ただすけ×CP4 STAGE
SMAPのコンサートツアー参加を機にキーボーディストとしてのキャリアをスタートし、葉加瀬太郎、ポルノグラフィティなどのツアーサポートを経て、現在はTHE ALFEEのサポートメンバーとして活躍中のただすけさん。レコーディングセッション、作品提供、アレンジ、プロデュースなどに加え、舞台作品やCM、ビデオ作品への音楽提供も多数。また自身の活動として、すかんちのドラマー小畑"PUMP"隆彦さんとのDUOユニット「ポンすけ」も精力的に行っている。そんなただすけさんに、最近使い始めたというCP4 STAGEについて話を伺った。
CP4 STAGEでよく使っている音色を教えてください。
一番メインで使っているのはPiano1の007番「CFX Rock」です。特にTHE ALFEEのステージではよく使ってます。THE ALFEEはディストーションギターが入ったロックサウンドなんですけど、CFXの音はとてもよく抜けます。ギターサウンドの中でも全然埋もれないですね。
グランドピアノ音色のCFXがロックサウンドで使えるのは意外ですね。
CFXの音がロックサウンドの中でもヌケるのは「音が遠すぎない」からだと思います。「遠い」っていうのは、リバーブの深さじゃなくて、ピアノの音をサンプリングする時のマイクの位置が遠いってこと。ソフトサンプラーなどでピアノ音色のリアリティを徹底的に追求した音色がありますが、そういうのって、音が遠いんですね。ピアノ単独で弾いている時は空気感があって、とてもピアノらしくていいんです。でもそこに他の楽器が入ってきてアンサンブルになると、どうしてもピアノの音だけが「遠い」感じになるんですよ。これがライブで、しかも大きい会場だと、もともとサンプリングした時点で「遠くで鳴ってるピアノ」を、またPAのスピーカーで遠くのお客さんに向けて鳴らすことになるから、ものすごく遠いわけ。もうどうやっても抜けないんですよ。今まではそれでさんざん苦労してきました。
CFXの音色は素の音だから抜けがいいということでしょうか?
そうですね。しかもCFXは単に抜けがいいだけじゃなくて、ピアノらしいところがちゃんとあるのが良い点です。普通「音抜け」を追求していくと、どんどんシンセっぽい音になってしまうんですよ。シンセぽいっていうのは、つまりアコースティック感がなくて、単に音が一定になっちゃうみたいな感じです。CFXは抜けがいいのに、ピアノらしいアコースティック感がしっかりある。今までいろんなデジタルピアノを使って苦労してきて、「音抜け」と「ピアノらしさ」って、結局どっちかだと思っていたんですが、CP4 STAGEを弾いて初めて「これって両立できるんだ」って知りました。
グランドピアノ音色としては「CFIIIS」も内蔵されています。CFXとはどう違いますか?
CFXはとにかく楽器そのものがすごく鳴ってる感じですね。ちょっと鳴り過ぎかもしれないってくらい。(弾いてみて)打鍵の後でもう一押しガーンって鳴る感じがするんですけど、これがポップスにも使えるパワフルなイメージになっているのかもしれません。それと「CFX Rock」はいい意味でダイナミックレンジが狭いんです。アコースティックピアノってもともとダイナミクスがとても広い楽器なので、かなりコントロールして弾かないと出音が不安定になっちゃって大変なんです。でもポップスは微妙な音色変化より安定性が大切なので、CFXの方が演奏し易いということもあります。
逆にCFIIISはダイナミックレンジがとても広いです。特に弱音が美しいんです。だから繊細な音のニュアンスを出す時にはCFIIISの方がいいですね。実を言うと、CFIIISの音はCP5にも入ってたけど、今まであまりピンと来てなかったんですよ、すみません(笑)。でもCP4 STAGEの鍵盤で弾いたら「ああ、こういうことだったのか。こんないい音だったのか」って初めて分かって。CP4 STAGEの鍵盤で、はじめてCFIIISの音の良さに出会った気がします。
同じ音色でも鍵盤が変わると、印象は違いますか?
違いますね。演奏反応が変わるので、弾き手としての音の印象はすごく変わります。 それに正直言って今までデジタルピアノって、鳴らしたい音を出すためにタッチを頭の中で「翻訳」する必要があったんです。でもCP4 STAGEの鍵盤は楽器と「雑談」できるぐらいの気軽さで弾けますね。アコースティックピアノとデジタルピアノを両方弾く時でも、今までは気持ちを完全に入れ替えないと弾けませんでしたけど、CP4 STAGEなら自然に行き来できます。かなりアコースティックピアノに近い気持ちで弾けている気がしますね。
CP4 STAGEの鍵盤で、他に気に入っている点はありますか?
とにかく前よりとても弾きやすくなりました。それとこれまでの鍵盤は思いきり弾く時、ガツンと衝撃が「骨に来る」感じでした。でもCP4 STAGEは構造の関係かもしれないけど、思い切り弾いても柔らかく受け止めてくれる感じがします。だから今までより安心して弾けるように思います。
アコースティックピアノ以外の音色では何がお気に入りですか?
ローズとウーリッツァですね。これは無くてはならない音色で、必ず使っています。エレピの音色はCP5の時から気に入って愛用しているので、安心して使えます。僕の場合、エレピ音色はCPで弾くのが基本ですね。音色としては「73Rd I」が一番好きかな。
ステージではレイヤー音色を使うこともありますか?
良く使いますね、パッドをレイヤーする事が多いです。CP4 STAGEでは、パートセレクトをしてから簡単な手順でレイヤーサウンドを作る事が出来るのでとても使い易いです。音色もカテゴリー別に分かれているし、次々と音色を試しながら、演奏しながら、レイヤーサウンドが作れます。スライダーがあるので、それぞれのパートのボリュームを手軽にコントロール出来て良いですね。
CP4 STAGEは小型軽量化も大きなポイントですが、いかがでしょうか。
なんといってもCP4 STAGEは、本体の奥行きが短いところが素晴らしいんですよ。「よくぞやってくれた!」って。僕の場合ピアノとシンセサイザーを2段積みにセッティングして演奏することが多いんですが、その時下にセットするピアノの奥行きが短いほど、上のシンセサイザーは手前に出せますよね。僕はいつも、2つの鍵盤を可能な限り近づけてセッティングするんですけど、CP4 STAGEを使った今のセットは、上下の鍵盤がこれまでで一番接近した状態です。
これで演奏性が全然違ってくるんですよ。まず手を動かす距離が短くなるから、腕の動きも最小になるし、距離が近い分、移動先の鍵盤をいちいち目視もしなくて良くなる。みんなあまり気にしていないみたいだけど、演奏の精度には絶対関係すると思うんですよ。THE ALFEEのライブはだいたい3時間を超えますし、弾く時は全身を使いますから、上下の鍵盤の距離が短くなるだけで体への負担は全然違ってきます。今までいろんなメーカーさんに「2段鍵盤のキーボードを作ってほしい、上はシンセサイザーで下はピアノ鍵盤で」って言っていたんですけど、CP4 STAGEでここまで近づけてセッティングできるようになったのでもう充分です(笑)。
CP4 STAGEをチェックしているキーボーディストに、オススメのポイントを最後にもう一度お願いします。
まず第1のポイントは「音抜け」が抜群にいいことですね。バンドでピアノを弾いている人、特にディストーション系のギターバンドでピアノを弾いている人には、ぜひ使ってみてほしいと思います。CP4 STAGEの凄いところは、ただ音抜けがいいだけでなく、ピアノらしさも失っていないところで、これもポイントですね。
そして第2は、鍵盤がとても良いこと。タッチが自然で、僕はアコースティックピアノとほとんど同じ感覚で弾くことができます。 そして最後のポイントはコンパクトさですね。特に本体の奥行きが短くなったことで、2段で積んだ時の演奏性がすごく良くなったと思います。もちろん重量が軽くなったのも、機材が重いキーボーディストにとっては、大きなメリットだと思います。ぜひ店頭でチェックしてみてほしいと思います。
それから、もうひとつ。CP4 STAGEの使いこなしでぜひお伝えしたいのですが、CP4 STAGEのアウトプットって、バランスアウトのほうが全然いいように思います。音が良いというか、情報量が多い、というように感じるんです。バランスアウトとアンバランスアウトが両方ついていますので、PAへの送りの音はバランスアウトからそのまま出して、自分のキーボードモニター用にはアンバランスの出力を使うのが個人的にはオススメです。
活動予定(2014年)
1/25~2/15の花*花のツアー
http://www.blanton-music.com/hanahana/
2/17~25のケーナ・サンポーニャの瀬木貴将さんのツアー
http://www2j.biglobe.ne.jp/~segi/
3/6~8のオーチャードホールでの3Daysを皮切りにツアーが始まるLE VELVETSのツアー
http://le-velvets.com
そして、4/3から始まる今年デビュー40周年を迎えるTHE ALFEEの全国ツアーに、CP4と共に参加しています。
http://www.alfee.com
他のライブやセッションについては、ホームページ「tadasuke.com」でご確認ください。