【導入事例】都シティ 大阪本町 様 / ホテル・レストラン / 大阪

Japan/Osaka Sep.2020

大阪最大のオフィス街、本町。キタにもミナミにも近いこの抜群のロケーションに2020年6月、「都シティ 大阪本町」がオープンしました。

このたび都シティ 大阪本町のホテル館内と1階のモダンチャイニーズブラッセリ―「HALOW」に、ヤマハのシーリングスピーカー「VXC5F」および「VXC3F」が導入されました。選定理由やBGMのコンセプトについて、都シティ 大阪本町総支配人の徳地 正宏氏、音響設計とミュージックデザインに携わったMood Media Japanの植木 美央氏、同社柴崎 大和氏にお話をうかがいました。

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「ボタニカル」をコンセプトとし、ホテルを一本の大樹に見立てました。（徳地氏）

まず、都シティ 大阪本町の概要を教えてください。

徳地氏：
都ホテルズ＆リゾーツは、都ホテル、都シティ、都リゾートの3つのブランドを展開しておりますが、私たち都シティは「都市の滞在を、スマートに」をキーワードとした、宿泊に特化したホテルとなっています。この都シティ 大阪本町では周辺ホテルと比べて少し広めの約23㎡のお部屋を中心に308室の客室をご用意しています。
都シティ 大阪本町は「ボタニカル」をコンセプトとし、ホテル自体を都会にそびえ立つ一本の「樹」に見立てています。1、2階は木漏れ日が差し込んで小動物が集う樹の根っこ、エレベーターが太い幹、廊下が枝で、その先にお花が咲くように各部屋がある、といったストーリー性を持たせています。

宿泊者専用ラウンジ「BLOOM」はインテリアの色合いがシックで、若い方から年配の方まで幅広い年齢層の方々がゆったりとくつろげるような上質な味わいを感じます。

徳地氏：
ありがとうございます。「都会にいることを忘れてしまう」というのも都シティ 大阪本町の狙いの一つです。このラウンジにしばらくいるだけで、今自分は大阪の堺筋本町にいる、ということを忘れていただけるのではないでしょうか。

1階にはモダンチャイニーズブラッセリ―「HALOW」があります。どんなお店かご紹介いただけますか。

徳地氏：
「HALOW」の由来は、中国の若い方が使う「ハロー」という挨拶言葉からきています。ここではウェスティン都ホテル京都の元料理長が腕を振るう本格的な中国料理をリーズナブルな価格帯でご提供しており、ご宿泊のお客様だけではなく、ビジネスマンや近隣の方々にもご利用いただき、おかげさまでご好評いただいております。

BGMはオーガニックな音色を大事にして、アコースティックな音楽をセレクトしました。（植木氏）

BGMを担当された植木様におうかがいします。今回はどんなBGMを選定されたのでしょうか。

植木氏：
2019年の4月に近鉄・都ホテルズ様が都ホテルズ&リゾーツのブランドリニューアルを行った際に、都ホテル・都シティ・都リゾートそれぞれのブランドに3つのキーワードを定めて、スタンダード・ミュージックを作りました。都シティのキーワードは、「スマート・カジュアル・フレッシュ」です。そのイメージを体現するべく、開放感のある響きのコンテンポラリーソウルやニュー・ジャズなどの楽曲をミックスしたオリジナルのプレイリストを、ロビーやレセプション、ラウンジなどで流していただいています。
モダンチャイニーズブラッセリ―「HALOW」には、ロビーとは異なる専用のBGMをご提案しました。中国料理を提供するレストランですが「モダンチャイニーズブラッセリ―」と銘打っていることもあり、いかにも中国というような音楽は一切使わず、ホテルの「ボタニカル」というコンセプトにマッチする、オーガニックで有機的な音色の音楽を選定しています。

選曲にあたって特に注意した点、目指したことはありましたか。

植木氏：
今回のBGMで私が最も特に大切にしたことは、風が流れているような「さわやかさ」でした。室内にいても心地よく風が吹いて空気が動いているように感じる、心がさっぱり晴れやかになるような感覚です。結果的に、徳地総支配人がおっしゃった「ホテル自体が一本の大樹」というイメージによくマッチしたと思っています。

シーリングスピーカー「VXC5F」「VXC3F」は、木の響きの質感をナチュラルに表現してくれます。（柴崎氏）

ここからは実際に音響システムの設計と機種選定を担当された柴崎様におうかがいします。今回の音響システム構築にあたり、どんなことを重視されましたか。

柴崎氏：
音響システムとしても「ボタニカル」を意識し、音色面でもできるだけナチュラルな響きが再生できるようなシステムを目指しました。たとえばドラムのリムショットの音や、ウッドベースを指ではじくときの「パチン」という質感など、楽器音の中でも特に「木」の質感を感じさせる音をできるだけナチュラルに鳴らしたいと思いました。ヤマハのスピーカーシステムはそんなアコースティックな音をナチュラルに表現してくれると認識していましたので、今回選定いたしました。

選定いただいたのはシーリングスピーカー「VXC5F」と「VXC3F」です。その使い分けについても教えてください。

柴崎氏：
ホテル2階のロビーやラウンジ「BLOOM」では計10台の「VXC5F」を使いました。口径が大きい「VXC5F」を選んだのは天井が高いのである程度の音量が必要だと考えたこと、そして音質的に優れていることです。実は別の案件でも「VXC5F」を採用したことがあり、ヤマハのナチュラルな音色と、上質さを感じさせるふくよかな低音が気に入りました。今回の「ボタニカル」というコンセプトにはまさにピッタリでした。また設置面でも天井の懐がどのくらいかわからなかったので、できるだけバックカンが薄い方が良かったという理由もあります。
一方でエレベーターホールなど、それほどサービスするスペースが広くない場所には一回り小さい「VXC3FW」を入れました。またホテル全体で快適な体験をしていただきたいという思いから、トイレにも「VXC3FW」を設置し、ロビーと同じ音楽を流しています。

黒いシーリングスピーカーが、梁の濃い茶色にマッチして、モダンで洗練された印象ですね。

徳地氏：
そうなんです。内装には木目のあるナチュラルな素材を使いつつ、ポイントとして黒い素材も使っているので、スピーカーの存在を変に隠すことなく自然になじんでいて、とても気に入っています。

モダンチャイニーズブラッセリ―「HALOW」にはどのようなスピーカーを使用されたのでしょうか。

柴崎氏：
こちらは店内が白を基調とした内装ですのでシーリングスピーカーには白い「VXC5FW」を8台使いました。こちらでもトイレには一回り小さい「VXC3FW」を入れています。

仕上がった音を聴いてみて、狙い通りのサウンドになっていたでしょうか。

柴崎氏：
このホテルは天井が高いので、思っていた以上に音が豊かに響いている印象で、特にラウンジ「BLOOM」などは狙い以上で、とても自然で雰囲気良く仕上がったと思っています。

徳地氏：
本当に素晴らしい仕上がりで、ホテルとしては大変満足しております。午後5時までは昼の音楽、5時以降は夜の音楽に切り替わりますが、どちらも自然で嫌味がありません。また、ビジネス街という立地でもあり、ロビーで仕事をされるお客様もいらっしゃいますが、音楽が邪魔になることなく快適にお仕事されているのを見ておりましたので、柴崎さんの「ナチュラルな響き」ということが、よく理解できました。

こちらのホテルをご利用されるお客様に、どんな時間を過ごしていただきたいですか。

徳地氏：
宿泊者専用ラウンジ「BLOOM」は、宿泊の方ならどなたでも自由に使っていいただけるリビングのようなスペースです。ここにはあえていろんなタイプの椅子を置いているのですが、私たちはそれぞれの椅子にストーリー性を持たせました。例えばラタンの椅子ではご婦人のグループが和やかにお話しされ、窓辺の椅子では年配のご夫婦が、窓の外を眺めながらゆったりとお過ごしになる。その隣の椅子は、お嬢さんとそのお母様が母娘旅行の途中で立ち寄る。そんなストーリーを想定しました。いざオープンしてみるとそれが思惑通り、本当にそういうイメージの方々が座ってくださっています。このようにいろんな方々が集う場所を彩る素敵な音楽、素敵な音を響かせてくれる音響システムをプランニングしていただいたMood Media Japanさんには大変感謝しています。

本当にくつろげる、素晴らしい空間ですね。本日はご多忙の中、ありがとうございました。