【導入事例】hotel zen tokyo 様 / ホテル / 東京

Japan/Tokyo/May.2019

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「泊まれる茶室」をコンセプトにしたカプセルホテル「hotel zen tokyo」が、2019年3月、東京・人形町にオープンしました。このホテルは古の茶人が理想の茶室空間とした「市中の山居(しちゅうのさんきょ)」をイメージし、東京の中心にありながら山奥に居るようなやすらぎが味わえる空間です。地下にあるバー「TAIAN」に、このたびデジタルミキシングコンソール「TF1」、スピーカーシステム「VXSシリーズ」を中心としたヤマハのサウンドシステムが導入されました。導入の経緯について、hotel zen tokyoの運営会社である株式会社SEN代表 各務太郎(かがみたろう)氏にお話をお伺いしました。

ph003株式会社SEN代表 各務太郎氏


 

hotel zen tokyoは、どんなコンセプトで作られたホテルなのですか。

各務氏:
hotel zen tokyoは、「泊まれる茶室」をコンセプトにした、全く新しいカプセル型のホテルです。かつての茶人たちが、茶室空間の理想とした「市中の山居」という言葉があります。それは都市の中に山奥のような静けさのある空間を作るという意味なのですが、市中の山居をコンセプトとし、大都会の人形町に、静かな異空間を作りたいというところで、今回のホテルを設計しました。
1階から5階が客室で、地下1階がTAIANというバーになっております。TAIANは千利休の「妙喜庵 待庵」という茶室をモチーフにしたバーで、宿泊されるゲストの方だけでなく、一般の方にもご利用いただける空間としました。宿泊する方々だけでなくTAIANにふらっとお立ち寄りいただいた一般の方にも、千利休の茶室が持っている「空間の考え方」を共有していただくことができます。

ph003hotel zen tokyo 客室

 

どのような方をターゲットにしているのでしょうか?

各務:
TAIANは外国のからのお客様を主なターゲットとして想定していて、メニューも日本産のウイスキーやワインなどに限定しました。とはいえ、人形町は東京駅八重洲口からタクシーで4、5分という立地なので、実際には出張でいらっしゃる国内の方も多くご利用いただいております。いずれにせよ、あらゆるお客様に楽しんでいただけるような空間を目指しています。

ph003バーの奥にあるステージには「茶室」をイメージしたアート作品が設置されている

 

TAIANではヤマハのデジタルミキサーとPA用パワーアンプ、さらに商空間用のスピーカーを導入していただきました。音響機器の選択はどんなコンセプトだったのでしょうか。

各務:
店内の音響機器のユースとしては、基本的にはTAIANの店内で流すBGMの再生がメインになるのですが、お客様がこの場所を借りてイベントなどをしたい、といった場合に対応できるように、使い方の余白を残すようにしました。例えば今後イベントで音楽を使ったり、マイクを使ったり、あるいは楽器の演奏などもありえるのではないか、と思っています。そうしたユースにも対応できるような音響システムを構築しました。機材のキャパシティをあらかじめ小さいものにしてしまうとできることが限られてしまいますから。アナログミキサーではなく、デジタルミキサーにしたのは、今後いろいろな人が使うことを考えてのことでした。通常運用時の設定さえしておけば、シーンメモリー機能で原状復帰ができることや、iPadでのオペレーションに対応していることなどの高い利便性が大きな理由です。パワーアンプについても余裕を持って十分鳴らすことができるものを音響の専門家に相談して選びました。

ph005店内の音響ブースに設置されたデジタルコンソールTF1

ph005音響ブースのラック。パワーアンプPX3は正面に設置された2基のスピーカーシステムVXS8を駆動。最下段のパワーアンプMA2030aは店内に設置されたスピーカーVXS1MLBとサブウーファーVXS3SBを駆動する。

 

店内ではスピーカーは、どのように設置されていますか。

各務:
TAIANの空間へは、1階の入り口階段から降りてくる形になっているので、まず階段を下りてきた時点で少し雰囲気が漏れてくるように、入り口の近くにシーリングスピーカーVXC4を設置しました。そして音をメインに聴きにいらっしゃったお客様にも、しっかりと対応できるように、正面にはBGMメインにしては大きめのスピーカーですが、VXS8を2基設置しています。


ph005バーの奥のステージの上方に設置されたVXS8

 

スピーカーの選定の基準は何でしたか?

各務:
スピーカーの選定では音響の専門家にも入っていただき、聴き比べを行いました。バーの奥でゆったりと飲んでいる方にも、しっかりと聞こえるように音を届けるべき、というご提案をヤマハさんからいただきました。いわゆる「音によるおもてなし」ですが、そのアプローチが、私たちの「禅とおもてなし」の考え方に近いと感じたというのが、ヤマハスピーカーの選定理由です。

また、デザインについても、この空間のイメージは茶室ですので、内装やインテリアは黒、白、木の色だけにしたいと思っていました。今回導入したヤマハのスピーカーは、天井の黒の色合いとマッチしていますし、適度に天井などの設置場所に隠れながらも、上品で適度に印象的なフォルムを持っていて、存在感を主張しながらも場を崩さない、という点でこの空間に合っていると思います。

ph005店内の照明レールに設置されたスピーカーシステムVXS1MLB

ph005天井に設置されたサブウーファーVXS3SB。

 

今後hotel zen tokyoをどのようなホテルにしてきたいとお考えですか。

各務:
このホテルの設計には「失われつつある伝統的な空間を、現代的に解釈して、さらに未来につなげていきたい」という思いが込められています。例えば、客室の床の間に飾られている、新進気鋭のアーティストによる日本画もその一つですし、TAIANでご提供する料理にも同じ思いが込められています。同じ志を持つ様々なジャンルのクリエイターたちと競いながら、日本の伝統を発信していける場になればと考えております。

 

ph005

本日はご多忙の中、ありがとうございました。

hotel zen tokyo:https://www.hotelzen.jp/ja/