【導入事例】タリーズコーヒー株式会社様 タリーズコーヒー 江ノ電江ノ島駅店 /カフェ/神奈川県
Japan / Kanagawa, Apr 2018
湘南の風光明媚な景観に恵まれ、多くの観光客が訪れる人気スポット江ノ島。
江ノ島電鉄江ノ島駅の駅舎リニューアルと連携するかたちで、駅舎と隣接する立地 に2018年3月、「タリーズコーヒー 江ノ電江ノ島駅店」がオープンしました。旗艦級の2階建て店舗 のBGMシステムとして小型BGMスピーカー VXS1MLB、小型サブウーファー VXS3SB、パワーアンプ MA2030a、PA2030a、デジタルコントロールパネル DCP1V4S-USが導入されました。
タリーズコーヒージャパン株式会社 事業開発本部 事業開発管理グループ 仁田 紀彦氏、事業開発本部 店舗企画グループ 美濃部 卓久氏に、店舗のコンセプトやヤマハBGM機器のご感想を伺いました。
タリーズコーヒーといえば都会的なイメージがあります。今回の江ノ島への出店、および江ノ電江ノ島駅とのコラボレーションはどのような経緯で実現されたのでしょうか?
仁田氏:
タリーズコーヒーとしては江ノ電沿線ですでに藤沢、鎌倉に店舗を持っており、エリア拡大という意図で、かねてから江ノ島への出店を計画していました。
そんな折、江ノ島が2020年東京オリンピック/パラリンピックのセーリング(ヨット)競技会場に決まりました。その玄関口として位置づけられた江ノ電江ノ島駅の駅舎のリニューアルも同時に決まったのです。
そこで、駅を出てすぐの路面に面した立地に出店を予定していたタリーズコーヒーと、江ノ電江ノ島駅が連携する運びとなりました。
具体的にはどのようなコラボレーションが企画されているのでしょうか?
仁田氏:
当店で江ノ電一日乗車券「のりおりくん」を提示いただくとドリンクのサイズアップ、カスタマイズのサービスを無料でご提供(2018年4月30日までの期間限定)します。また江ノ電とコラボしたタンブラーを数量限定にて販売します。
それは江ノ島を訪れる方にとってうれしい特典ですね。
仁田氏:
ちなみにタリーズコーヒーは1997年8月にオープンした銀座の一号店から昨年で20周年を迎えました。
江ノ電江ノ島駅店は、20周年記念店舗として計画されました。関西地域では「花のれんタリーズコーヒー なんばグランド花月店」、関東地域ではこちらの「江ノ電江ノ島駅店」を記念店舗に位置づけています。
タリーズコーヒーにとって意義深い、節目となる店舗なのですね。江ノ島への出店に際し、どのようなコンセプトで計画されたのでしょうか?
仁田氏:
タリーズコーヒーは、「地域社会に根ざしたコミュニティーカフェとなる」を経営理念の一つに掲げており、各店舗がご来店いただくお客様や、地域特性に合わせた店舗づくりをしています。
江ノ島はご承知のように、湘南の数ある名所旧跡の中でも、ひときわ多くの観光客でにぎわう人気スポットです。また歴史のある町で、昔からの地元住民の方もたくさんいらっしゃいます。
そのような土地柄から江ノ電江ノ島駅店は、観光で訪れるお客様はもちろん地域の方たちに 、生活の一部として、朝の出勤前や一日の終わりにコーヒーを楽しんでいただける、そんな場所にしたいと思っています。
お店の雰囲気を表わすキーワードのようなものがありましたらお教えください。
仁田氏:
「Casual & Cozy」= 「気軽に利用しゆったり過ごせる」を店舗コンセプトにしています。
こだわりのコーヒーをご提供し心地よく過ごしていただくことに加えて、コーヒースクールなどのイベントも実施し、地域の方とコミュニケーションが図れるような場にしていきたいと考えています。
コーヒースクールではどのようなコースが提供されるのでしょうか?
仁田氏:
「おいしいコーヒーの淹れ方」や「コーヒーのテイスティングと豆知識・フードペアリング」、「エスプレッソマシンの楽しみ方」の各2時間・3種類のコーヒースクールを定期的に開催する予定です。
「フードペアリング」というのは?
仁田氏:
焙煎の度合いや豆の産地のちがいなどさまざまなタイプのコーヒーと、それぞれ相性の良いフードやスイーツのおすすめペアリングをご紹介する催しです。
どのコースもこだわりたい方におすすめの内容ですね。
ここからは内装設計・施工監理 を担当された美濃部様にお伺いしたいと思います。
「地域に開かれたお店づくり」というお話を伺いましたが、建物や内装の設計にも、地域の特性に合わせた店舗づくりが活かされているのでしょうか。
美濃部氏:
建物の外観・内観ともに、江ノ島の自然を感じられる「明るく開放的な空間」となるよう工夫を凝らしました。
路面に面した建物は大きく設けた窓と暖かな木のぬくもりが感じられる造りが特徴です。100席を有する客席スペースは一階、二階ともに柱を極力減らし、また2面に大きな窓を設けることにより、開放的な空間を作り上げています。
さらに「湘南すばな通り」に面した空間を吹き抜けに仕上げることで、一階と二階の空間をつなげて一つの大空間を生み出しました。
また高い天井にはアクセントとして、店内の空調を効率よく作動させる機能と、海沿いらしい開放的な雰囲気を演出する役割を兼ね備えたシーリングファンを設置しました。
外観の屋根と店内の二階の天井ともに、角度がついているのが特徴的ですね。
美濃部氏:
お隣の江ノ島駅の形状とも連動しているのですが、日本的な切り妻屋根に角度をつけることで変化を持たせています。外観だけでなく内観にも屋根の傾斜を取り入れることで外観と内観に統一感を持たせ、シームレスなデザインにしました。
江ノ島の自然を感じられるように、素材感や色彩にもこだわられているのでしょうか。
美濃部氏:
はい。タリーズコーヒーらしい暖かな木のぬくもりが感じられる内装というのが基調にあります。
江ノ電江ノ島駅店では海に近い店舗ということで、白を多用して明るい空間を演出しています。また、石のような模様の壁や木目調のタイルの床といった自然を感じる素材を用いて、白を基調としたクリアなトーンの中で、きりっとしたコントラストもつけています。
チェアはすべて手触り、柔らかさを重視した貼りくるまれた 仕様で、座った時の心地よさを体感していただけるよう素材感にもこだわったものになっています。
仁田氏 :
海が近いことを意識して開放的な空間づくり、および地域に開かれた店舗づくりを行いました。その一環として、通りに「縁側」のようにも見えるベンチを設置しました。
こちらのスペースはペットの同伴ももちろん可能です。
つづいてBGMシステムについてお伺いします。まず店舗全体の音響システムについてお教えください。
仁田氏:
1階は、小型スピーカー が8台、客席に6台と化粧室に2台 設置されています。またサブウーファーが2台設置されています。2階にも1階同様に小型スピーカー8台、サブウーファー2台が設置されています。パワーアンプは2 階のバックオフィスに2台設置されており、1台は1階用、もう1台は2階用です。
1階用のパワーアンプで屋外のBGMスピーカー VXS5 2台もドライブ しています。パワーアンプが2階に設置されていますので、1階でも音量調整ができるように、コントローラーを1階厨房内に設置しました。
ちなみに小型スピーカーの色は、店内のスポットライトと2階の天井の木目に合わせてブラック 、1階のサブウーファーのみ空調の色に合わせてホワイトを選択しました。
タリーズコーヒーが目指す空間演出において、BGMの果たす役割についてお伺いします。江ノ電江ノ島駅店では、BGMをどのようにお考え でしょうか。
仁田氏 :
「Casual & Cozy」のコンセプトの通り、居心地の良い、くつろげる空間を追求するための、大事な要素のひとつですね。
美濃部氏 :
照明、家具、装飾品と同じように、店内の空間を彩るものとして欠かせませんね 。BGMが無いと不自然ですが、音量が大きいと会話の邪魔になってしまうので、音量調整には気を遣っています。
ヤマハBGM機器のご感想をおきかせください。
美濃部氏 :
コンパクトで目立ちませんが、しっかり音が鳴ってくれる点が良いと思います。また店内のどこにいても均一に音が届く点も、ヤマハを選んで良かったと思うポイントです。
仁田氏 :
通常のスピーカーの場合、スピーカーの真下がうるさくなってしまうことがあります。ただし音量を下げると今度は、スピーカーから遠い客席ではBGMが会話にかき消されてしまいます。ヤマハの小型スピーカーは指向角度が広くて音圧分布が均一なので、会話の邪魔をせずにまんべんなく音が届くところが良いと思います。
余談ですが、意匠の観点からスピーカーを天井に埋め込み設置しました。天井のスポットライトとスピーカーの大きさがほぼ同じなので、お客様から見てどちらが照明でどちらがスピーカーかちょっと区別がつかないかもしれませんね。
美濃部氏 :
スポットライトは、茶色い壁際では間接照明の役割を果たしていまして、店内の演出効果のひとつにもなっています。
1階用と2階用のパワーアンプリファイア― MA2030a、PA2030aについても感想をおきかせください。
仁田氏 :
シンプルで操作しやすいところが良いですね。 1階の厨房内に設置したリモートコントロールパネルDCP1V4S-USもまったく問題なく使えています。
照明や空調などのコントロールパネルと並べて設置されているのですね。
仁田氏 :
はい、営業時間中は厨房内に必ず誰かしらスタッフがいますから、彼らがアクセスしやすいように他のコントローラー類とまとめてこの位置に設置しました。
最後になりましたが、タリーズコーヒー 江ノ電江ノ島駅店の今後の目標がございましたら、お教えいただけますでしょうか。
仁田氏 :
観光で訪れた方には、絶景のオーシャンビューや新鮮な海鮮フードとともにこだわりのコーヒーを味わっていただき、地元の方々には生活の一部として気軽に立ち寄って心地よく過ごしていただける、「湘南すばな通り」に面した「縁側」のような開放的な空間になっていけたらと思います。
今回導入したヤマハの音響機器は、タリーズコーヒーのコンセプトにとても良くマッチしたBGMシステムだと感じています。