nishi-ken

 

 

小谷:今夜はキーボーディストであり、様々なアーティストの楽曲を手がけられている音楽プロデューサー、nishi-kenさんにお越し頂きました!よろしくお願いします!
nishi-ken:どーもー、よろしくお願いしまーす!
小南:よろしくお願いしまーす!

小谷:それでは最初に、nishi-kenさんのプロフィールをご紹介します。

~nishi-kenプロフィール~

音楽プロデューサー / 作詞・作曲・編曲家 / キーボーディスト / リミキサー / シンガーソングライター
シンセサイザーの世界に魅了され、DTMを主体とした音楽制作・LIVEを開始。
2015年、自身のアーティスト作品として全世界公開映画「APPLESEED ALPHA」の挿入歌「Acceleration」、そして配信シングル「Lose Control」をiTunesにてリリース。
これまでにGReeeeN、ケツメイシ、SCANDAL、中田ヤスタカ、FLOW、伊東歌詞太郎、武藤彩未、やなぎなぎなど数々のアーティストの楽曲制作、サウンドプロデュースを手掛ける。
また、キーボーディストとしてライヴサポート・バンドマスターを担い、
“魅せる”そのスタイルは次世代キーボーディストのアイコンとして注目を浴びている。
多彩な実力を発揮し活躍中のまさに「現在」を牽引する音楽プロデューサー。

https://twitter.com/n_nishiken_k
https://www.facebook.com/nskofficial

nishi-kenさんのプロ活動は金沢から

小谷:ということで、アーティスト/サウンドプロデューサー/作曲家と、本当に多方面で活躍されているnishi-kenさん。今日は色々とお話を聞かせてください!
nishi-ken:こちらこそ、よろしくお願いします!

小谷:早速ですが、nishi-kenさんは金沢(石川県)の出身ということですが、金沢にいた頃から、もう音楽活動はスタートされていたんですか?
nishi-ken:そうですね……「プロとしての活動」ということだと、金沢にいた頃に、コンペによく曲を作っては送ってってやっていまして、それで採用されるのを待っていましたね。
小谷:なるほど。
nishi-ken:で、待っていたら、採用されて……それがプロとしての始まりですね。それから最初の1年くらいは、金沢で活動していました。
小谷・小南:そうなんですね!
nishi-ken:そうなんですよ、金沢にいながら(プロ活動)やっていました。
小谷:ほー……では、金沢にいた時から、既に作曲家事務所などにも所属をされていたんですか?
nishi-ken:いや、「所属する」ってところまでは至らず、ですね。当時、自分みたいな曲を作るやつを可愛がってくれるというか……面倒見てくれるというか、そんな人がいまして。で、その人に曲を送ったら、その人が色々な人に聴かせて回ってくれて、それで採用に至ったという感じですね。
小谷:なるほど。逆に、例えばバンドとか、そういう「作曲活動」はいつくらいからされていたんですか?
nishi-ken:あー、それで言うと、僕、元々作曲家になるつもりなんてまったく!無かったんですよ。
小谷:え、そうなんですか?!
nishi-ken:1993〜96年くらいが、自分にとって一番の青春時代なんですけど、当時は音楽シーンっていうのがすごく偏っていて。「ビジュアル系」か、「ダンス系」か、だったんですよ。
小谷:あー、はいはいはい。
nishi-ken:みんながこぞって真似したくなるカンジの、そういうのがヒットチャートにバーッと並んでいて。で、僕の場合はダンス系というか、今でいうPCミュージック、というか、そういうのをスタンダードに持っていって、音楽活動を始めた、というタイプですね。
小谷:なるほど、そうなんですね。
nishi-ken:だから、ユニット活動をやっていて、ボーカリストと一緒に
……まあ(当時の相手が)今何やってんのか分からないですけど(笑)。

(一同笑)

nishi-ken:まあ、きっと結婚してるんでしょうねー!もういいトシなんで(笑)

東京進出は2004年。
「東京に出て戦ってみたい」

小南:私も実は金沢出身なんですけど、
nishi-ken:そうだったね!
小南:でも住んでたのは3歳くらいまでなんで(よく覚えてないんですが)、金沢って音楽が盛んなんですか?
nishi-ken:いやー、盛んになってきてる気はしますけどね。でも、そんな盛んだったイメージではないですね。
小谷:ほー。
nishi-ken:ただ、バンドマンが多かったイメージはあります。
小谷:なるほど。
nishi-ken:今では、金沢って、PCで音楽を作る人間が目立つようなイメージですけど、僕らの時代はもう……逆に僕ら、外野でしたね!
小南:えー!そうなんですか。
nishi-ken:ライブハウスに行っても、もうなんか「このSiam Shadeのコピーバンド何?!」みたいな!

(一同笑)

nishi-ken:「出たぜ、LUNA SEAのコピーバンド!」みたいな(笑)、そういう感じ。
小谷:あー、うんうん!
nishi-ken:女の子たちも、JUDY AND MARYのコピーバンドだったりとか、もうバンドマンだらけで「どうしよう……」みたいな。当時は肩身狭い感じでしたねー(笑)。
小谷:では、nishi-kenさんはそんな中でもご自身のスタンスを貫かれてやっていたと。
nishi-ken:そうですねー、もう「それしかできなかった」という方が正しいですけどね。でもまあ、好きでやっていて。その流れで、当時18歳。18歳って、大きいじゃないですか。人間にとって18歳って、デカいじゃないですか。2回言いましたけど。

(一同笑)

nishi-ken:(笑)。まあ、そんなデカい時期なんですよ、18歳って。その時に、「俺はこのまま音楽をやるべきなのか」って。
小谷:ほー!
nishi-ken:「これからどうすればいいんだろう」みたいな。色々彷徨う時期なんですよね。
小南:はい。
nishi-ken:でも、音楽は辞めたくない!
小谷・小南:うんうん。
nishi-ken:で、まあとりあえず一回普通の仕事をしよう、と。
小谷:ほー!そうなんですね!
nishi-ken:そうなんですよ。普通に仕事をしていて、家に帰っては曲を作り、みたいな。そうして作り貯めていった曲の1つが採用された、という。
小谷:ほー……なるほど。じゃあその、作った曲が実を結んだのが18歳の時?
nishi-ken:いやいや、そこより全っ然遅いですよ。(曲が採用されたのは)僕が23歳の時なんで。
小谷:そうなんですね。
小南:なるほど。東京に拠点を移されたのは、いつ頃なんですか?
nishi-ken:2004年頃ですね。東京に来たのは。
小南:きっかけとかは、何かあったんですか?
nishi-ken:きっかけは……それまでずっと、制作を金沢でやってたんですけど、やっぱどうしても限界が来たんですよね。
小谷:ふむふむ。
nishi-ken:打ち合わせとか、なんかこう「ちょっと話がしたいんだけど」って感じの時に、「そこに行けない自分」っていうのが、やっぱキツいなあ、って。
小南:距離がありますもんね。
nishi-ken:そうそう、距離。あとはやっぱ、「東京に出て戦ってみたい」なって。自分の才能とか、音楽っていうのが、どんだけ通用するんだろう、っていうのを試したかったっていう。それを諦めきれずに、(東京に出ないで)音楽を諦めたくはないなって気持ちもあったので、まあ、「賭けに出た」っていう感じですね。
小南:なるほどー……。
小谷:それは僕もそうですね。地方から上京してきた組なので。まあ僕の場合は大学に進学してきての東京だったんで、覚悟の感じは全然違いますけどね。
今のお話を聞いていると、「決意を持って東京に来た」っていうのが、nishi-kenさんの覚悟と熱さというか、そういうのが出ていらっしゃるな、と。
小南:うんうん。

誰に対しても、いつも「全力」!

小谷:東京にいらしてからもう12年くらい経つわけなんですが、
nishi-ken:はい。
小谷:今まで、もう本当に、様々な活動をされていらっしゃいますが、お仕事に対するnishi-kenさんのスタンスをお聞かせいただけますか?制作の際に心掛けていること、であるとか、アーティストさんへの接し方であるとか……。
nishi-ken:そういうことでいうと、こういう言い方は良くないかもしれないですけど……こちらにこれからデビューする人(新人)、こちらにベテラン(既に色々な作品をリリースしている)の人がいたとして、(接し方は)変わらないですね、僕は。
小谷:ほうほう。
nishi-ken:この2人で何が違うかっていうと、自分たちがゼロから曲を作っていく場合と、片やこっちが一方的に知ってる方に曲を作る場合、っていう、唯一それだけなんですよね。実際スタジオに入ったり、曲を作り始めて作業に入っちゃうと、そこからは全く何も変わらない。なので、心掛けていることは、「全力を出す」、それのみです。


小谷:おー、なるほど!
nishi-ken:そして、「作ったものが、喜んでもらえる」こと。それだけですね。
小南:ふむふむ、なるほど。
nishi-ken:ちゃんとしたい。
小谷:その方の、これまでの楽曲の遍歴とか、「今までこういうことやってきてるから、こうだ」とか、そういうことはあまり意識をされない感じですか?
nishi-ken:いや、そこは、勿論意識はします。でも僕、音楽プロデュースとか作曲とかって、一番難しいのは「自分の色」かなって。……よく言うじゃないですか、「自分の色」って。「自分の色……とは?」って、よく思いません?(笑)

(一同笑)

小谷:いや、思います!(笑)
nishi-ken:もうねー、これ、音楽作ってる人たちはみんな思ってると思うんですよ!「俺、何色?」みたいな。で、こういうのって、自分が一番分かってなくて、でも周りの人は結構思ってたりするじゃないですか。なんか「この人はこういうのを作らせると上手い」とか、「こういう感じの曲だったらこの人に頼もう」みたいな。
小谷:はいはい。
nishi-ken:そういうのを、色々な人とセッション、制作をする事で、僕は焦点を絞っていった感じはありますね。
小谷:あー、なるほど。
小南:人に言われる中で、掴んでく。
nishi-ken:そう、人に言われる中で。例えば僕、結構ロックな作品が多いんですが、僕、元々ロックなんて作ると思ってなかったんですよ。全く!
で、前にしょこたん(中川翔子)の曲をやり始めた頃に、その時のディレクターさんが「nishi-kenロックいいね!」て。もう「えぇーっ?!」みたいな(笑)。
小谷:驚きだったんですね(笑)。
nishi-ken:「僕そっちっスか?!」みたいな(笑)。「いやいやいやいや俺そっちのチャンネルじゃないっスよ!!」って思ったんですよ。思ったんですけど!、こう、(ロックを)作っていくと、やっぱ高評価なんですよね。
小谷:ふーむ。
nishi-ken:自分が思っている「カラー」っていうのが、人とどう合うか分からないので……。なので、そういう意味で、「全力」で、何も考えず、平等に!
小谷:ふーむ、なるほど……!

小谷:では、ここの辺りで1曲、nishi-kenさんの楽曲をご紹介お願いします。
nishi-ken:はい、伊東歌詞太郎さんの曲で、「パラボラ〜ガリレオの夢〜」

 

小谷:それでは、この楽曲「パラボラ」についてお聞きしていきたいんですが、この楽曲はどんな経緯で出来上がったんですか?
nishi-ken:歌詞太郎君の「二律背反」というアルバムを作っている時に、なんかこう、「アルバムの中でリードとなる曲が欲しい」と。それで2人で、僕のスタジオであーだこーだと制作してた時に、歌詞太郎君がデモを持ってきて。それに僕が「こんな感じどうかな」ってピアノを弾いたら「あ、それいい感じですね!」って歌詞太郎君が言って、そこからブァーッ!っとできた曲、ですね。
小南:へー、じゃあ鍵盤を囲んで2人で作られた。
nishi-ken:はい、2人で。
小谷:なるほど、じゃあまさにお2人の共同作業で出来上がった曲なんですね。

新製品「MONTAGE」
nishi-ken流デモンストレーション!

小谷:さて、今日はこんなプロデュースのお話もnishi-kenさんにお聞きしてきたワケですが、なんと今日は、このスタジオに、先日発売になったばかりのヤマハ新製品「MONTAGE」が設置されているんですね。
小南:はい、そうなんです。

 

小谷:今日はこのMONTAGEについても、nishi-kenさんから音色や機能について説明頂けるとのことで。
nishi-ken:はい。じゃあ早速……。
小谷:音とか色々気になりますねー。
小南:気になりますよね!
nishi-ken:もうこれ、音出しちゃっていい系ですか?
小谷:もちろんです!
nishi-ken:あざーっす!(笑)じゃあ行きますか!

小谷:さぁ、これはワクワクしますねえ……。
小南:これ、見た目もすごいカッコいいですよね!
nishi-ken:そうですねー!……これ、実機が見えたら一番説明しやすいんですけどね(笑)。
小南:ラジオだから(笑)
nishi-ken:そう、声しか聞こえないこの状況で、何を伝えるべきか……まず、めっちゃ光ってる!

(一同笑)

小南:めっちゃ色んな色で光ってるー(笑)。
nishi-ken:そう、めっちゃ光ってるしめっちゃ画面でけぇしみたいな感じですね。そんでコレ(中央のノブを指差して)、コレめっちゃ気になるでしょ。
小南:そうコレ、コレなんなんですか?すごいカラフルに光ってるー。
小谷:中央にある大きなノブが……。

nishi-ken:コレ、「Super Knob(スーパーノブ)」っていうんですよ!
小谷・小南:『スーパーノブ!』
nishi-ken:リバーブかけていいですよー!「スーパーノブ!(いい声で)」

(一同笑)

 

nishi-ken:すいません(笑)、まあこのスーパーノブっていうのが、この新しいシンセMONTAGEの醍醐味というか。音色の変化を、このツマミ一本で、自由にコントロールできる。
小谷:ふむふむ。
nishi-ken:まあ一番分かりやすい説明をするとそうなんですが、コレは音を聴いてもらえるといいので、音出してみますね!
小谷:お願い致します!



nishi-ken:こういうことが、MONTAGEはものすごく簡単にできちゃうんですね。
小谷:ふーむ……。
小南:このツマミ(スーパーノブ)しか動かしてないんですか?!
nishi-ken:このツマミしかいじってないんですよ。そしてメッチャ光ってるじゃないですか。どれくらい光ってるか言いましょうか。青!紫!ピンク!みたいな(笑)

(一同笑)

小南:そう、そのくらいのスピードで(笑)
nishi-ken:他にも色んな音色があってですね、特にこの音色とかすごいんですけど……FM音源ってご存知です?
小谷:はい。
nishi-ken:80年代に、爆発的にこのFM音源の音色が鳴り響いたっていう、ヤマハの音源があるんですけど。MONTAGEにはFM-X音源が。FM-Xですよ、X。はい、なんと無限行っちゃいました!
小谷:無限ですか?!(笑)
nishi-ken:FMの果てへ行っちゃいました!(笑)そのFM-Xって音源、何がすごいって、ヤマハが遂に出したんですよ、FM音源の後継!
小南:ふむふむ。
nishi-ken:で、色んなソフトシンセだったりが、FMのシミュレーションは出してるんですけど、コレはもう、音源方式が確実にホンモノ(のFM)!
小南:本気のFM。
nishi-ken:そう、本気の!


nishi-ken:こういうエレピの音があるんですが、このMONTAGEの凄いところは、このFMを、PCM音源と同時発音してるんですよね。すげえマシンが2台、バッ!と中に搭載されていて、そのアウトプットを、バッ!と一発で出せる。
小谷:ほー……。
nishi-ken:長嶋茂雄さん風に言うと「バッ、バッ、バッ!」です!

(一同笑)

 

nishi-ken:なのでコレ、本当にすごいんですよ。今、ピアノ弾きますけど……


小谷:おー……!コレ、ピアノの方はPCMの音が鳴っていて、そこからFMに切り替わるんですね。小南:へー!すごーい!!

nishi-ken:この不思議な感覚って、今までないですよね?
小谷:うーん……!
小南:気が付いたら違う音になっている……!
nishi-ken:なので、こう、ピアノで何か弾きながら、気付いたらFMに切り替わっているという。なんかよくあるじゃないですか、間違い探しの絵とかで!徐々に絵が変わっていくような!
小南:あー、あるある(笑)
nishi-ken:「どこが変わった?!」「あ、気付いたらFMじゃん!」みたいなやつです(笑)。
小谷:ふーん、なるほど(笑)
nishi-ken:そういう面白い遊び方もできて……何がすごいって、こう、キーボーディストがパフォーマンスするって事について、なんだろう、この即戦力感!
小南:ライブとか絶対すごい!
nishi-ken:ライブとか絶対ヤバいっすよ!こう、ツマミを回しながら……まあ、キーボーディストは両手塞がっちゃうことが多いんで、ノブのコントロールは足元でも。
小南:ペダルでコントロールできちゃうの、すごいですね!
nishi-ken:すごいですよね。リアルタイムに動かせちゃう。で、更に、モーションコントロール。MONTAGEの左側、フェーダーが8コあるんですけど、コレを操作すると、色々な音が出し入れできる。



小谷:っはー!今のって、シーケンスを流しているワケじゃなくて、リアルタイムで鳴らしているんですよね。
nishi-ken:そう、リアルタイムで!
小谷:1人でコレができているという……!
nishi-ken:で、このモーションコントロール、もう一個すごいところがあって……Audio Inputに音を流し込むんですよ。
小谷:ほう!
nishi-ken:そうすると、その音をトリガーにしてサイドチェインかけたりできるんですよ!
小南:えっ?!すごい!!
小谷:入力した音のテンポに同期して?
nishi-ken:そうそう!
小谷・小南:ええええええええええ?!
nishi-ken:例えば、Audio Inputに、キックの音を外からBPM138とかで流し込むじゃないですか。そのキックに、どんな音色でもサイドチェインかけて鳴らせるんです!
小谷:ほおー!
nishi-ken:いわゆる、PCミュージックでやってた加工を、MONTAGEさんはできちゃうんですねぇー。
小谷:おー、なるほどー!……これは、ライブとかで、素晴らしく活躍しそうですね……!

 

小谷:nishi-kenさん、今日はご多忙な中、来ていただいて本当にありがとうございます!
最後にもう一曲、ご紹介させて下さい。
nishi-ken:ありがとうございます!それでは、やなぎなぎさんで、アルバム「Follow My Tracks」より「夜天幕」。

やなぎなぎオフィシャルサイト