【導入事例】Nuageインタビュー / プラチナゲームズ 山口裕史氏、進藤雅人氏

Mar, 2016

『ベヨネッタ2』(Wii U)をはじめとした、世界中のゲームファンから高い評価を受ける数々のゲームの開発をてがけるデベロッパーであるプラチナゲームズ。その人気は、触り心地を追求したゲーム性にとどまらず、ハイクオリティーなサウンド面においても大きな注目を集めています。

そんな同社のゲームオーディオを“楽曲”と“効果音”という両面から強力に支えるクリエイター、「山口裕史」氏(リードミュージックコンポーザー)と、「進藤雅人」氏(サウンドデザイナー)のお二人に、DAWシステム「Nuage」(V 1.7)をご使用いただき、 スタインバーグのDAWソフトウェアとヤマハのハードウェアが有機的に組み合わさることによって誕生した次世代のオーディオプロダクションシステム「Nuage」が、ゲームオーディオ制作環境にいかなるメリットをもたらすのか、お話しいただきました。(以下、敬称略)

なお、Steinberg Webサイトでは昨年、同社が導入したSteinberg DAWソフト「Nuendo 7」+「Nuendo Expansion Kit」についてのインタビューについても掲載しています。

このたびのレビューの為に「Nuage」を設置されたMAルームは、ゲームオーディオ制作において、どのような役割を果たしているのでしょうか?

このたびのレビューの為に「Nuage」を設置されたMAルームは、ゲームオーディオ制作において、どのような役割を果たしているのでしょうか?

進藤:

MAルームの役割は、基本的に一般的な映画やテレビなどの映像制作の現場で行われているMA作業とほぼ同一と思っていただいて良いと思います。特に最近は、ゲーム内でカットシーン(ムービー)が多用されていますので、映像に対してBGMをはじめ、SE、フォーリー、アンビエンス、ダイアログといった各種サウンドの音質や音量のバランスを詳細に調整といった作業は、まさに映画制作におけるMAの工程となんら変わるところがありません。

山口:

ゲーム機自体の性能向上にともない、使用されるムービーのクオリティーは日進月歩で向上しており、そこに求められるサウンドも同様に、非常に高品位で緻密なものとなっています。本MAルームでは、そんな要求に対応すべくゲーム内のイベントなどで用いられるムービーはもちろん、各種プロモーションビデオやイントロダクションムービーなど、日々進化をする数々の映像コンテンツに対して、音入れからミックス、マスタリングにいたるまでのMA作業を一貫して行えるよう準備しています。

実際に「Nuage」に触れられてみた、お二人の第一印象についてお聞かせください。

実際に「Nuage」に触れられてみた、お二人の第一印象についてお聞かせください。

進藤:

まずは、なんといってもこの精悍なルックスが、クリエイターのテンションを上げてくれますよね。いざ前に座ったときに、ヤル気にさせてくれるといいますか、クリエイティビティーを刺激してくれます。非常に単純なことですが、実はこれってとても大切なことだと思うんです!(笑) 小型のコントロールサーフェスについては、これまで何度か触る機会があったのですが、やはり「Nuage」ならではの存在感は圧倒的です。

山口:

以前より制作ルームで、Cubase専用コントローラー「CC121」などのコンパクトなコントロールサーフェスを使用していましたが、DAWソフトウェアでの操作に慣れていることもあり、その活用範囲は限られたものとの印象がありました。 しかし、スタジオコンソール並の豊富な操作子とビジュアルフィードバックが得られる「Nuage」なら、ミキシングやMAといった作業だけでなく、楽曲制作の過程においてもさらに威力を発揮してくれそうだと感じられました。

NuendoやCubaseの操作に熟達したクリエイターにとって、「Nuage」のオペレーションスタイルや使い勝手は、いかなるメリットをもたらすとお考えですか?

NuendoやCubaseの操作に熟達したクリエイターにとって、「Nuage」のオペレーションスタイルや使い勝手は、いかなるメリットをもたらすとお考えですか?

進藤:

大型スタジオコンソールに劣らない多彩なフェーダーやツマミ、ボタンなどを備えた「Nuage」は、一見すると非常に複雑な操作や、そのための高度な習熟が必要になると思われるかもしれません。しかし、実はNuage上に並んだ多くの操作子は、NuendoやCubase上でなんらかの操作により実現可能であった機能を、ダイレクトもしくはショートカットして搭載いるだけであることに気付かされます。

さらに、そのレイアウトはDAWソフトウェアのミキサーやコントロールルーム、トランスポートなどのそれとほぼ同一であり、NuendoやCubaseに精通したユーザーであればあるほど、すぐに「Nuage」のオペレーションにも慣れ親しめるはずです。

また、最新のNuage Version 1.7では、弊社サウンドチームでも採用したNuendo 7の新機能(VCAフェーダーなど)に完全対応しており、それは我々にとってとりもなおさずDAWソフトウェアの直感的コントロールの実現を意味し、さらなる作業効率と生産性の向上に多大なるメリットをもらしてくれます!

山口:

残念ながら、自社環境で試すことはできませんでしたが、Nuageでは接続された複数のDAWソフトウェアを切り替え同時に利用可能とのこと(最大3つ)

多数のツールを駆使しサウンドを作り出すクリエイターにとって、マルチDAW対応が大きな魅力となることは間違いありません。さらに、最新のNuage V 1.7では、NuendoやCubaseのみならず、Avid ProToolsとの互換性や利便性も細部にわたり大きく向上しているようで、現在Steinberg製DAWソフトウェアを採用していないゲームデベロッパーやクリエイターにとっても、「Nuage」のオペレーションスタイルの恩恵は、おそらく非常に大きいものとなっていくのではないでしょうか。

最後に、今回ゲームオーディオ制作の現場で実際に「Nuage」を使用されてのご感想と、今後に期待する機能などがあればぜひコメントをお願いいたします。

最後に、今回ゲームオーディオ制作の現場で実際に「Nuage」を使用されてのご感想と、今後に期待する機能などがあればぜひコメントをお願いいたします。

進藤:

高度にソフトウェアとハードウェアが統合された「Nuage」では、単なるDAWソフトウェア+コントロールサーフェスの枠を越え、クリエイターが頭で思い描いたことを、そのままダイレクトに反映できる新たなワークフローを体感することができました。今後はゲームオーディオの制作の現場でも、プラットホームやユーザー再生環境の進化に合わせ、さらにサラウンド化などの要望も多くなってくるものと思われますので、より手軽にサラウンドパンが扱えるマルチタッチ対応パッドコントローラー、専用iPhone/iPadアプリとの連携といったことも将来的に期待したいです。

山口:

ゲームオーディオの制作においては、デベロッパーやプロジェクトにより必要となるコントロールサーフェスに求められる要件はさまざまです。その点、「Nuage」では、16チャンネルのフェーダー・ノブを搭載した「Nuage Fader」(最大3台)や、トランスポート・編集・モニターを司る「Nuage Master」を自由に組み合わせ、さらにそれらを単体でも使用可能と、非常にフレキシブルに現場の要求に応えてくれそうです。

また、スタジオシステムとして「Nuage」を導入することで、ますます多様化するメディアおよびフォーマットに対応可能な作業環境が、さらに強化されるとも感じています。しいていうなら、制作ルームにも設置しやすい、現在の「Nuage」同等の機能を有しながら、さらにコンパクトなユニットなどが登場すると面白いかもしれません。

タイトル紹介

タイトル紹介

『BAYONETTA 2』

対応機種: Wii U

ジャンル: クライマックス・アクション

発売日: 2014年9月20日

希望小売価格: 7,700円(税別)

発売元: 任天堂株式会社

開発元: プラチナゲームズ株式会社

© 2014 Nintendo © SEGA

データ

製品情報 NUAGE