【導入事例】明治大学生田キャンパス メディアホール様 / 教育機関 / 神奈川
Japan/Kanagawa Mar.2020
小田急線生田駅にほど近い、緑豊かな多摩丘陵の高台にある明治大学 生田キャンパス。ここには最新の研究・実験施設や自然の地形を活かした圃場や温室などが完備されており、明治大学理工学部・農学部の学生、大学院生のみなさんが学んでいます。そのキャンパスの中ほどにある中央校舎6階の「メディアホール」は2017年に改修が行われ、ヤマハのシグナルプロセッサー「MRX7-D」、デジタルミキサー「TF-RACK」、パワーアンプリファイアー「T5n」、メインスピーカーシステムとしてNEXO「GEO M620」が導入されました。
その経緯と、導入後の使い勝手について、明治大学 情報メディア部 生田メディア支援事務室のご担当者、そして改修を手掛けた共信コミュニケーションズ株式会社(現:株式会社レスターコミュニケーションズ) 映像ソリューション営業本部 第三営業部門 システム営業二部 統括部長代理 種石純也様に伺いました。
メインホールである「メディアホール」の回線をオーディオネットワーク「Dante」に変更
このホールは普段、どんな用途で使われているのでしょうか。
明治大学生田メディア支援事務室:
大教室兼ホールという位置づけで、収容人数は282人。理工学部と農学部の大講義で使われるほか、オープンキャンパスやガイダンス、学会やシンポジウムなど、学内外の大きな催しで使用する、生田キャンパスのメインホールです。
2017年に改修されたそうですが、どんな経緯で機材選定をされたのでしょうか。
明治大学生田メディア支援事務室:
当ホールは30年ほど使用され、それ以降定期的に改修を行ってきましたが、前回の改修から10年が経過し、音響システムの老朽化が進んできたのがきっかけです。改修に際してこれまでのアナログシステムをDanteによるオーディオネットワークに切り替えたのが大きな変化でした。
オーディオネットワークDanteを選択された理由を教えてください。
共信コミュニケーションズ株式会社(現:株式会社レスターコミュニケーションズ) 種石様:
汎用性です。アナログシステムの場合、後で機器を追加したくなっても、入力端子が足りないなど拡張性に制限があります。また回線を増やしたい場合でもアナログ回線だと、その都度ケーブルを引き回す施工が必要です。しかしDanteならLANケーブルがつながってさえいれば自由に機材や回線を増やすことができます。また断線のリスクが少ない点も大きなメリットです。
Danteに切り替えて実際にメリットは大きかったですか。
共信コミュニケーションズ株式会社(現:株式会社レスターコミュニケーションズ) 種石様:
まず今まで使っていた大量のアナログケーブルが全部不要になり、回線がシンプルになりました。以前は回線が複雑だったため保守が大変でしたが、DanteはLANケーブルを必要最低限な本数配線しただけで使えるためケーブルの保守管理が非常に楽になったと感じます。
また改修の間隔が10年あると配線を確認するのに 10年前の回線を仕様書から確認する手間があったのですが、Danteの配線はPC上ですぐに確認できますし、変更もすぐにできるので大変便利だと思います。
「授業をする教員に負担をかけないシステム」が大前提
メディアホールの改修にあたって、重視した点はありますか。
明治大学生田メディア支援事務室:
ここは講義や学会、シンポジウムなどで使用されるホールですから、まずは講演者がマイクを使いやすいこと、そしてハウリングなど、音に不具合が起きないことを重視しました。
教員に対しては、システム操作の負担を無くし、講義を行うことに集中できる環境を整えることが大前提でした。以前のシステムでは、教員がマイクを持って動いた時に、場所によってはハウリングが起きることがありました。そういった講義の妨げとなる事態は無くしたいと思い、改善をお願いしました。
具体的な機器についてお聞かせください。スピーカーにはNEXO「GEO M620」を導入いただきましたが、選定理由を教えてください。
明治大学生田メディア支援事務室:
このホールは講義が中心ですから、まずは音声の明瞭度を最も重視しました。また、300名近い人数が入る大きなホールですから、ホール全体に音が伝えられるということ、さらに講義やイベントによっては音楽を再生する場合もありますので、音楽再生も高品質である、ということを条件にスピーカーをいくつか提案いただき、NEXOのラインアレイシステムGEO M620を採用しました。
実際に何回も試聴しましたが、GEO M620はコンパクトなのに一番後ろの席まではっきりとした明瞭度の高い音が届きます。サイズの面では改修前のスピーカーより小さくなったので、音響機器の存在をあまり意識させない自然さと、防災上の観点からも非常に良いと思いました。
アンプやミキサーはすべてホール後方の調整室に設置されているんですね。
明治大学生田メディア支援事務室:
はい。壇上には教員が触るマイクとインプットラック「Ri8-D」等のインターフェース類だけで、それ以外の機材はすべて調整室にあります。調整室のラックにはデジタルミキサー「TF-RACK」、パワーアンプ「T5n」、デジタルTDコントローラー「DTD-I-N」、さらにシグナルプロセッサー「MRX7-D」を導入しました。
TF-RACK(※)、DTD-I-N、MRX7-D、Ri8-DはいずれもDanteに対応しています。TF-RACKは、チャンネル数が多いことと、タッチパネルの操作性が良い点、そして複数のマイクを使ったときに自動的にゲインを調整してくれる「Dugan Automixer」機能があることが主な選定理由でした。
またMRX7-Dは「Dugan Automixer」機能に加えて、マイクのハウリングを抑える「Feedback Suppressor」機能があり、これらが講義やシンポジウムの時に非常に有効なので導入に至りました。
※Dante入出力カード「NY64-D」を使用
改修後の評判はいかがでしょうか。
明治大学生田メディア支援事務室:
音声の明瞭度は、明らかに向上したと思います。またステージ上を動きながらの授業や、シンポジウムなど複数の講演者がマイクを使う場合でも、ハウリングすることがなくなりました。
評判がいい、というより具体的には「苦情やサポート依頼が減った」というのが正直なところです。たとえばまだ音響機器の改修が行われていない教室では、ハウリングが発生したり、学生が話を聞きづらいということで苦情が出ますし、状況によっては職員がサポートとして常駐しなくてはならないこともあります。しかし改修後のメディアホールに関してはそういった苦情はなく、教員が教壇に立ってスイッチを入れさえすれば使えます。教員だけで操作していただけるようになったのは、実際に使用する教員と、運用管理する私たちの相互にとって大きいと思います。