【導入事例】天音つばさ保育園 様 / 保育園 / 大阪

Japan/Osaka Apr.2022

学問の神様である菅原道真公が祀られ多くの受験生が訪れる大阪天満宮、そして桜の通り抜けで知られる大阪造幣局にもほど近い大阪市北区東天満。天音（あまね）つばさ保育園は介護事業や次世代育成などを手がける社会福祉法人　博光福祉会の保育事業部が展開している保育施設です。

天満は近年高層マンションの急増でファミリー層が多く居住し、待機児童対策整備を積極的に行っている地域の一つです。同区には姉妹園もあり、その縁を大切に、さらなる地域貢献の為「やさしい家」として開園されました。

このたび天音つばさ保育園の遊戯室にラインアレイスピーカー「VXLシリーズ」を中心としたヤマハのスピーカーシステムが導入されました。選定理由や使用した感想などについて、天音つばさ保育園・園長の倉橋 忠 氏、園舎の建築設計を担当された建築家の鈴木 道子 氏、そして、映像・音響システムの選定・設置を担当されたサウンドエンジニアの宮坂 一弘 氏にお話をうかがいました。

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木をふんだんに使った暖かみのある園舎で
子どもたちの元気な学び、遊び、集中力を培う

はじめに天音つばさ保育園の概要について教えていただけますでしょうか。

倉橋氏：
天音つばさ保育園は、介護事業なども手がける社会福祉法人 博光福祉会の保育事業部が大阪近郊で展開している保育施設です。天満は近年高層マンションが急増しファミリー層が多く居住しているにもかかわらず、保育所などの整備が追いつかず市内でも保育所へ入りにくい地域の一つです。保育所難のこの地域でぜひとも開園しようと苦労し、やっと2022年に開園しました。

園舎については、法人として掲げる保育の理念の一つ“住育”にもとづいて、子どもたちが元気に安心して学び、遊べるような環境づくりを目指しました。室内のデザインには円や曲線を多く用い、ぬくもりや手触りがいい木材を使用することで、子どもたちがおだやかに過ごせます。この園舎の建築デザインについてはこれまでに私どもの2つの施設でも素敵な園舎を設計してくださった鈴木さんにお願いしました。

鈴木氏：
このあたりはマンションやビルが建ち並ぶ土地柄で、高層の園舎になるということでしたので、通りから見えるファサード（建物正面の意匠）について「天満といえば天神祭の花火が有名だから、それをモチーフにしたらどうか」といったやりとりから着想が広がり、縦に伸びる格子と丸い円を組み合わせたデザインから生まれました。これは花火が空に昇っていく様子をイメージしています。

園舎の内部については子どもの身体になじむように、木材を多用して柔らかい雰囲気をつくっています。遊戯室がある6階の天井は、打ち上がった花火が幾重にも重なって花開いているイメージでデザインしました。

内装デザインにも、用途にも合致したVXLシリーズ
保育施設ならではの「ハウリング問題」も解消

ヤマハのスピーカーシステムを導入いただいた遊戯室も、温かみのある木が多用されていますね。

鈴木氏：
木の柔らかい質感が理由の1つですが、木が音響特性に優れた素材であることも意識しています。特に遊戯室では日常を過ごす部屋より大きな声を出しますし、ピアノ等の楽器を使うことも多いので、音響面には気を使いました。

また遊戯室は体育室や集会ホールの役目も担いますから、天井高を3メートル50センチと高めにとってあります。部屋の形状が響きやすいスクエア型のため、響きすぎないように床と壁、および天井に吸音材を入れました。それと同時に壁面には音が拡散するようにパイプオルガンをイメージした凹凸をつけ、適度な響きを得ています。

倉橋氏：
ここではまだ取り組んでいませんが、系列の幼稚園では楽器演奏に力を入れているところもありますし、小さいうちにこそ、いい音に触れてほしいという思いもあります。また、このような環境が整っていることは保護者の方々へのアピールにもなりますので、数年前から法人として音の環境づくりを大切に考えています。そうした中でサウンドエンジニアの宮坂さんとのご縁ができ、音響システムの選定・設置をお任せすることになりました。

遊戯室にはラインアレイスピーカー「VXL1W-16」「VXL1W-8」を中心としたヤマハのスピーカーシステムをご導入いただきました。選定理由を教えてください。

宮坂氏：
一番の決め手は声がクリアな音質かつ聴きやすいことですね。ラインアレイスピーカーの音の直進性、遠達性に優れる点を評価しました。余分な反響が出にくいからか、とても雑味のないクリアな音だと思ったのが決め手です。保育園では、音楽が綺麗に聞こえることも大事ですが、優先順位としては声がはっきり聞こえることが大事と考えました。

もう一つの大きな決め手が「ラインアレイスピーカーはハウリングを起こしにくい」という特性です。実際に「VXL1W-16」「VXL1W-8」のそばでマイクを使って試してみましたが、ポイントソースに比べてハウリングが起きないことを確認できました。プロの技師がいるようなエンターテイメントの現場と違い、特別なことをしなくても安全かつきっちり声が聞こえるのが「VXLシリーズ』の魅力だと感じます。

内装面では、お話をいただいた時にはすでに内装デザインができあがっていて、デザインに対する深い思いやこだわりが伝わってきましたので、この雰囲気を損ねないためにはスリムでシンプルな「VXL1W-16」「VXL1W-8」が壁面の縦のラインに馴染むだろうし、色も白しかないと思いました。また機能面でも今回は室内にまんべんなく音を届けるために前方に「VXL1W-16」をメインスピーカーとして、後方に「VXL1W-8」をサブスピーカーとしてサイズが違う2モデルを使い、計4台としました。

倉橋氏：
ハウリングが起きにくいという点は、保育の現場では本当に助かります。子どもはいつもじっとしているわけではありません。急に走り出した子どもを追いかけなくてはいけないような場面が多々あるんです。そんな時でもこのスピーカーなら、ハウリングの心配をすることなく、マイクを持ってどこにでも動けます。

大画面スクリーンとサブウーファーの中低域が相まった
迫力のある映像＆音楽体験が保護者に強力アピール

プロジェクタースクリーンが下りてくる遊戯室前方には、サーフェスマウントスピーカー「VXS5W」とサブウーファー「VXS10SW」が設置されています。

宮坂氏：
サーフェスマウントスピーカーは前方を舞台として使う際のモニタースピーカー用途です。サブウーファーは全体の中低音の補強用です。

倉橋氏：
劇や合奏などの時、モニタースピーカーがあるととても助かります。特に合奏の時などは伴奏のピアノの音を返してくれるだけでとても演奏しやすくなります。サブウーファーは、スクリーンで映像を見る時に力を発揮してくれます。

4月に行った入園式では、先生たちの歌で子どもたちを歓迎しましたが、コロナ禍のため事前に撮影しておいた動画を上映しました。そうしたら「音楽に包まれている感じだった」と保護者の方々から大好評でした。スクリーンの大きさとサブウーファーの中低域が相まった迫力のある映像＆音楽体験ができる保育園としてアピールできたのではないかと思います。

これだけの音響設備を備えていると、いろいろな形で活用できそうですね。

倉橋氏：
特別な催しの時だけでなく、日々活用してます。たとえば毎朝マットや鉄棒、平均台などをつないだサーキットをつくって、4-5歳児に思いっきり身体を動かしてもらうのですが、その時に元気のでそうな曲を選んでBGMを再生しています。音楽を聴きながらだと子どもたちの動きもリズミカルになるし、何より楽しく身体を動かせるのがいいですね。また行事の一つとして各園で開催している夏祭りでは、保護者の有志に出演いただくんですが、定番となっているのがバンド演奏で、そこでも活躍すると思います。

今後もこの音響システムを活かして、子どもたち、保護者の方々、そして職員も巻き込みながら、音楽表現を楽しむ機会や人と人がつながるきっかけを提供できる保育園でありたいと思います。

本日はありがとうございました。