小幡様邸

小幡様邸

モニターレポート
正方形に近い和室8畳間特有の
定在波の悪影響をカットし、
音をスッキリとした印象に。

使用機材 ACP-2N 住居形態 戸建て
オーディオルーム環境 和室8畳/客間としても使用

和室8畳の場合 小幡 寛様

調音パネル「ACP-2N」を自宅へ持ち込み、開発担当者とともに調音効果を検証するモニターレポート。CASE2では小幡寛様のお宅に伺いました。和室8畳での効果的な設置の様子と小幡様ご自身によるレポートをお届けします。

Profile

小幡寛様

普段はピアノトリオや女性ボーカルものなどのジャズ、R&Bなどの音楽を好んで聴いているという小幡さん。自宅は戸建てで、8畳の和室にオーディオ・シアタールームを構築している。庭に通じる障子戸の前にスクリーンとフロントスピーカー、センタースピーカーを置き、リスニング位置の後方にある押し入れの中にプロジェクターやプレーヤー、アンプなどの機器を設置している。現在の部屋の音質傾向としては、低音がブーミーに響きすぎていることが気になっているという。

スピーカーのグレードは上がったのに、なぜか音は悪くなってしまった

調音対策はほとんどしていないものの、オーディオを楽しむ際には、リスニング位置の後方にある襖の位置を中央にずらしたりして工夫をしているという小幡さん。しかし「スピーカーの下に台を設置し、左右の壁とスピーカーの距離を何となく離してみたり、角度を変えてみたりもしたのですが、どういう状態にしたら良くなるのかわからない状態のままです」と、現状に満足がいっていない様子だ。

小幡さんは「スピーカーのグレードを以前より上げたはずなのに、なぜか音は前の方が良かったように思うのが正直なところなのです」と語った。導入したスピーカーについて具体的にどこが良くないと感じるかを訊ねると「低域がよく出るようになり、前より迫力が増しました。しかしむしろブーミーな印象になって、アコースティックな音楽をかけると聴こえ方が悪くなってしまいました」と悩みを明かした。

まずは、これまで通りの状態で音楽を聴いてみる。女性ボーカルものを再生しながら「ボーカルの定位が定まらないのも気になっています」と小幡さん。「ACP-2N」の開発者であるヤマハの本地由和は、小幡さんの話を聞いて頷きながら、部屋の響き方を確かめていく。一通りの再生を終えたあと、まずはACP-2Nを左右スピーカーの背後に1枚ずつ設置してみることにした。この状態で改めて音楽を再生してみる。

一発目の音からはっきりと変化した低音

音楽が鳴り始めると、小幡さんは「変わりましたね!」と大きく声を上げた。そして「ここまでわかりやすいとは…」と驚きながら、次々に普段聴いている音楽を再生していく。「低音の雑味がなく、すっきりしましたし、響き過ぎていた感じもかなり収まりました。ベースが締まったなという印象です」と興奮した様子だ。本地は「声の定位についてはもう少し調整できそうです」とコメント。続いて、左右スピーカー間のセンター部分にもACP-2Nを1枚追加し、計3枚での試聴を行うことにした。

小幡さんは音楽を再生して、イントロ部分を頷きながら聴いていたが、ボーカルが始まった瞬間に「あ、先ほどとはまた変わりましたね!ボーカルの位置が上がりました」と驚いた表情を見せた。「スピーカーの後ろに置くことでこんなに変わるのはなぜなのでしょうか?」と不思議な様子の小幡さんに、本地は「スピーカーの再生音は、前方だけでなく後ろ側にも出ていて、特に低音域でより多くの音のエネルギーが回り込みます。この設置の仕方で、そうした後ろに回り込んだ音をすっきり調音する効果が発揮されている状態です」と説明する。さらに「このお部屋の場合はセンターの後方が障子戸ですが、この障子の部分も反射面になっているので再生音に強く影響してしまいます。このセンター部分に3枚目のACP-2Nを設置することで、さらにボーカルの音に変化が起きたのだと思います」と解説した。さらに私たちは、隣のリビングルームと繋がっている襖の扉に注目した。

4枚のACP-2Nを設置!
いつもは開けたままの襖を閉め、新しいリスニング空間に

「襖はいつも開けたままなのですか?」と訊ねると、「いつも襖を開けたままでオーディオを楽しんでいます」と小幡さん。そこで今度は、3枚のACP-2Nを設置した状態のまま、襖を閉めて8畳の密室状態にしてみるとどうなるかを試してみた。襖を閉めて音楽を再生すると「ピアノの音は綺麗になりましたね」と以前とは違う調音効果を感じながらも、どこか満足していない様子だ。低音の響き方が気になるという。ここで本地の提案により閉めた襖の向かい側に、ACP-2Nを1枚追加してみることにした。襖を閉めて計4枚のACP-2Nを設置している状態だ。すると音楽が鳴り始めた瞬間から小幡さんの目が生き生きと輝いた。「すごいですね。変わりますね!襖の側ではなく、反対側の壁に置くことで音が変わるとは驚きです。特にベースの響きが気持ちよくなりました」。「8畳間は縦と横の寸法が同じで、縦横の定在波が一緒なのです。そのため、定在波の影響によって低音が不快に響く特性が、特に強く出ていたのだと思います」と本地。

家族で楽しみたいとき、ひとりで楽しみたいとき…
シーンによって設置方法を変えられる

また、ACP-2Nには厳密な設置位置の規定はない。質量5.7kgというひとりで持ち運べるサイズを実現する本製品は、自分で設置場所を工夫することもできるわけだ。小幡さんの場合、リビングにいる家族みんなと音楽を楽しみたいときにはスピーカーの後ろとセンター部分の計3箇所に、襖を閉めて自分ひとりで楽しみたいときは壁際に4枚目を追加するといった具合で、設置方法を使い分けることもできるだろう。本地は「こちらのお部屋の一番の調音ポイントは、定在波の影響によって強く出てしまう低域のコントロールでした」と語る。最後にACP-2Nを設置した状態で部屋の残響特性を測定すると、こちらも問題ない結果が得られた。「定在波が一番問題だったのですね」と頷く小幡さんは、「これまでスピーカーに部屋が合っていないのだろうな…と残念に思っていましたが、このパネルを設置するだけでこんなに楽しんで聴けるようになるのは凄いことですね」と感想を語った。

私のACP-2N導入記- 小幡寛さんの場合

私が音楽や映像を観たり聴いたりする部屋は、8畳弱の和室。理想の音場、音像定位感を求めるのであれば、小型スピーカーを使って、中音量くらいで聴くのが良いのだろう。しかし、100Hz以下の低音も聴きたいし、体でも音圧を感じたい。これもAVの楽しみの一つと思う。私はそれを叶えるために、大きなスピーカーを据え付けて、出力の大きいアンプを付けた。しかし大きな音で聴くと、ブーミーになったり、定在波が目立ったりして、音像定位も揺らいでしまっていた。

これを改善しようとすると、何らかの調音材(道具)が必要となってくる。しかし、残念ながら我が家のAVルームは専用の部屋ではなく、子供の遊び場であったり、親や客が来た時の客間や寝室の役割も兼ねている。それゆえ、部屋に調音材を設置すると、より狭くなったり、部屋がゴチャゴチャしてしまう。そもそも置き場所を作ることが難しい。

そこで、この調音パネル「ACP-2N」である。サイズは約1200W×600H×30Dmm。面積はあるが、表面に大げさな凹凸などなく平らであり、厚みはたった3cmと薄い。見た目は普通のボードであり、雰囲気も大人しい。「いいねぇ」と思った。1枚当たりの重さも5kgとそこまで重くないので、自分で移動させることができる。後述するが、これは自分で片づけられるというメリットだけでなく、曲によって置き場所を変えられるというメリットも持っている。

さて、肝心な調音効果の印象について語りたい。パネルを置いてみただけでは特別な吸音感もなく、いつもの部屋のままであり、本当に効果があるのかと心配してしまうぐらいである。だが、音楽を聴きだすと、音の雑味がなくなり、スッキリした感じになったことがすぐわかる。「雑味」と書くと、ジャズファンにはいい音も含まれていると捉えられているかもしれないが、このACP-2Nは部屋の灰汁(定在波)をとってくれ、音を整えてくれている印象なのだ。

部屋はほぼ正方形の約8畳の和室であり、中央部に3畳のカーペットを敷いている。スピーカーと椅子以外のものはあまり置いていない。角の2箇所にフロントSP(大)、反対の角から1m程離れたところリアSP(中)、フロントスピーカーの間にセンターSP(中)、右側にSW、フロントスピーカーの反対の壁の天井から50cm程下りたところにサランドバックSP(小)である。今回貸出された4枚のACP-2Nを使用して、10通りの設置方法を試してみた。

  1. フロントSPの裏に各1枚、センターに2枚
  2. フロントSPの裏に各1枚、リアセンターに2枚
  3. フロントSPの裏に各1枚、フロントSPとサラウンドバックSPの間に各1枚
  4. フロントSPの裏に各1枚、フロントSPとリアSPの中央のサイドに各1枚
  5. フロントSPの裏に各1枚、センターに1枚、左側のフロントSPとリアSPの間に1枚
  6. フロントSPの裏に各1枚、フロントSPよりのサイドに各1枚
  7. フロントSPよりのサイドに各1枚、センターに2枚
  8. フロントSPの裏に各1枚、センターに1枚、リアセンターに1枚
  9. フロントSPの裏に各1枚、リアセンターに2枚
  10. フロントSPの裏に1枚、フロントSPとリア

以下に、私の気に入った設置方法を紹介したい。

1)音楽を聴く時

  • ジャズや女性ボーカルものは、フロントSPの裏に1枚ずつ、フロントに1枚、フロントスピーカーとリアスピーカの中間の片側の壁に1枚設置した。
  • ロック、ポップ、ジャズオーケストラはフロントSPの裏に1枚とフロントに2枚設置した。

2)映像を見る時

  • フロントSPの裏に1枚、フロントSPに近い側のサイドに2枚設置した。

スピーカーを置く場所や向きで音が大きく変わるのは分かるが、我が家のスピーカーは50kg、スピーカーボードは15kgと重い。そのため、場所を変えたり、向きを変えたりして調整をすることは大変な作業となり、一大決心がいる。それに対して、ACP-2Nは5kgちょっととほとんど重くない。そのため上述の通り、ちょこちょこ場所を変えて、設置位置によって聴こえ方を試せるので楽しい。私は試していないが、アイボルドが入れられる穴もあいているので、自由な高さに据え付けられる。なお、私の場合は8畳と広くない部屋であるため壁にたてかけて使用したのだが、少し不安定だ。そこで、付属しているT字のスタンドのほかに、L字型のスタンドもあれば嬉しいと思った。

(レポート/小幡寛)

設置間取り図

この導入事例の著作・制作は、株式会社 音元出版です。
ヤマハ株式会社は株式会社 音元出版の許可を得て掲載を実施しています。

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