【導入事例】ADRIFT 様 / 多目的エンタメカフェ / 東京

Japan/Tokyo May.2021

東京・新宿から箱根の玄関口である小田原までを結ぶ小田急「小田原線」。その東北沢駅から世田谷代田駅間の地下化に伴って全長約1.7kmの線路跡地に「下北線路街」が誕生しました。「ADRIFT」は下北線路街の東北沢駅寄りの一角で2021年8月にオープン予定の多目的エンタメカフェです。このたびADRIFTにヤマハデジタルミキシングシステム「RIVAGE PM3」が導入されました。

導入の経緯や選定理由などについて、株式会社GREENING プロモーション事業部 コンサルティング事業部 執行役員 宮田 應大 氏、音響コンサルティングを担当された音響技師 西川 一三 氏、オペレーションを行う株式会社リンキィディンク チーフPAエンジニア 山下 大輔 氏にお話をうかがいました。


「下北線路街」に誕生する音楽を中心としたエンタメカフェ

最初にエンタメカフェ「ADRIFT」について教えてください。

宮田氏:
ここはもともと小田急線の線路の跡地です。下北沢地区における小田急線の地下化が2013年3月に完了し、世田谷代田駅から東北沢駅までの線路跡地が1.7kmの更地となりました。小田急さんが中心となってここに新しい街を作ろうということになり「下北線路街」が計画されました。「下北線路街」にはそれぞれの地域住民の方々のために様々な施設が作られました。学生寮や保育園、商業施設や日帰り温泉もあるのですが、弊社GREENINGは東北沢駅寄りの2ブロックの企画と施設運営を担当しておりまして、商業施設の「reload」、エンタメカフェの「ADRIFT」、さらに東北沢駅のすぐ近くには宿泊施設「MUSTARD HOTEL SHIMOKITAZAWA」が入ります。

多目的エンタメカフェ「ADRIFT」

店名の「ADRIFT」とはどういう意味が込められているのですか。

宮田氏:
ADRIFTの言葉の意味は「浮遊」や「漂う」といった意味で、音楽を中心としたエンターテイメントを食事とともに気持ちよく楽しんでいただきたいという気持ちが込められています。ただこうした多目的な空間は様々な使い方をしていただきたいので、あまり色づけのない、意味の強すぎない名前としました。

株式会社GREENING プロモーション事業部 コンサルティング事業部 執行役員 宮田 應大 氏

ADRIFTは具体的にはどんな風に使われる空間なのでしょうか。

宮田氏:
広さとしては150平米のスペースで、主に飲食を伴いながら、音楽や演劇など様々なエンターテイメントが楽しめる複合的な空間です。複合的と申し上げたのは、コロナ禍にある現状では、音楽や演劇で大勢のお客さまを入れて収益を確保することは難しいので、ネット配信を検討したり、アニメやアイドルなどのイベント、記者発表や展示会、さらに平日であれば企業の研修なども想定していますし、カフェとしての稼動もあり得ると思っています。

ADRIFTはエンタメスペースとして多目的な使用を想定

空間そのものはライブハウス的なイメージもありますね。

宮田氏:
ライブハウスや多目的ホールではありませんが、ADRIFTのエンタメの中心は音楽です。ですから音響や照明機材も充実していますし、レコーディングにも対応する設備を用意しています。コロナ禍の現在、しばらくは多目的性を持ったカフェとして様々なことをトライしながら、この場所のあり方を定めていこうと考えています。

多目的に使える柔軟性と扱いやすさを兼ね備えた「RIVAGE PM3」

ADRIFTではこのたび「RIVAGE PM3」を導入いただきました。その選定理由をお聴かせください。

西川氏:
実をというと、最初は演劇がメインで想定されていて、ミキサーも違うモデルが入る予定でした。途中で演劇から音楽を中心としたエンターテイメントにコンセプトが変わり、音響機器選定の依頼をいただきました。
私は新しい場所には最新のミキサーを入れるべきだと常々思っているので、現在最新のミキサーから、音や機能、そして使いやすさ、さらに乗り込みのPAエンジニアの方にとっての使いやすさ、多彩な用途に対応できる汎用性、そしてスペックなどを実際にオペレーションする山下君といっしょに検証した結果、「RIVAGE PM3」を選定しました。

ADRIFTに導入された「RIVAGE PM3」

具体的には「RIVAGE PM3」のどんな点を評価いただいたのでしょうか。

西川氏:
まずは汎用性、柔軟性ですね、多目的エンタメカフェですから、どんなタイプの催し物にも対応できるようにしておく必要があります。ライブSRや演劇の音響は当然ですが、たとえばマルチトラックでのレコーディングだったり、講演会や発表会、企業の研修、さらにここからネット配信を行ったりなど、様々な用途への対応力です。

音響技師 西川 一三 氏

レコーディングも想定されているのですか。

西川氏:
想定しています。「RIVAGE PM3」であれば、48kHzや96kHzでのマルチトラックレコーディングに対応できます。

操作性についてはいかがですか。

山下氏:
音響に関しては私が管理・運用することになりますが、操作性に関して言うと、やはりヤマハの使いやすさというのがRIVAGEにもあって、私にしても、そして乗り込みの外部のエンジニアの方も、ほとんどのエンジニアは「M7CL」などヤマハのミキサーに慣れ親しんでいるので、同じような設計思想と操作性を持つ「RIVAGE PM3」はすぐに扱えると思います。

株式会社リンキィディンク チーフPAエンジニア 山下 大輔 氏
コンパクトなRIVAGE PM3システム用コントロールサーフェス「CS-R3」

伝送はDanteですか。

西川氏:
伝送はデジタルオーディオネットワークであるDanteの96kHzで運用する予定です。Danteを使う理由は配線の柔軟性と、たとえば配信が入った場合でもPAと配信で信号を完全に分離してそれぞれで使えるので、それもメリットだと思います。

Dante用L2スイッチ「SWP2-10MMF」

ヤマハミキサーのDNAを感じさせる豊かな質感の音色

まだテスト段階だと思いますが「RIVAGE PM3」を使ってみて良かったと感じた点はありますか。

西川氏:
音に関しては、僕の場合、アナログミキサーの「PM3000」ぐらいからずっとヤマハを使ってきて、デジタルミキサーに切り替わった後も「M7CL」や「CLシリーズ」と、ずっと歴代のヤマハミキサーを使ってきました。「RIVAGE PM7/PM10」も何度か使ったことがあるのですが、「RIVAGE PM3」もやっぱりヤマハっぽい音だなと感じました。

山下氏:
僕もそう思います。ヤマハ独特の音がすると思いました。

ヤマハの音とはどんな音でしょうか。

西川氏:
言葉にすると質感があるとか、落ち着いているとか。そういう言い方でしか表現できないんですけど……。

「RIVAGE PM3」の実際の使い勝手はいかがでしょうか。

山下氏:
僕は「RIVAGE PM3」は初めてでしたが、やはり「M7CL」などを使っていたので、取説を読まなくても迷わずに操作できました。今やヤマハの「M7CL」や「CLシリーズ」はミキサーのデファクトスタンダードですから、それらを触っていれば、すぐに使えると思います。

最下段がDSPエンジン「DSP-RX」

「RIVAGE PM3」で使ってみたいと思う機能はありますか。

山下氏:
今まで使ったことがなかったんですが、SILK機能の評判がいいので、ちょっと使ってみたいなと思っています。

ステージ側に用意されたI/Oユニット「RPio622」。SILKカード「RY16-ML-SILK」がインストールされている

西川氏:
私もまだそんなに触っていないんですけど、内蔵エフェクターは気になっていますね。リバーブ系のエフェクトの音が良くなっているという話を聞いていますので、ぜひ試してみたいと思っています。

本日はお忙しい中ありがとうございました。

製品情報

デジタルミキシングシステム RIVAGE PMシリーズ