【導入事例】慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科 様 / 神奈川
Japan/Kanagawa Jun.2022
東急東横線日吉駅の駅前にある、美しい銀杏並木がひときわ目をひく慶應義塾大学日吉キャンパス。そのキャンパスにある「協生館」を拠点とする慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科(KMD)の2つの教室に、このたびヤマハの遠隔会議用ワンストップサウンドソリューション「ADECIA」が導入されました。
その採用理由や導入後の使い勝手などについて、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授 砂原 秀樹 氏と、設計施工を担当された電音エンジニアリング株式会社 北野 氏、同 丸山 氏、同 富田 氏にお話をうかがいました。
「ADECIA」の導入でディスカッションや質疑応答、グループワークが
教室の学生とリモート先の学生と区別なく行える
慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の概要をご紹介ください。
砂原氏:
慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科(KMD)は、イノベーションを自ら生み出し社会に向けて価値を創出する能力を持つ「メディア・イノベータ」の育成をミッションとして2008年に設立されました。授業では「リアルプロジェクト」と呼んでいる実践活動をカリキュラムの軸に、未来社会のグローバルリーダーに必要な様々なリテラシーを身につけていきます。在学生の年齢や国籍が多岐にわたるため、授業は英語と日本語を使用し、教室の設備もオンライン空間とリモートのハイブリッドでの学習環境を整備しています。
遠隔会議システム「ADECIA」を知ったきっかけを教えてください。
砂原氏:
ハイブリッドの学習環境をやる、といいながら、そのための道具立てが完備されているとは言えなかったので、ハイブリッド環境の完成度を上げたいと考えていました、私はヤマハとは以前からネットワーク等の技術研究で関わりがあり、ヤマハにリモートの学習環境の話をしたところ、この遠隔会議システムのことを教えていただき、デモの準備が整ったところですぐに見に行きました。
「ADECIA」を導入される以前の授業はいかがだったのでしょうか。
砂原氏:
もともとKMDの教室にはPA機器が導入されており、KMDが始まって以来、すべての授業が録画され、アーカイブされています。ただマイクを持っている先生の声は録音されますが、学生との質疑やディスカッションでの学生側の声は記録できていませんでした。これをなんとかしたいと、これまでいろんな工夫をしてきて、いろんな機器を揃えて組み合わせてみたりもしたのですが、操作性が煩雑ですべての教員が扱えるシステムは構築できませんでした。その点が「ADECIA」導入以前の大きな課題でした。
「ADECIA」以外のシーリングマイクも検討されましたか。
砂原氏:
欧米のメーカーのマイクも持っていましたから、それらの製品からどれを採用するかは検討しました。ヤマハを選んだ理由はこれまで使っていたスピーカーフォン「PJPシリーズ」や「YVCシリーズ」の信頼性が高かったことが大半です。最終的にはデモでクオリティを確認し、これだったら十分使えるという感触を得て導入を決めました。
導入されて3ヶ月ほどですが、実際に「ADECIA」を使ってみた感想はいかがでしょうか。
砂原氏:
教室にいる5人くらいとリモートの学生が何人かいるような環境でしゃべることが多いのですが、バッチリですね。以前は教室での学生の質問の声がリモート先では聞こえないという問題がありましたが、そうした問題は「ADECIA」で解消されました。また先日は教室とリモート先のハイブリッド環境で試験を行いましたが「ADECIA」で問題なく試験ができました。他にもいろんな授業やイベントで使っていますが、そちらも想定通り使えています。
「ADECIA」の高精度なマルチビームトラッキングのお陰で
事前設定の手間が少なく効率的に設置できた
ここからは遠隔会議システムの設計と施工を担当した電音エンジニアリングさんにもお話をうかがいます。「ADECIA」の導入の経緯について教えてください。
北野氏:
機種の選定は砂原先生にしていただいていたので、まずは設置する教室を見せていただき、設置場所と数量を想定していきました。今まで弊社ではシーリングマイクを1台、もしくは2台設置する事例はありましたが、1つの部屋にシーリングアレイマイクロフォン「RM-CG」を4台、あるいは6台という現場は初めてでした。
砂原氏:
「RM-CG」を6台設置した大きい教室(C3S02)はコロナ以前であれば100人、今は、コロナでソーシャルディスタンスをとるので40人ぐらいの教室です。もう一方の「RM-CG」を4台設置したのは階段教室(C3S01)です。こちらはコロナ前で60人、コロナ後では30人くらいのイメージの教室です。
それぞれの教室に4台、6台というのは台数的に多い印象です。
北野氏:
教室の人数というより、シーリングマイクの収音範囲から割り出した数です。いずれの教室もかなり広く、講義だけではなくディスカッションやグループワークも頻繁に行われるので、部屋の隅々まできちんと集音できる必要があると考えました。
「ADECIA」の設置に関してはいかがでしょうか。
北野氏:
シーリングマイクの中にはあらかじめ指向性や集音するエリアを設定しておかなければならない製品もありますが、「ADECIA」のシーリングアレイマイクロフォン「RM-CG」には自動的に話者を追尾するマルチビームトラッキング機能が搭載されているので、事前設定の手間がなく調整が楽でした。設置後に教室内のいろんな場所で確認しましたが、しっかりと話し声を拾っていて「RM-CG」のマルチビームトラッキング機能の精度の高さを実感しました。
丸山さんは施工でやりやすかった点、苦労した点はありますか。
丸山氏:
施工に関して「RM-CG」は電源も音声伝送もDante用のLANケーブル1本で完結できるので、結線の手間が少なくて楽でした。
富田さんの施工の管理からはいかがでしょうか。
富田氏:
もともと天井に点検口が少ない部屋だったので、取り付け位置について既存の空調や照明等との干渉を避けるための場所の確保には苦労しましたが、設置自体は難しくなかったですね。
iPadのシンプルで使いやすいタッチパネルにより
誰にでもすぐに扱える優れた操作性を実現
「ADECIA」を使用していて想定以上だった点はありますか。
砂原氏:
電音エンジニアリングさんが作ってくれたiPadのコントロールパネルが非常に良くできています。全ての設定がiPadで行えるのですが、シンプルで、かつ、やりたいことはすぐできる。かゆいところに手が届く、誰にでも扱いやすいコントロールパネルになったと思っています。わたしが好き勝手にリクエストしたことを、電音エンジニアリングさんたちが見事に実現してくださったおかげで良いものができました。
北野氏:
コントロールパネルはヤマハのカスタムコントロールパネルソフトウェア「ProVisionaire」で作成しました。オンになっているのが分かりやすいようにし、さらにメーターによって入力の有無の視認性を高めています。
実際に運用されてリモート先の学生さんの感想などはいかがでしょうか。
砂原氏:
やっぱりリモート先で教室での声が明瞭に聞こえるのは嬉しいと、学生たちは言っています。リモートで受講する学生は多いですが、教室の音がきれいに聞こえないとリモートの学生が感じる疎外感って激しいんです。でも「ADECIA」であれば、学生がこそこそ言ってるような声も全部リモート先でも聞こえる。声が小さい学生も大きい学生もいますが、それぞれふつうに聞こえます。それくらい臨場感があります。これは「ADECIA」にして良かったことだと思います。
リモート先の環境も改善したんですね。
砂原氏:
はい。結局、授業って音なんですよ。音の質でずいぶん授業への姿勢が変わります。90分のオンライン授業で音が悪いと、生徒としてはもう聞く気がしない。オンラインの学生に届く音が割れてたり歪んでたりするのって本当に苦痛だと思うんですよ。逆に「ADECIA」のように音が良ければ自分がそこいる、参加しているのだと感じられる。結局音のクオリティが臨場感や共有感にダイレクトに関係してきます。
メディアデザイン研究科(KMD)のカリキュラムの核である「リアルプロジェクト」は、学生たちの実践活動が主軸です。その観点からも、教室にいる学生とリモートで参加している学生たちとの間が良い音でつながり、臨場感に溢れたディスカッションが行えるようになったというのは、とても大きな環境の進展だと実感しています。
本日はご多忙の中、ありがとうございました。
導入機材のリスト
階段教室(C3S01)
シーリングマイク「RM-CGW」 x4台
シグナルプロセッサー「MRX7-D」 x1台
インプットエクスパンダ―「EXi8」 x1台
シーリングスピーカー「VXC4W」 x2ペア
L2スイッチ「SWR2311P-10G」 x1台
カスタムコントロールパネルソフトウェア「ProVisionaire」 x1台
KMD/SDM教室(C3S02)
シーリングマイク「RM-CGW」 x6台
シグナルプロセッサー「MRX7-D」 x1台
インプットエクスパンダ―「EXi8」 x1台
L2スイッチ「SWR2311P-10G」 x1台
カスタムコントロールパネルソフトウェア「ProVisionaire」 x1台
製品情報
遠隔会議用ワンストップサウンドソリューション | ADECIA |
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