Audinate社のAV over IPテクノロジー Dante AVを採用

ヤマハ株式会社は、Audinate社のAV over IPパッケージ『Dante AV Product Design Suite』を採用し、Pro AV市場向けの新製品開発を開始したことを発表しました。初期の製品は、音声信号や映像信号の伝送と分配に、精密な同期が求められるアプリケーションに向けた開発が予定されています。

Audinate社のDanteテクノロジーは、標準的なネットワークスイッチとケーブルを使用し、機器コストを最小限に抑えながら信頼性の高い音声伝送システムを構築できるネットワークソリューションです。

近年のITインフラ発達に伴い、映像と音声を一括して扱う「Pro AV」化が急速に進展しています。AV over IPテクノロジーは、Pro AV環境において、より柔軟でコストパフォーマンスに優れたソリューションを提供します。

Audinate社のAV over IPテクノロジー「Dante AV」は、既存の1Gbps Danteネットワーク上で、音声伝送と映像伝送をシームレスに統合する革新的で新しいネットワークソリューションです。機器の自動検出、ユーザビリティ、統合的なコントロール機能など、音声伝送分野におけるDanteの持つメリットをビデオ伝送にももたらします。また、約2,000種類の既存のDante対応製品との完全な相互運用性を持ち、ネットワーク上での音声信号と映像信号のルーティングは使いやすいDante Controllerソフトウェアで一括して行うことができます。

「Dante AV」は、ネットワーク伝送における映像と音声の同期の問題を、マイクロ秒以下の精度を持つ単一のネットワーククロックを利用することで解決しています。また、業界をリードする「intoPix JPEG2000コーデック」が含まれています。JPEG 2000コーデックは4K/60 4:4:4ビデオをサポートし、低レイテンシーと映像のロスレス圧縮に対応しています。

ヤマハとAudinate社の協業は10年近くにのぼり、2010年に発売したMini-YGDAIカード「Dante-MY16-AUD」で初めてDanteテクノロジーをサポートしました。2012年にはデジタルミキシングコンソール「CLシリーズ」に標準搭載し、Dante対応I/Oラックと接続する画期的な伝送システムが、業界の常識を大きく変えました。その後、主力製品であるデジタルミキシングシステム 「RIVAGE PMシリーズ」、マトリクスプロセッサー 「MTX/MRXシリーズ」、PoEラインアレイスピーカー「VXLシリーズ」など、Dante対応製品を数多く生み出しました。

Figure 53社 CEO Chris Ashworthのコメント

「QLab」は常に技術とアートの融合に取り組んできました。 このソフトウェアは世界中のアーティストがライブショーをより快適に作り上げるために開発したものです。ヤマハのコンソールとの統合がその使命をさらに深めることに喜びを感じています。

ヤマハ株式会社 音響事業本部オーディオ事業統括部長 津川能行のコメント

高度化する舞台演出を支える機材メーカーとして、ショーコントロールは大変重要なファクターです。Figure 53社の「QLab」との連携によって、弊社コンソールが、お客様の価値創造に貢献できることを嬉しく思います。

*1:Figure53社が開発したショーコントロールソフトウェア。音響・照明・映像のコントロールも可能で、ライブや舞台演劇などのイベントで広く使用されている。

*2:汎用のプログラミング言語。コードがシンプルで扱いやすいため、WEBアプリケーションから人工知能・機械学習までさまざまな分野で採用されている。