【導入事例】森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボ ボーダレス / ミュージアム / 東京
Japan/Tokyo Sep 2018
2018年6月21日お台場パレットタウンにオープンした、チームラボの常設ミュージアム 『森 ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボ ボーダレス』(以下、チームラボ ボーダレス)。このたびヤマハの音響機器が導入されました。システムのコンセプトと概要について、チームラボサウンド・チームの木本圭祐氏にお話をうかがいました。
チームラボ ボーダレスとは?
“ボーダレス”のコンセプトのもとに、作品同士の境界が無い巨大な展示空間を、鑑賞者自らの身体を使って探索しながらアートを体験する、世界に類を見ない全く新しいミュージアム。映像と音による複雑で立体的な空間演出とともに、世界初公開作品を含む約60作品が展示されている。
チームラボさんのアートには様々な要素がありますね。今回「音」の立ち位置はどのようなものなのでしょうか?
木本氏:
チームラボの作品では、例えば、「光」・「音」・「香り」・「触覚」などの要素があります。そのうち音に関して、音源や音響システムも自分たちでデザインしており、年々音がアートに占める存在感が大きくなってきていると感じます。特に今回は常設の展示だったため、音質調整や設置に困難もありましたが、音環境のデザインにおいて機材選択の幅が広く、やりたいことが出来たと思っています。
サウンド・チーム:木本圭祐氏
今回のチームラボ ボーダレスではたくさんのアートに触れることができますが、どのようなサウンドコンセプトで設計されたのですか?
木本氏:
チームラボ ボーダレスは、その名の通り、境界のないアートでできているのが特徴です。作品が部屋を飛び出して通路を移動しはじめ、他の作品とコミュニケーションし、時には他の作品と融合します。それぞれの作品がBGMやサウンドエフェクトを持ったまま移動して他の作品に融合して行くため、会場の至る場所でBGMやサウンドエフェクト同士が混ざり合う状況が起こります。単に作品の移動に合わせて音を鳴らすだけでは崩壊してしまうので、それぞれの状況に合わせて音の鳴り方や音源を切り替えて、バランスを取っています。
音響機器はどのように選んだのですか?
木本氏:
アートの特性上、従来のマルチチャンネル作品のように特定のスイートスポットを作るというよりは、どの場所にいても楽しめる音環境を目指していたので、小型でもしっかりとした音圧が出るスピーカーを選んで分散して配置しています。BGMを鳴らすものなのか、サウンドエフェクトを鳴らすものなのかなどの用途の違いや、部屋のサイズ感に合わせて1つの部屋の中でも複数種類のスピーカーを組み合わせています。
空間に馴染みながらもアートを彩るサーフェスマウントスピーカー『VXSシリーズ』
機材室のアンプリファイアー『XMVシリーズ』
サウンドはどなたが出掛けているのでしょうか?また、音質調整はどのようにされているのでしょうか?
木本氏:
サウンドは外部の音楽家や、チームラボのサウンド・チームで制作しています。音質調整は、音源の編集やプログラム側に加えて、会場でもオーディオインターフェースのEQやパワーアンプのDSPを使用して行っています。各部屋の音量感の統一は非常に苦労しました。調整時と、実際にお客様が入ってからでも感じ方は違ってきますので、オープン前の内覧会中も調整しますし、オープンしてからも人の入り状況で変わってくると思います。
ヤマハを選んでみて、いかがでしたか?
木本氏:
作品ごとに音が干渉する空間なので、ヤマハのスピーカーはキャラクターがフラットで統一されていて現場調整で助かりました。プロジェクターを470台使用しているため、天井面の設置スペースは限られてしまいますし、空間に没入できるように作品の邪魔にならない見た目も重要でした。そういった意味で場所を選ばず設置できましたし、口径やタイプの違うスピーカーを同じ作品の中で組み合わせても、音のキャラクターが統一できて調整しやすかったです。また、機材の物量が非常に多いため、MA/PAシリーズなど、ハーフラックでコンパクトなアンプがあったので良かったです。
本日はご多忙の中、ありがとうございました。
※本インタビューはサウンド&レコーディングマガジン2018年9月号と同雑誌ウェブサイトでも紹介されています。
http://rittor-music.jp/sound/teamlab_borderless
森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボ ボーダレス
東京都江東区青海1-3-8(お台場パレットタウン、大観覧車下)
http://borderless.teamlab.art/jp
チームラボ
アートコレクティブ。2001年から活動を開始。集団的創造によって、アート、サイエンス、テクノロジー、デザイン、そして自然界の交差点を模索している、学際的なウルトラテクノロジスト集団。アーティスト、プログラマ、エンジニア、CGアニメーター、数学者、建築家など、様々な分野のスペシャリストから構成されている。
https://www.teamlab.art/jp
データ
製品情報 | VXS Series , XMV Series , MA/PA Series |
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