。なんでも工夫次第で、どんな環境でも対応できると思いますよ。

赤司先生)
あと部室や廊下以外の場所でも練習ができるように、マーチングリーダーが運動部に「何時に終わりますか?」と、自ら確認しに行っています。もし少しでも使える時間があれば、15分でも30分でも練習させてもらっています。

山田先生)
運動部も、時間になったらサッと切り上げて片づけてくれます。そのおかげで、私たちもスムーズに練習を始めることができます。生徒自らが動くことで、生徒同士のコミュニケーションが深まったり、部活同士でも支え合ったりしているように感じますね。

[吹奏楽×日本舞踊]という新たなスタイルについてお聞かせください。

藤重先生)
この地域が京都ということもあり、地域の特色を生かす意味でも取り入れています。
とても華やかですし、特に海外で披露した際には大変喜んでいただけますね。

赤司先生)
日本舞踊を取り入れるようになって、もう11年になりますね。
日本の伝統文化を学びながら、今のスタイルを確立してきています。

マーチングならではの効果や楽しみ方についてお聞かせください。

平山先生)
やっぱり、お客様の反応がとても良いと思います。演奏だけでなく、そこに動きが加わり、カラーガードやマーチングドラムを使用することで、普段とは違うパワーや表現を伝えることができるのが、一番の魅力ではないでしょうか。

山田先生)
自分たちのやっていることが視覚的にすぐわかるので、達成感も得やすいんですよね。それが、子どもたちの自主的な活動を後押ししたり、仲間同士の連携を深めたりすることにも繋がっていると感じます。

藤重先生)
パレードなんかは多くのお客さんに見ていただけるから、すごくいいですよね。
吹奏楽じゃないとマーチングはできない、これも一つの魅力だと思います。
カラーガードやマーチングパーカッションはやっぱりかっこいいですし、そこは吹奏楽とマーチングの違いのひとつでもあると思います。
マーチングは誰が見ても分かる。だからこそ、子どもたちの自主性も育ちやすく、良いリーダーがどんどん育っていきます。すると、先生が細かく指示を出さなくても、リーダーを中心に動けるようになるんです。そういう環境だと、マーチングが苦手な子もその流れに引っ張られて、自然と上達していくこともありますね。

ヤマハの楽器のいいところをお聞かせください。

藤重先生)
まず、国内のメーカーであるという点は大きな安心材料ですね。メンテナンスの面でも非常に対応しやすいです。もちろん音も素晴らしく、何より音楽の本質をしっかりと考えられて作られている楽器だと感じています。
また近くにヤマハ特約店があるというのも、日頃安心して楽器を使用できるポイントのひとつですね。

これからマーチングを始める方、指導される方へメッセージをお願いいたします。

平山先生)
私自身が日々体感していることですが、難しい動きをしなくても、「吹いて動く」これだけでお客様に感動を届けることができます。座奏のとき以上に感動を与えられることもあるんです。これはマーチングならではの魅力だと思います。
まずは、マーチングを実際に“見てみる”ことから始めてみてください。

赤司先生)
完成形を想像してしまうと、どうしてもハードルが高く感じてしまいがちです。でも、最初は体を少し動かすだけでも、立派なマーチングの第一歩だと思います。
難しく考えずに、まずは気軽に取り組んでみてもらいたいですね。

山田先生)
マーチングって、先生も生徒も一人ではできないんです。そして、誰かが欠けてしまうと成立しない。
だからこそ、自然と責任感や連帯感が生まれ、一人ひとりの成長にもつながっていきます。
その積み重ねが、全体のチームワークを高めるんです。
ぜひ一度、マーチングに触れてみてほしいと思います。

藤重先生)
マーチングは、簡単にできます!すぐにできます!
最初はマーチング用の特殊な楽器がなくても、工夫次第で何とでもなります。
マーチングは視覚的にもわかりやすいので、お客様や保護者の方にも理解されやすいんです。
そのためにも、指導する先生方が勉強することが大切です。でも、勉強と言っても、難しいことではありません。ちょっとした練習の工夫、自分たちにできることを考えてみること。
まずは“真似する”ところから始めてみてください。他の団体の演技を見て、「これ、かっこいいな」と思ったら、それをそのままやってみる。そうすれば、できること、できないことが見えてきます。
次に、「どうしたらできるようになるか」を考える。それがもう勉強なんです。
その積み重ねの中で、自分たちのオリジナルができあがってきます。

たとえば、ユニフォームもユニクロのパンツを揃えるだけで統一感が出ますし、地域のお祭りで本番を迎えるなら、みんなで法被を着るだけでも印象は変わります。
少し余裕が出てきたら、本格的なユニフォームを揃えるのもいいですね。そうすることで、子どもたちの気持ちにもスイッチが入り、より意識が高まります。自分たちをどう見せるかを考えることも、マーチングの楽しさのひとつになってきます。
そして、マーチングをやれば、吹奏楽がもっと楽しくなります。楽器を演奏することが、もっともっと楽しくなります。
まずはやってみよう!この気持ちが大切です!