【導入事例】桜井誠文堂 / 書店・楽器店・SRカンパニー / 奈良

Japan/Nara May.2021

桜井誠文堂のみなさん
藤川 嘉将氏(前列右) 喜多 航暉氏(前列左)
川崎 まさ子氏(後列左端) 桜井 幹也氏(後列左)
田中 麻希氏(後列右) 出口 敬子氏(後列右端)

大和と紀伊・伊勢を結ぶ交通の要衝として栄えた奈良県 五條市。商家や宿場の風情を残す五條市で明治45年に創業した桜井誠文堂は、書籍、楽器販売、音楽教室運営、そして舞台委託管理業務や音響関連の業務を行っています。

このたび桜井誠文堂にデジタルミキシングシステム「RIVAGE PM5」が導入されました。導入の経緯や選定理由などについて、桜井誠文堂 店長 桜井 幹也氏、同 PAオペレーター 機材管理課課長 藤川 嘉将氏、同 喜多 航暉氏にお話をうかがいました。


創業明治45年、20年前より音響業務を開始し、五條市市民会館の指定管理業務などを受託

最初に桜井誠文堂について教えてください。

桜井氏:
弊社は明治45年創業で、最初は桜井薬舗という薬局でした。後に書店を営み、さらに楽器販売やヤマハ音楽教室・英語教室も展開して、20年ほど前からは音響関連の仕事を開始しました。

なぜ音響関連の仕事を始めたのですか。

桜井氏:
私はピアノの調律技術を身につけるために浜松のピアノアカデミーというヤマハの調律学校に行ったのですが、浜松にいるとき、休日に駆り出されてよくPAの仕事のお手伝いをしたんです。音響の基本的な技術はその時に身につけました。そして20年前に桜井誠文堂の店長となり、そのタイミングで音響の仕事を開始しました。

桜井誠文堂

音響関連では主にどんな業務をされているのですか。

桜井氏:
五條市の委託を受けて五條市市民会館の指定管理業務を行っています。また舞台委託管理業務に関しては上牧町ペガサスホールをはじめ、いくつかのホールや施設を請け負っています。さらにアーティスト主催のコンサートの音響・照明、野外ステージの設営、大学祭、高校の文化祭、運動会、夏祭りのなどのイベントの音響、さらに同業者への機材のレンタルなども行っています。また仮設電気工事も現場の状況に応じて行います。

桜井誠文堂 店長 桜井 幹也氏
五條市市民会館

五條市の近隣の音響業務は一手に引き受けている感じですね。

桜井氏:
そうですね。でも県外に出かけていく仕事も結構多いです。全国に行きますが、多いのは東京で忙しい時は毎週のように行きます。

信頼性の高さを評価しヤマハPA機器を数多く導入

桜井誠文堂では機材をできるだけ自店で所有するようにしているそうですが、それはどうしてでしょうか。

五條市市民会館のステージ上に並べられた桜井誠文堂所有の音響機器の一部

桜井氏:
弊社ではお客さまからの様々なご要望にスピーディに対応するため、音響・照明・楽器・映像などの機器、運送用のトラックなどを可能な限り所有するようにしています。必要な時だけリースすればいいという考え方もありますが、たとえばトラックであれば年末年始は運送屋さんが全部押さえてしまうのでレンタルのトラックがなくなるんです。機材も同じで、繁忙期にはいい物から借りられてしまいます。だったら自分たちで持った方がいい、という考えです。五條にいる理由の1つは倉庫が安いことで、市内数カ所に分散して機材を保管しています。
ちなみに所有している機材はスピーカー250本以上、ワイヤレスマイク150本以上、パーライト照明100灯以上、LEDパーライト30灯以上、ムービングは8台以上、スモークマシンも10台以上、プロジェクターも1万ルーメン以上のものを含め10台以上、さらにカメラを含めた映像機器も持っていますのでネット配信にも対応できます。またイベント用に仮設テント、冷蔵庫、ホットプレートといったイベント用品も多数取りそろえています。

PA機器はヤマハのモデルが多いですが、それはどうしてですか。

桜井氏:
一つは弊社がヤマハ特約店であることですが、一番はやっぱり信頼性ですね。この仕事は「今日はちょっと音が出なかったので、明日にしてもらえますか」って言えませんよね。ですから、トラブルがないということは重要です。

ヤマハ製品は信頼性が高いですか。

桜井氏:
そう思います。実際野外のライブやイベントで砂埃が多いような現場でも、安定した電源さえあればトラブルなしでやってこられました。

「RIVAGE PM5」の選定理由は高音質で多入力・多出力

常にヤマハの最新のデジタルミキサーを導入されていますが、何かポリシーがあるのですか。

桜井氏:
あります。結局前を走るか後ろを走るかだと思うんですよ。時間がたって安くなってから中古を買うという考え方もあると思いますが、高性能な機材は技術をカバーしてくれます。たとえばDan Duganのオートマチックミキサー機能などは講演会などで必要な技術を自動化してくれます。弊社は若い技術者が多いので、このような機能はとても助かります。

今回「RIVAGE PM5」を導入した理由を教えてください。

桜井氏:
これまで「CL5」、「QL5」を使っていましたが、より多出力で、Danteの96kHzで動作するミキサーで、しかもよい音のミキサーを求めていました。そしてコスト面も含めて「RIVAGE PM5」の購入を決めました。

RIVAGE PM5

今までより多入力数が求められているのですか。

桜井氏:
そうなんですよ。最近は大人数の女性アイドルグループなどが増えて、しかもメンバー全員がそれぞれピンマイクやヘッドセットマイクを使ったりするので、以前よりも多入力が必要になりました。またイヤーモニターを使うケースも増えていて、たとえば10人の演者それぞれに個別のミックスで返すとか、モニターをステレオにしたいという要望があったりして、入力だけでなく出力にも多チャンネルが要求されるようになりました。

藤川さん、実際に「RIVAGE PM5」を使ってみた印象はいかがですか。

藤川氏:
とにかく「RIVAGE PM5」は音が圧倒的にいいですね。初めて聴いた時、世界観が全然違うと思いました。それと、楽器を同時に鳴らしたとき、今までだと全部の音源が近くの同じ場所に固まってしまうような、空間が狭い音像になったのですが、「RIVAGE PM5」は音像がすごく広い印象がありますね。あとは音の密度が濃くなったっていうのと、より細密というか。きめ細やかになったというのも感じます。

桜井誠文堂 PAオペレーター 機材管理課課長 藤川嘉将氏

フェーダーやタッチディスプレイの感度、ワイヤレス操作できる「RIVAGE PM StageMix」などで操作性が向上

桜井店長は「RIVAGE PM5」を使ってどんな感想ですか。

桜井氏:
今、藤川も申しましたが、「RIVAGE PM5」は音の分解能が高いですね。あとはフェーダーの操作感も圧倒的に良くなりました。そしてタッチパネルの感度も良くなったと思います。このあたりは常に触るインターフェースなので、操作感は大事かなと思います。さらに3つの画面から得られる情報量の多さですね。従来は1画面だったものが2枚ではなく3枚に増えると。これは使い勝手としては圧倒的に大きいです。

そのほかに良かった点があれば教えてください。

桜井氏:
使い勝手としてはiPadで客席からミキシングの操作ができる「RIVAGE PM StageMix」が大きいです。僕は調律もするんですが、ピアノの調律ってチューニングハンマーで弦を動かして、音を鳴らしながらピアノの一番いいところを探すわけですよね。そんな作業を長いことしてきたので音が変化する途中を聞きたいんです。iPadを持って客席に行って、自分でフェーダーを動かしながら調整できれば瞬時にいいところが分かるんですよ。おかげで音決めが短時間で済むようになりました。

今後はDSPの二重化、96kHzでのマルチトラックレコーディングなどに挑戦したい

最後に、今後こんなことをやっていきたいということがあれば教えてください。

藤川氏:
私は「RIVAGE PMシリーズ」の特長であるDSPの二重化をやってみたいですね。それとDanteを使ってライブをマルチトラック録音することがあるんですが、今までは48kHzだったので、今後は「RIVAGE PM5」で96kHz録音をしてみたいと思います。それと出力も僕の感覚としてはほぼ無限になったような感じなので、今後は音場測定ソフトで測定するポイントも増やしていきたいと思っています。

喜多さんはいかがですか。

喜多氏:
私は今年入社したばかりなんです。音響の仕事をやりたいと思ったのは高校の時に藤川さんにバイトで連れてきてもらってやったのがきっかけですが、コロナ禍もあってまだなかなか現場がありません。今後は藤川さんが映像や音響などいろんなことができる先輩なので、しっかり鍛えていただきたいと思っていますし、「RIVAGE PM5」も少しずつ覚えていきたいと思います。そしていずれは五條という地域を盛り上げていけるようなイベントができたらと思っています。

最後に桜井店長、お願いします。

桜井氏:
今はアーティストの方も音響や照明に複雑なものを求めてきます。それを限られた仕込み時間で仕上げていこうと思ったら、「RIVAGE PM5」のような高機能なミキサーは大きな力になります。仕込み時間が減らせれば、よりよい音を出すために時間が割けますし、結果、良い音を提供することでお客さまにもアーティストにも喜んでもらえる。これに尽きると思うんです。昨今のコロナ禍で「RIVAGE PM5」はまだ一度しか本番で使えていませんが、時間があるうちに操作についていろいろ勉強しておこうと思います。

ちなみにRIVAGE PM5を使った本番とはどんなものだったのですか。

桜井氏:
五條市市民会館主催の「なんでも発表会」というイベントです。年2回ずつやっていて、10回目となった前回はコロナ禍で無観客、インターネット配信となりました。五條でインターネット配信を行ったのは弊社が初めてだと思います。市民なら誰でも無料で出られるというイベントですが、おかげさまでみなさんに大変喜んでもらいました。ネットでアーカイブが見られますのでぜひご覧ください。

拝見します! 本日はお忙しい中ありがとうございました。

桜井誠文堂
https://sakuraiseibundou.com

五條市市民会館
https://www.city.gojo.lg.jp/soshiki/kanzai/6/3/1/index.html

五條市市民会館主催「なんでも発表会」
http://sakuraiseibundou.com/10th-nandemo/

製品情報

デジタルミキシングシステム RIVAGE PMシリーズ