【導入事例】甲子園歴史館 様 / 展示施設・博物館 / 兵庫

Japan/Hyogo Apr.2022

高校野球と阪神タイガースをはじめとする阪神甲子園球場の歴史を一堂に集めた『甲子園歴史館』(兵庫県西宮市)。これまで運営されていた球場外野エリアに加え、2022年3月に球場南側に隣接する商業施設『甲子園プラス』の2Fに新たな展示スペースを確保してリニューアルオープンしました。

このたび新設された甲子園歴史館において、ヤマハラインアレイスピーカー「VXL1B-8」などが導入されました。その選定理由や使用実感などについて、甲子園歴史館を運営する阪神電気鉄道株式会社 スポーツ・エンタテインメント事業本部 甲子園事業部 松本 大希 氏にうかがいました。

阪神電気鉄道株式会社 スポーツ・エンタテインメント事業本部
甲子園事業部 松本 大希 氏

スペース1.25倍、展示内容も
パワーアップしてリニューアル

はじめに『甲子園歴史館』の概要と、今般リニューアルされた背景を教えていただけますか。

松本氏:
『甲子園歴史館』は、2010年初頭に阪神甲子園球場の大改修が完了したことを受けて、「野球文化の振興」と「野球ファンの裾野拡大」を目指して2010年3月、ライト・レフトの両外野スタンド下(2階部分)に開業しました。

収蔵資料は阪神タイガースと高校野球、そして、球場自体の歴史を物語る史料や写真、映像に加え、阪神甲子園球場ならではの感動と興奮が味わえるVRの体感型コンテンツも充実させてきました。資料は2020年1月時点で約4,000点にのぼりましたが、展示できていたのはスペースの関係で約800点にすぎず、入場者数は2018年7月時点で入館者延べ100万人を超えましたので、球場南側に隣接する土地に新たな商業施設『甲子園プラス』をオープンし、2Fに展示スペースを「PLUSエリア」として確保し、甲子園歴史館を拡張しました。

「PLUSエリア」が増えた結果、展示スペースはどの程度増加したのですか。

松本氏:
「球場エリア」と「PLUSエリア」を合わせた展示スペースはこれまでの1.25倍(延べ約1,500平方メートル)となり、展示史料は約1,000点に拡大しました。甲子園プラスと阪神甲子園球場は歩行者デッキでつながっています。

阪神甲子園球場と甲子園プラスを結ぶ歩行者デッキからの“甲子園歴史館”エントランス

拡張した「PLUSエリア」の特徴を教えてください。

松本氏:
「球場エリア」が主に高校野球や甲子園球場についての歴史、そして「PLUSエリア」が阪神タイガースと分けられています。「PLUSエリア」には日本一を達成した1985年、リーグ優勝を果たした2003年など優勝年にフォーカスした《歓喜のビクトリー》、そしてタイガースの歴史に名を残す選手たちの《ヒーロー列伝》、さらにタイガースの選手が実際に使用した野球道具に触れることができる《体験!タッチスタジアム》などがあります。
またタイガースファンにはたまらない選手・監督たちの名言やユニフォームの変遷をたどる《タイガースロード》もあり、タイガースファンはもちろん、一般の方、お子さまにも楽しんでいただけるようになっています。

《歓喜のビクトリー》
《栄光のヒストリー》
《ヒーロー列伝》
選手が実際に使った野球道具に触れるコーナー
VR映像体験コーナー

近接した展示エリアでも音声が混じらないように
指向性を活用し、カバーエリアを設計できる「VXL1B-8」を採用

ラインアレイスピーカー「VXL1B-8」などヤマハのスピーカーシステムはどんな用途で導入されたのでしょうか。

松本氏:
順路の冒頭から《歓喜のビクトリー》から《ヒーロー列伝》と続くゾーンの、おもに映像に伴う音声の再生で「VXL1B-8」を使用しています。また《ミュージアムゲート》と名づけた順路冒頭では、2台のプロジェクターからの映像に伴う迫力ある音声を再生するためにヤマハのサーフェスマウントスピーカー「VXS8」を、またミュージアムゲートの裏手に位置する《歓喜のビクトリー》では、大型の映像モニターで上映されるシーンのナレーションやBGMをシーリングスピーカー「VXC3F」で再生しています。

《ミュージアムゲート》に設置されたサーフェスマウントスピーカー「VXS8」2基
《歓喜のビクトリー》に設置されたシーリングスピーカー「VXC3F」2基

そして、スピーカー選びで一番悩ましかったのが《栄光のヒストリー》です。このコーナーでは、写真や解説のパネル、ショーケースに収めたゆかりの品(実物)に加えて、試合の熱気、選手や観客の興奮を伝えるために動画映像をモニターで再生しています。
ところがこのコーナーは展示壁面が入り組み、近接した場所での映像再生を行わざるを得ないため、それぞれの映像の音が混じって聞こえてしまう可能性がありました。そのため近接したコーナーでもそれぞれの映像の世界に没入できるようにするため、音の干渉が起きにくいこと、音を狙った方向に絞り込めることが求められました。

映像のタイプやモニターの配置などによってスピーカーを使い分け、近接した展示部分ではゾーニングがしやすいラインアレイスピーカー「VXL1B-8」を導入されたということでしょうか。

松本氏:
はい。基本的に映像モニターのあるスペースは、映像モニターの真上から下に向けて「VXL1B-8」を設置しました。VXLシリーズは指向角が縦は狭く横は広い特性のため、設置位置と向きを工夫して音を届ける範囲を限定するよう設計しています。コーナーごとに音がはっきり聞こえて、隣の音は届きにくいため、映像に没頭できます。実際に運用をはじめてから音についてのクレームは一切ありません。

向かい合う壁に映像モニターが設置されている《栄光のヒストリー》。映像を見る人の頭上に「VXL1B-8」を設置することでカバーエリアの絞り込みを実現
《ヒーロー列伝》のコーナーは広々スペースながら、映像モニターが比較的近接していることから、《栄光のヒストリー》と同じプランで「VXL1B-8」を設置

「VXL1B-8」を選定するにあたってスペックのほかに決め手となったことは何かありますか。

松本氏:
指向性が強いという最大のポイントに加えて、デザインがスリムで展示空間にすっきり収まり、存在感を主張しすぎないところも良かったです。《栄光のヒストリー》では5メートルほどの順路に沿って天井の左右に5台、《ヒーロー列伝》では広々とした天井空間に7台もの「VXL1B-8」が並んでいるわけですが、視線を上に向けてもそこにスピーカーがあるとは誰も気づきません。

「見る」「聞く」「体験できる」コンテンツを通して、
新たな野球のファンの開拓をめざす

『甲子園プラス』は、他にも野球好きが楽しめる施設があり、試合がない日でも一日中楽しめそうですね。

松本氏:
ありがとうございます。「甲子園プラス」には、大型スクリーンを使って憧れの阪神甲子園球場でバッティングやピッチングをしているかのような体験ができる『BE-STADIUM KOSHIEN supported by STAND IN』が誕生しました。また以前からご好評いただいてきました「阪神甲子園球場スタジアムツアー」は、内容を一部リニューアルしています。
さらに、AR(拡張現実)を利用して阪神甲子園球場のグラウンドやスタンドのコース内を自由に見学できる「AR KOSHIEN Experience」もスタートしました。1階にはファミリー層に人気の飲食店も入っていますので、高校野球ファン、阪神タイガースファンの方々だけでなく、これまであまり野球に関心がなかった方々も含め、幅広い年代のお客様に楽しんでいただけると思います。

本日はお忙しいところお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。

“野球文化の振興”と“野球ファンの裾野拡大”という甲子園歴史館の設立主旨に賛同し、同館の運営をさまざまな形でサポートする企業としてヤマハミュージックジャパンはシルバーサポーターの一翼を担っています

製品情報

スピーカーシステム VXL1B-8VXS8VXC3F