Rキュッヒルさんとカーボン弓

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 第一コンサートマスター ライナー・キュッヒル

私は新作の弓には全く関心がなく、ましてやカーボン製は興味の対象外でした。しかしウィーン・フィル定期演奏会で共演者のワディム・レーピン氏がヤマハのカーボン弓を使っているのをみて、試してみたいと思ったのです。彼の弓を借りて、弓に対する私の考えはすっかり変わってしまいました。私のストラディバリウスはより豊かな音を出し、さらに綺麗な音色を奏でたのです。この弓の虜になった私は訪日時、銀座のヤマハにて2本の弓を買い求め、現在もウィーン・フィルの本番やソロの演奏会で交互に使っています。ヤマハの弓の特長はなんといっても押さえた時の弾力性が違うこと。弾く度にその技術の高度さに感嘆し、私の最高級の弓とあまり変わらない音色を出すことには複雑な心境に陥ります。しかし、時代は変わったのです。私はこのヤマハの弓をプロのバイオリニストはもちろん、これからバイオリンを習う皆さんにもぜひお薦めしたい。本当に「素晴らしい!」の一言です。