【導入事例】株式会社エス・シー・アライアンス 様 / SRカンパニー / 東京
Japan/Tokyo Mar.2021
株式会社エス・シー・アライアンスは「人は、本気で感動したいんだ」というスローガンの下、演劇、ミュージカル、コンサートなど幅広いジャンルで感動を生み出すクリエイターの集団です。
そのエス・シー・アライアンスの社内カンパニーであるサウンドクラフトライブデザイン社(以下ライブデザイン社)にヤマハデジタルミキシングシステム「RIVAGE PM5」が導入されました。導入の経緯や選定理由などについて、株式会社エス・シー・アライアンス 執行役員COO 佐藤 日出夫氏、同社 サウンドエンジニアの土浦 陽平氏にお話をうかがいました。
ヤマハミキサーとの付き合いは世界歌謡祭から
エス・シー・アライアンスとはどのような会社か教えていただけますか。
佐藤氏:
弊社、エス・シー・アライアンス(旧サウンドクラフト)はもともと演劇の音響から始まり、現在ではコンサート、ミュージカル、オペラ、演劇などの音響・照明・映像、さらには音場空間におけるSRシステムの設計・音場調整業務、音響機器販売、劇場・ホール・スタジオ・アミューズメント施設における演出設備設計や運営など、音響に関わる幅広い業務に携わっています。
佐藤さんや土浦さんが所属するライブデザイン社はコンサートPAなどが多いのですか。
佐藤氏:
ライブデザイン社の業務は、主に仮設PAですね。コンサート、ミュージカル、オペラ、バレエ、クラシックコンサートなどのPAがメインです。
エス・シー・アライアンスは以前からヤマハのミキサーを導入されていますが、どんな理由からですか。
佐藤氏:
弊社とヤマハさんとの関係は非常に古くて、世界歌謡祭が始まった1970年代、ヤマハのミキサー開発が立ちあがった頃からのお付き合いだと聞いています。ですから必然的にヤマハのミキサーを使っていて、私が入社した時もメインはヤマハのミキサーで、モデルとしては「PM1000」や「PM2000」でしたね。アナログミキサーは「PM5000」まで使っていましたし、デジタルミキサーに移行して「PM1D」や「PM10」に至るまで歴代のヤマハのミキサーは一通り使いました。
ミキサーがアナログからデジタルになってもヤマハの良さ、操作性などは継承されていましたか。
佐藤氏:
どちらもしっかり継承されていると思います。音についてはデジタルになることで格段に良くなっていて、特に最初はSNの向上にびっくりした記憶があります。
「RIVAGE PM10」、「RIVAGE PM7」を先行して導入
今回「RIVAGE PM5」の導入以前より、すでに「RIVAGE PM10」「RIVAGE PM7」をお使いいただいておりましたが、「PM1D」と比較してどんな印象でしたか。
佐藤氏:
音がさらに進化しましたね。SILKプロセッシング回路も入りましたし、96kHzサンプリングになったこともあると思います。ヘッドアンプそのものが改良されたのでしょうか、「PM1D」より音の解像度が上がったと感じましたね。
土浦氏:
解像度がすごく高いという表現が一番近い気がします。
「RIVAGE PM5」は「軽量・コンパクト」が重要なポイント
そして今回は「RIVAGE PM5」を導入いただきました。どのように使い分けをされるのでしょうか。
佐藤氏:
今、「RIVAGE PM10」は最上位システムとしてクラシックやオーケストラなどで使用し、続いて「RIVAGE PM7」という位置づけで運用していて、「RIVAGE PM5」については今まで「CL5」を使っていたようなサイズの1人オペの現場等で使用することを想定しました。少ない人数でツアーを回る現場にはこのサイズがピッタリだと思っています。
軽量・コンパクトは、「RIVAGE PM5」の重要なポイントですか。
佐藤氏:
今や音響の現場は女性も多く、弊社でも女性比率が半分近くになっていますので、小型化・軽量化はとてもありがたいと思っています。それとコロナ禍もあって、PAブースの省スペース化も重要です。
PAブースに割く座席スペースを小さくしたい、ということですか。
佐藤氏:
そうです。今は集客を50%にしかできませんから(2021年3月現在)販売できる客席数がすごく少ないんですね。この状況で3列12席だったPAブースを2列6席ぐらいにできれば席数を増やすことができます。もちろんコロナ収束後も、PAブースはコンパクトなほうが有利ですし、オペレーションも効率的になります。
それとコロナ禍で言えば、最近はコンサートと配信がセットになっていることが増えました。このような現場では配信用に別のミキサーを組むことが多いんですが、「RIVAGE PM10」をメインミキサー、「RIVAGE PM5」を配信用ミキサーとしてネットワークに入れてインプットを共有してそれぞれ単独で操作できたら何かと便利なので、今後やってみたいと思っています。
ミキサーに求めるものは「操作性」「音質」そして「信頼性」
佐藤さんが音響エンジニアとしてミキサーに求めるものは、どんなことですか。
佐藤氏:
操作性、音質、そして信頼性ですね。操作性に関しては、感覚的に操作できる卓であることが必要です。音質に関しては、演目にはロックもあればオペラもありますから、全てのジャンルに対応できるフラットで明瞭度の高いサウンドが望ましいですね。そして信頼性はライブSRにおいて最も重要です。
本番でトラブルがあったら大変ですよね。
佐藤氏:
そうなんです。その点ヤマハのミキサーはトラブルが少なく信頼性は高いと思います。もしトラブルが発生してもヤマハのミキサーなら日本中で稼動しているので仮に地方で問題が発生しても手配しやすいですし、ヤマハさんはサポート体制がしっかりしているので連絡すればなんとかしてくれる(笑)。実際のところ大きなトラブルはほとんどないですけどね。
それと、もちろん信頼性だけではなく、サウンドデザイナーとして仕事をしているとき、ヤマハのミキサーは自分のアイディア具現化しやすいし、卓を通った音に説得力があると感じます。
ありがとうございます。土浦さんはヤマハのミキサー、特に「RIVAGE PMシリーズ」にはどんな印象をお持ちですか。
土浦氏:
RIVAGE PM10の音を聴いた時、音の良さにびっくりしたのを今でも覚えています。ヘッドフォンをかけた瞬間に音の広さに驚きました。YAMAHAさんの以前の卓とPM10で、リファレンスCDを聴き比べても違いは明らかでした。
佐藤が言った「卓を通った音に説得力がある」というのは私も同感で、「RIVAGE PMシリーズ」は音色の純度や緻密さが高いと思います。音の解像度が高いために、今まで以上にオペレーターの腕が問われるとも感じています。私はハウスオペレーターよりモニターオペレーターをする現場の方が多いのですが、インイヤーモニターでのミックスに関しても、より繊細なので、日々“いい音”を研究している感じです。
最後に、サウンドエンジニアとして今後やってみたいことがあったら教えてください。
佐藤氏:
将来的にはリモートミックスが増えるんじゃないでしょうか。先日もダミーヘッドマイクを客席に設置し、そこから音声を海外に送り、その国のエンジニアがエディターを使ってリアルタイムにミキサーを操作するということをやっていますから、もうそういう時代は始まっています。そうなるといろんなことが変わってくるでしょうね。エンジニアがPAの現場に行かないで、このオフィスの机であちこちの現場のミックスをするようになるのかもしれません。
土浦氏:
今後やってみたいこと、とは少しずれるかもしれませんが、いずれサウンドエンジニアがいなくてもすべてAIがミックスしてくれる時代になるのかもしれません。たとえAIの時代になったとしても、感情を持った人間だからこそできる“音創り”というものを追求していきたいと考えています。
コンサート、ライブが今までのように行える世界に早く戻って欲しいと心から思っています!
本日はお忙しい中ありがとうございました。
株式会社エス・シー・アライアンス
https://www.sc-a.jp
製品情報
デジタルミキシングシステム | RIVAGE PMシリーズ |