久米大作×CP4 STAGE

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「PRISM」、「SQUARE」と日本を代表するインストグループのメンバーとしてフュージョンシーンを牽引した久米大作。キーボーディスト、作曲家、編曲家、音楽プロデューサーとして、また現在は自身が率いる「久米大作オーケストラ」をはじめ、舞台、映画、プロデュースなど幅広いフィールドで活躍している。そんな久米大作さんにヤマハのステージピアノ「CPシリーズ」のニューモデル「CP4 STAGE」を試奏して頂いた。

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まずはアコースティックピアノの音色の印象からお願いします。

まずは「CFX」ですね。ヤマハグランドピアノの新しいフラッグシップモデルの音ですが、こうやって低音を弾いてみれば分かるけど、倍音がとても豊かなんです。これはフルコンのいちばんいい状態の音。響きに関してもエフェクターのリバーブじゃなくて、ピアノのハコ鳴りの響きがそのまま出てくるから、ソロで弾くにはとてもいいと思う。「じゃバンドは?」っていうと、ソロでいい音でも、綺麗すぎてバンドのちょっと荒っぽいサウンドの中では埋もれちゃうのはよくある話なんです。でもCFXはバンドでも埋もれずに立つ音で、先日もCP4 STAGEの発表会で若手のメンバーとバンド演奏したけど、後で音を聴いてみたらピアノの音がしっかり聞こえて、存在感がありました。たぶん素の音がすごくいいからじゃないかな。 「CFIIIS」は、まさにヤマハのグランドピアノの定番の音で欠かせないところかな。音が太いですよね。それにCFXと比べると芯が強い音という感じがありますね。この音はやっぱりファンが多いです。 「S6B」は、フルコンとは違ってボディが小さくて弦の短い感じが出ていてコンボっぽい響き。小規模なアンサンブルや弾き語りなんかで、サウンドがまとまりやすい感じがします。

3つのピアノ音色はどのように使い分けますか。

こうやって何気なく弾いていても、つい「CFX」の音にしてしまうんだけど(笑)。やっぱり弾いていて気持ちがいいんだよね。倍音の感じとか。だから、まぁCFXはメインで使いたくなりますよね。「CFIIIS」は音の太さを活かした演奏をする時や、CFXのきらびやかで現代的な音ではなく、ちょっとビンテージ感がほしい時にはいいと思います。「S6B」は響きがコンパクトな感じがよくて、バンドのアンサンブルの時にフルコンの音だと、やたらとピアノだけゴージャス過ぎて浮いちゃうことってあるんですよ。そんな時S6Bの音を使うと、バンドサウンドによく馴染みます。それからシンプルな弾き語りみたいな演奏にも向いていると思います。

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鍵盤が「木製象牙調鍵盤」になりましたが、いかがでしょうか

レスポンスがとてもいいです。長年鍵盤を研究してきた成果じゃないかな。弾いていて手に馴染む、吸い付くような感じがします。 僕の感じでは、鍵盤を押した時に音が出るタイミングがちょうどいいんです。このタイミングはメーカーや機種でいろいろ違って、中には発音タイミングが遅いって思うものあったりするんですが、CP4 STASGEはまったくストレス無く演奏できます。鍵盤のタッチ感はキーボードの場合鍵盤のタッチでビートを作っていく部分もあるので、とても大事だと思っています。 それと「連打性」っていうのかな、この鍵盤は戻りも速い気がします。デジタルピアノの場合、実際にハンマーで弦を叩くわけじゃないから戻りが遅い鍵盤もあるんだけど、それって「鍵盤が引っかかる」感じがして気になっちゃう。その点、CP4 STAGEの鍵盤は連打にも付いてきて速いフレーズを弾いても軽快です。

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エレピの音色はいかがですか。

ぼくはCP1を使っていますが、このエレピの音色はCP1譲りで、とてもいいですね。鍵盤が変わったけど、この鍵盤はレスポンスがいいのでエレピも弾きやすいように思います。それからマスターEQが手元にあるので、積極的にいじってみるといいと思います。ローズ系はEQでハイをちょっと上げて強く弾くと、ピックアップを弦に近づけた感じが出せます。それと、こうやって弾いてみると、やっぱり高い音域のバランスがいいね。DX系のエレピもやっぱり定番だし、ウーリッツァーピアノも素朴な味がよく出ています。

マスターEQの使いこなしがポイントですか。

さっき言ったローズだけじゃなくて、DXでハイを強くすると、音がキラキラしてきます。DXを使ってた当時はアルゴリズムでオシレーターのアウトプットを上げて頑張って作っていたんだけど(笑)。このイコライザーはDXのアルゴリズムでいじるのとかなり近い気がします。音もやせないしね。ウーリッツァーはもともと低域がないのでEQで下を削っておくとスッキリして使いやすくなります。

ピアノ、エレピ以外の音色についてはいかがでしょうか。

ピアノ以外の音に関しても、ステージで必要なものは全部揃ってますね。ストリングス系は定番で、レイヤーして使うこともよくあります。それからやっぱりオルガンですよね。これはMOTIFにも入っているけど、いい音です。ファンキーな曲では欠かせないクラビネットの音もあるしね。クラビネットっていっても、もう今ではホンモノを見たことがない人も多いでしょうね(笑)。さらにハープシコードも入ってるし。

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ライブで使う上での操作性はいかがですか。

やっぱりマスターEQの存在は大きいですね。ライブの時に音色を大幅に変えることはありませんが、ソロを弾きながらちょっとハイを上げて音を立てる、っていうことが演奏中に直感的にできるのがいいと思います。オルガンプレイヤーがソロ弾きながらドローバーを出したり入れたりするじゃないですか、そんなイメージかな。 それとやっぱりコントローラーが全部パネル上に出ているのがいいですね。これならライブ中でも設定の状況が一目で分かるし、なにかトラブっても、すぐ対処できる。スイッチの位置や押す強さも考えてあるのか、誤操作が少なそうです。スイッチのタッチが軽すぎたり位置が悪いと、間違ってスイッチを押してしまってライブ中に大変なことになることもあるんですが(笑)これなら大丈夫そうです。

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CP4 STAGE、CP40 STAGEは可搬性を重視してかなり軽量化しました。
最近はシンセの方はどんどん軽くなって、音色もどんどん良くなってますよね。僕が教えている生徒でも、学校やライブにソフトケースで背負ってくる子が多くなりました。でもピアノタッチのキーボードについては、生徒から相談されても「一人じゃ運べないよね」って諦めていた部分があるんですよ。やっぱり重さがネックで。今までのピアノ鍵盤キーボードだと本体がたいてい20kg以上あるから、ハードケースに入れるとものすごい重さになってしまうんです。その点CP4 STAGEは17.5kg、CP40 STAGEなら16.3kg。これならソフトケースで運べますよね。ついにピアノタッチのキーボードが持ち歩ける時代になったなと思います。
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CP4 STAGEでいちばん印象的なところはどこでしたか。

「箱鳴り」っていうのかな、ピアノの音の響きにリアリティがあるところです。生ピアノの音っていうのは、弾いた音の弦が鳴るだけでなく、他の弦も鳴って、ボディも鳴って、という音なんです。CPの音はそこまでを感じさせるリアリティがあると思う。だから言ってみればレコーディングで生ピアノを録音したのと同じことなんですよ。エフェクト的リバーブではなく、自然なアンビエント感があるんです。 そうなると、ライブでもレコーディングでも「ピアノがないから使う」という代替品ではなくなりますよね。生ピアノとCPがあったら、状況に応じて適している方を使うということになると思うんです。生のピアノは調律の問題もあるし、必ずしもコンディションがいいとは限らない。またライブだと音楽のジャンルや楽器編成によっては生ピアノにマイクを立てても、いい音が拾える状況ばかりではないですし。 最近のデジタルピアノって、バンドの中でガツンガツンといけるモデルは実際増えてきてると思うんですよ。でも結局アコースティックで繊細な演奏をする時って、ピアノの響きがちゃんとしていないと、サウンドが作れないんです。逆にピアノの響きが美しければ、それだけで成立してしまう部分があって。そんな意味でもCP4 STAGEが持っている「ピアノの響きのリアリティ」は、かなり僕たちの力になると思います。

CP4 STAGE Demonstration by 久米大作

 
CP4 STAGE Demonstration "I'm gonna take you" by 久米大作~CP4 STAGEのエレクトリックピアノ音色「Rd I 75」をフィーチャーしたインストゥルメンタルナンバー

使用楽器

シンプルかつ最高のステージピアノを目指し、ヤマハの技術の粋を結集して作られたステージピアノ、それがCP4 STAGEです。