【導入事例】アンドアッシュ 様 / SRカンパニー / 秋田
Japan/Akita Feb.2021
このたび秋田県・秋田市をベースとする株式会社アンドアッシュにヤマハデジタルミキシングシステム「RIVAGE PM3」が導入されました。導入の経緯や選定理由などについて、株式会社アンドアッシュ 代表取締役 萩原 譲氏、同社 菅原 賢氏にお話をうかがいました。
Bリーグなどのスポーツイベントを主に手掛けるアンドアッシュ
「アンドアッシュ」という社名にはどんな意味が込められているのですか。
萩原氏:
アッシュはフランス語で「H」なんですが実は私の名前、萩原の頭文字の「H」です。そしてアンドがその前にあるのは、私たちの仕事はクライアントからの依頼があってのものですから、まずクライアントがあり、そして私たちがある、という意味で「アンドアッシュ」としました。
主にどんなお仕事を手掛けているのでしょうか。
萩原氏:
音響系では秋田を中心としたスポーツイベントが多いです。特にバスケットのプロリーグであるBリーグの秋田ノーザンハピネッツに関わる仕事は弊社が設立以来10年ほどやっています。ほかにも県内のプロスポーツのイベントはほとんど手掛けていると思います。また秋田県以外では国民体育大会や、全国植樹祭などの式典において、映像関係の業務を中心に携わっています。
秋田ノーザンハピネッツのホームである「CNAアリーナ☆あきた」で開催された試合を拝見しましたが、演出、音響、映像、照明などを含め素晴らしかったです。これらは一手にアンドアッシュで担当されているのでしょうか。
萩原氏:
はい。秋田で行われる秋田ノーザンハピネッツの試合は、音響、映像、照明、演出、台本、イベント全体の進行まで全部弊社でやっています。
「RIVAGE PM3」の選定理由は拡張性、信頼性、そして音質
「RIVAGE PM3」の選定理由を教えてください。
萩原氏:
今回の「RIVAGE PM3」としてはコントロールサーフェス「CS-R3」と、DSPエンジンの「DSP-RX」を導入しましたが、将来的にサーフェスを2台にする、あるいはDSPエンジンを2つ使ってのミラーリングなどの拡張性、フレキシビリティがあることを評価しました。
それに加えて、やはり信頼性ですね。ヤマハのデジタルミキサーについては、「CLシリーズ」や「QLシリーズ」にしてもまったく悪い話は聞いたことがないので信頼しています。また国内メーカーということで人的なサポートもしっかりしている点も大きいです。さらに言えば万が一ハードウェアが壊れてもヤマハの機器であればサブ機がすぐに手配できます。ちょっと変わったモデルだと貸し借りもできませんからね。
「RIVAGE PM3」の操作性についてはいかがですか。
菅原氏:
私は以前所属していた会社でヤマハの「PM5D」を使っていましたので、「RIVAGE PM3」もほとんど戸惑うもこともなく使えました。すでに2ヶ月使っていますが、操作性も良いと思います。
「RIVAGE PM3」の音質面はいかがでしょうか。
菅原氏:
ヤマハの新しいモデルなので音質は心配していませんでした。実際に使ってみて思うのは、今までより低音が締まったというか、サウンドがタイトになりました。秋田ノーザンハピネッツのホームである「CNAアリーナ☆あきた」は円形のアリーナで結構残響が大きいんです。今まではボワっとした残響部分をEQで音を絞ったりして結構処理に苦労していたのですが、「RIVAGE PM3」に替えたらローが締まって明瞭度が上がったのでEQで苦労することはなくなりました。「RIVAGE PM3」のEQの効きも良い、というのもあると思います。
萩原氏:
「RIVAGE PM3」に変えてから、秋田ノーザンハピネッツのクラブチームの方からも「音が変わったよね」と言われました。それとアリーナのMCも、今までより声が通りやすくなったと言っています。
Dante+映像信号+MIDIを1本のケーブルに集約して効率化
Bリーグの試合では映像も音声も同じ1本の光ケーブルを使われていると聞きました。
萩原氏:
実は「RIVAGE PM3」を選定した最大の決め手はDanteで、機種選定もDanteありきだったんです。というのも、ミキサーを更新するにあたって、光ケーブルに映像信号とDanteの信号を両方通せないかと思っていて、メーカーに問い合わたり実際に検証したりしてみて、結果的にいける、とわかったので、Danteが使える「RIVAGE PM3」にしたというのもあります。
1本の光ケーブルに映像信号とDanteを通すという使い方は他でもあるんですか。
萩原氏:
他所ではあまり聞いたことがないですが、もうすでに実際にやっていて問題なく使えています。
菅原氏:
いわゆるカメラケーブルと呼ばれる光の多重ケーブルがあって、Danteも同じケーブルに通しています。構造的には映像用とDanteの音声用の芯線が被覆内に別々にあるので、映像用の端末の電源が落ちてもDanteはそのまま使えます。
スポーツイベントなどの大規模施設での音声や映像のケーブルの引き回しにはかなり労力がかかると思うのですが、ケーブルが減るのは作業効率としては大きいメリットですよね。
萩原氏:
ケーブルの本数は現場での設営、撤収の労力として結構効いてきます。それとコートの脇にあるMC席周りも、ケーブルが減ったことで随分すっきりとしました。
MC席にスイッチがありました。これはどういう仕組みなのでしょうか。
萩原氏:
あれはMCが話す時にスイッチ操作でマイクをオンにするカフボックスです。これはMIDIを使って「RIVAGE PM3」のMCマイクのインプットチャンネルをリモートで直接ON/OFFしています。以前は通常のカフを使っていたんですが、接点の劣化でガリが出やすかったですし、長距離伝送のデメリットがありました。「RIVAGE PM3」の入れ替えに際して専用でMIDIのカフボックスを制作しました。MIDI信号はIPに変換してSWP1で伝送しており、DanteとはVLANでネットワークを分けた上でトランク回線を使用しています。
仮設スピーカーとしてNEXO「ID24T9040」を導入
1階のスタンド席用のスピーカーに小型のNEXO「ID24T9040」を4基設置されていました。これはどうしてですか。
萩原氏:
1階の仮設スタンドの一部の席が、メインのスピーカーの音が聞こえづらい位置にあるので、そのエリアをカバーするためにNEXOの「ID24T9040」と、Dante対応のスピーカープロセッサー「DTD-T-N」を導入しました。
菅原氏:
NEXOの「ID24T9040」を選定したのは、Danteが使えること、それとコンパクトサイズなのに音が良いという点です。以前はもっと大きなスピーカーを使っていましたが、NEXO「ID24T9040」は二回りほど小さいですが高効率で音量もあっていい音が出せています。
最後に今後アンドアッシュとしてやっていきたいことはありますか。
萩原氏:
今後は他のプロスポーツもやっていこうと思っています。
でもまだまだ秋田県内で大きなイベントをやろうとすると、東京の会社に頼まないとできない、思っている人が多いので、それを変えたいですね。地元の私たちでも十分お請けできるので、今後は東京に発注しているような仕事も直接受注していきたいと思います。
菅原氏:
私たちは秋田をベースに仕事をしていますが、大都市の同業社さんに負けないように新しい機材や新しい技術を取り入れてどんどんバージョンアップしていきたいなと思っています。
本日はご多忙中、ありがとうございました。
株式会社アンドアッシュ | AND H INC.
http://and-h.net
取材協力
秋田ノーザンハピネッツ
https://northern-happinets.com
製品情報
デジタルミキシングシステム | RIVAGE PM3 |
I/Oラック | Rio3224-D2 |
I/Oラック | Rio1608-D2 |
L2スイッチ | SWP1-8MMF |
NEXOスピーカーシステム | ID24T9040 |
NEXOテジタルTDコントローラー | DTD-T-N |