ピアニスト 伊藤恵さん
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ピアニストにとって、音の問題は常に悩みの種といえます。ミュンヘン留学時代、私は音楽好きの未亡人の住む一軒家に下宿していましたから、比較的恵まれていたとはいえ、それでも音を出すことが許されるのは朝の9時から夜の8時まで(しかもお昼の0時から2時までを除く)という、厳しい制限の中でピアノと向き合っていました。ヨーロッパの人たちは音がうるさいと思えば、遠慮なく「ドンドン……」とドアを叩いて、クレームをつけてきます。ですからヨーロッパでは、周囲に気を遣いながら、大変な思いをして練習していました。 | ||||
留学先でそんな苦労をしたこともあり、帰国後ヤマハのお店で初めてアビテックスを体験したときには、「こんないいものがあるのか!」ととても驚いたことを覚えています。それでも、一戸建ての実家で練習していた間は、お隣がとても音楽好きなご家庭で「どうぞ、窓を開けて練習してください」とおっしゃるほど (笑)。音の問題であまり悩むこともありませんでした。でも、マンションに引っ越してからは、そんなふうに周囲に甘えてはいられません。そこで、思い出したのが、帰国後すぐに体験したアビテックスの素晴らしさだったのです。 | ||||
新築でしたので、部屋やピアノの状況に合わせて自由に設計できる、フリータイプのアビテックスを設置しました。私がピアノを弾くときの最大音量など、実際に細かく計測していただき、それに合わせて吸音用のグラスウールを増量したり、サッシも三重にするなどしていただくことで、ほぼ理想に近い防音を実現できたと思います。 ピアノを弾く部屋で、防音と並んでとても大切なことが、もう一つあります。それは、長時間演奏し続けても耳が疲れず、一音一音をクリアに聴き分けられる 快適な響きを備えていること。せっかくのグランドピアノですから、できれば大屋根を開放して気持ちよく弾きたいもの。その点、アビテックスは室内の響きを 最適な状態に調整できるので、自分の演奏する音を確かめながら、何時間弾いても耳が疲れることがないんですよ。 |
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アーティスト情報 |
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いとうけい 桐朋学園高校卒業後、ザルツブルク・モーツァルテウム音楽大、ハノーファー国立音楽大学に留学。1980年J.S.バッハ国際音楽コンクール第2位、81年ロン=ティボー国際音楽コンクール第3位、及び特別賞入賞。83年第32回ミュンヘン国際音楽コンクールピアノ部門で日本人として初の優勝。シューマンを中心に8年にわたるリサイタルを展開するほか、その作品集をシリーズで録音中(フォンテック)。 伊藤恵ホームページ https://kei-itoh.com/ |
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