【導入事例】京都大学基礎物理学研究所 様 / 教育機関 / 京都
Japan/Kyoto May.2021
湯川秀樹博士のノーベル賞受賞を記念して1953年に創設され、日本における理論物理学教育・研究において中心的な役割を果たしている京都大学基礎物理学研究所。日本初の全国共同利用研究所でもあり、大学や研究機関の枠を越えて全国の研究者に利用されています。
その京都大学基礎物理学研究所にこのたびヤマハの遠隔会議用ワンストップサウンドソリューション「ADECIA」が導入されました。導入の理由や使い勝手、施工性などについて、京都大学基礎物理学研究所の大西 明教授、杉本 茂樹教授、菅野 颯人氏、そして導入・施工を担当した株式会社映像システムの西村 一馬氏、村田 将章氏にお話をうかがいました。
※「ADECIA」とは、遠隔会議に必要な機器をすべて揃えた音響システムとして、シーリングアレイマイクロフォン「RM-CG」、遠隔会議用プロセッサー「RM-CR」を中心に、PoE対応L2スイッチ「SWR2311P-10G」、Dante/Poe対応ラインアレイスピーカー「VXL1-16P」で構成されたソリューションです。
コロナ禍で共同研究拠点としてハイブリッド型の遠隔会議が行える場所が必要になった
京都大学基礎物理学研究所について教えてください。
大西教授:
素粒子理論、原子核理論、理論宇宙物理学、物性理論、量子情報という理論物理学の5つの分野をカバーする基礎物理の研究所です。また当研究所は全国で初めての共同利用・共同研究拠点でもあり、全国の大学や研究機関の研究者たちの共同研究の補助やサポートを行っています。さらに最近では国際的な共同研究所を目指し滞在型プログラムも行っています。
このたび遠隔会議システムとしてADECIAを導入いただきました。どんな経緯だったのでしょうか。
大西教授:
共同利用研究所としては研究会の開催や海外から研究者を集めて国際会議を行うことが中心的な事業でしたが、コロナ渦でできなくなりました。それでリモート会議が中心となりましたが、最近は研究者が個別にZoomで参加するより、何人かはリアルの場に集まり、何人かがリモート参加するハイブリッド型がやりやすいということになりました。それを実現するために機材の検討を行ったところ「ADECIAがいいのでは」と菅野君が提案してくれて、「ADECIA」のデモ動画を見て僕と杉本さんが一目惚れし、導入に動き出したというのが今回の経緯です。
菅野氏:
他にも遠隔授業を隣接するホールで行っていました。ただそこは国際会議などを開催できる140名収容の広さなので、ハンドマイクを代わる代わる持って話すというスタイルでやっています。こうしたスタイルですと活発な議論を行うような内容には向かないので、そのようなミーティングや研究会ができる環境を作りたいと思いました。
杉本教授:
実際、そのホールでたびたびハイブリッド型の会議が行われていますが、ホールにいる参加者の発言はマイクを通さないと配信されません。そのためホールでの参加者はハンドマイクを使って発言するわけですが、これが感染症予防の観点からよくないということで、誰かがハンドマイクを使うたびにその都度消毒するということをやっています。これが非常に煩雑なんです。
天井設置型のマイクは設置の手間が省け、部屋のレイアウトも自由
大西教授:
いずれにしてもコロナ禍で遠隔通話ができる部屋がさらに必要だということで、昨年ヤマハのスピーカーフォン「YVC-1000」とそのマイクを3〜4台設置してリモート会議をするようになりました。ただ毎回設置が必要ということが気になっていまして、マイクがもし天井に固定できればなと。そこに菅野君が「ADECIA」を見つけてくれたというわけです。
菅野氏:
「YVC-1000」でWeb会議の会話はしやすいという実感がありましたので、ヤマハ製品で、かつ天井設置できるものを探してネットで見つけました。
菅野氏:
実際この部屋はいろいろな用途で使われていて、たとえば会議なら机を円形に並べますし、セミナーや勉強会の時は黒板を使うので席は全て前向きにするなど机のレイアウトが変わります。以前は机移動のたびにマイクを設置し直しましたが、「ADECIA」では天井に設置してあるので、自由に机が動かせますし、電源を入れればすぐにリモート会議ができるのでとても助かっています。
「ADECIA」は会議室のどの座席からでもクリアな音声が配信できる
実際に「ADECIA」を運用してみて印象や使い勝手はいかがですか。
大西教授:
音声が圧倒的にきれいですね。
菅野氏:
配信先から「聞こえませんでした」と言われることも少なくなった気がします。逆にこっちのちょっとした雑談も全部配信されてしまうようで気をつけています(笑)。
大西教授:
杉本さんは声が小さいですが、部屋の端っこでもやっぱりちゃんと拾ってくれますか?
杉本教授:
僕は自分の声を聞いたことがないので……。
菅野氏:
だいたい聞こえます(笑)
大西教授:
マイクのカバーエリア外で小声だったりすると厳しい面はありますが、ちょっと声を張れば拾ってくれます。部屋のどこで話していてもクリアに音声が聞こえるようになったことが一番の成果だと思っています。
学校でも企業でも、ハイブリッド型の会議のニーズが高まっている
ここからは導入と施工を担当した株式会社映像システムの村田 将章 氏、西村 一馬 氏にインストーラー側の視点でのお話をうかがいます。最初に映像システムさんの業務内容を簡単に教えてください。
村田氏:
映像や音声に関し企業や大学さんなどから要望をうかがい、様々な製品を組み合わせてシステム提案を行い、さらに設置・導入も行っています。いわゆる映像・音響のシステムインテグレーターです。
今回はハイブリッド型の遠隔会議がテーマでしたが、コロナ禍でそのニーズは急増しているのでしょうか。
村田氏:
はい。特に学校では教室での参加が半分、あとの半分は遠隔、というニーズが非常に多くなっています。
西村氏:
実際京都大学さんでもハイブリッド型にしたいということでご連絡いただきました。
「ADECIA」のマイク、スピーカーの設置性は抜群
映像システムさんは遠隔会議システムに関して数多くの製品を扱っていらっしゃいますが、「ADECIA」のメリットはどこにあると思いますか。
村田氏:
まずマイクの「RM-CG」ですが、弊社で扱っているシーリングマイクの中では軽くてサイズも一回り小さいです。ですから施工はしやすかったですね。しかも性能は想像以上でした。
ラインアレイスピーカー「VXL1W-16P」についてはいかがでしょうか。
村田氏:
スピーカーの「VXLシリーズ」は弊社でもすでに他の場所でも採用していて、設置性がとても良いと思います。スリムなので黒板などの両脇にすっきり収まる点が特にいいと思います。音に関してもラインアレイで拡声が後方まで明瞭で、コンパクトながら低音もよく出ていると感じました。
「ADECIA」は遠隔会議専用の『ワンストップサウンドソリューション』を謳っていますが、御社でシステムインテグレーションのデバイスとしてはいかがでしょうか。
村田氏:
「ADECIA」はパッケージ製品ですが、他の機材も比較的自由に追加できるので、お客さまのニーズに応じてプロセッサー、マイク、スピーカーを変更したシステムも提案でき、きめ細やかなカスタマイズができるので私たちとしても扱いやすいです。
私たちは様々なメーカーの製品を組み合わせてシステムを組みますが、技術的な連携がしっかりできるメーカーの製品を使いたいと思っています。というのも企業や学校にシステムを納入するということは、ある意味で保証人になるようなものなんですね。ですから万一トラブルがあってもすぐに対応できる製品を使いたい、その点ヤマハは技術的なフォローを手厚くしてくださるので助かっています。
本日はご多忙の中、ありがとうございました。
製品情報
遠隔会議用ワンストップサウンドソリューション | ADECIA |