【導入事例】株式会社ランブリッジ 様 / SRカンパニー / 千葉

Japan/Chiba Jul.2022

千葉を中心にライブ、企業イベントやスポーツイベント、さらにアニメイベントやeスポーツなどの配信まで、幅広いジャンルにおけるサウンドコーディネイトを手掛ける株式会社ランブリッジ(以下、ランブリッジ)。2021年3月、同社にヤマハデジタルミキシングシステム「RIVAGE PM3」が導入されました。

導入の経緯や選定理由などについて、代表取締役 鬼澤 洋輔 氏、サウンドエンジニア 柴田 航也 氏にお話をうかがいました。


コロナ禍により仕事の中心が地域密着の
ライブやイベントから配信へと移行

ランブリッジについて教えてください。

鬼澤氏:
弊社は現在設立して15年目になります。千葉を中心にお祭りやイベントなど地域密着型の仕事をしてきました。また近年ではスポーツ系や展示会などの企業イベントにも力を入れています。ただこのコロナ禍でリアルイベントが一気に減りましたので、現在は企業のセミナー配信やアニメ系の配信、eスポーツの配信などにシフトしています。

ランブリッジの代表取締役 鬼澤 洋輔 氏

ランブリッジが配信の仕事を多く受注されているのはどうしてですか。

鬼澤氏:
コロナ禍がきっかけで配信が盛んになったわけですが、まだ日が浅いので決まったセオリーがありません。各社いろんな方法を模索していたと思うんです。ランブリッジとしても意識を高め、クオリティの高い仕事を追求して来たことが評価を頂いているのだと思います。

配信においてクオリティを高めるためには、具体的にはどんなことをされたのですか。

鬼澤氏:
接続先によって最適な接続方法を選択してシステムをていねいに構築することでしょうか。私たちは全てにおいてまずDanteありきで、Danteから機器に合せたデジタル信号に変換するという方針でシステム構築を行います。必ず映像セクションとの回線のやり取りがありますので映像信号のエンベデット、ディエンベデットの際もDanteからAES/EBUに変換して接続します。PCとの音のやり取りもUSBからDanteに変換するなど、出来る限りデジタル接続することで機器間のレベルマッチングの問題を解消しています。そして配信の最終端のレベルをこちらで管理することが重要だと考えています。

また配信の場合はPAよりもHAのレベルを大きくとります。そうすると今度はS/Nも気になってきますので、これはシステムのS/Nなのか環境によるノイズなのか、問題の切り分けの為にもノイズの少ないデジタルの接続が適していると考えております。

配信でゲインを大きくとるのはどうしてですか。

柴田氏:
ミキサーに大きな情報を入れた方がダイナミクス系などの処理がしやすいからです。メーターが少ししか振れない中で、コンプレッションしたりノイズを切ったりするよりも、大きめの情報を入れて処理した方がていねいにできるので、僕もそうしています。

ランブリッジ サウンドエンジニア 柴田 航也 氏

「RIVAGE PM3」の導入理由は配信での出力数とSILK

このたび「RIVAGE PM3」を導入いただきました。その導入理由を教えてください。

鬼澤氏:
コロナ以前は現場の数が多く、機材の貸し出しも多かったので「LS9」を何台も使っていました。また5年ぐらい前には「QL5」を導入し、主に企業イベントなどで使用していました。ところがコロナ禍でそういった現場が激減して今度は配信が急に増えました。配信について試行錯誤していくうちに「QL5」では足りない部分が見えてきて、それが「RIVAGE PM3」を導入するきっかけですかね。

「RIVAGE PM3」

配信用途において「QL5」で足りなかったのはどんな部分ですか。

鬼澤氏:
一番はバスの出力数です。PAであれば最終的にステレオで2ミックスが出せればいいけど、配信の場合は会場のスピーカーに加えて配信の送り先が何カ所もあります、さらに中継のマイナスワンや収録など、これらをステレオで送るとなると「QL5」ではすぐに足りなくなってしまいます。最初はソフトウェアベースのシステムでやろうとしたんですが、これだと自分たちしか使えない。出力が豊富で誰でも触れる卓ということで「RIVAGE PM3」を選択しました。

RIVAGE PMシリーズの中で「RIVAGE PM3」を選択した理由を教えてください。

鬼澤氏:
コストパフォーマンスです。僕はSILKが使いたかったのでI/Oラック「RPio222」と「RY16-ML-SILK」も買うとなると予算的にも「RIVAGE PM3」がベストでした。「RIVAGE PM3」も「RIVAGE PM5」もDSPエンジンは一緒なので音質は同じですからね。

DSPエンジン「DSP-RX」
「RY16-ML-SILK」が装着されたI/Oラック「RPio222」
「QL5」

SILKの良さはどんなところでしょうか。

鬼澤氏:
感覚的な話ですけど、オフマイクだと拾えない部分がSILKを通すと拾えるというか、オフマイクのニュアンスもちゃんと拾ってくれるというか、マイクの有効距離が伸びるようなイメージです。

柴田氏:
僕もそう思います。音の分解能が上がるということでしょうか。聴こえないけれど多分入っているんだろうなっていう音が、SILKを通すと聞こえてくる。「今まで聴こえなかったけど、やっぱりいたんだ」みたいな感じです。

96kHz駆動で音の分解能が上がり音の見通しが良くなった

実際に「RIVAGE PM3」を使ってみての感想をお聞かせください。音はいかがでしょうか。

鬼澤氏:
導入して1年半ですが、96kHz駆動でかなり音が変わりました。分解能が高いので、音の見通しが良くなったと感じます。

操作性についてはいかがですか。

鬼澤氏:
とても柔軟に使えると思います。同じことをやるにしても、オペレーターの好みに合わせていろいろな方向からアプローチができるようになりました。どうやってやろうかちょっと悩むぐらい(笑)。

柴田さんはどんな印象ですか。

柴田氏:
僕は今までCL/QLシリーズを使う機会が多かったんですけど、すごくいいプラグインがいっぱい入っているのに挿せる数が制限されていて、ライブにしても配信にしても足りないときがありました。それが「RIVAGE PM3」ではいきなり拡張されて、なおかつ、さらにもっといいプラグインも追加されて、もう使いたい放題で、ヤマハのプラグインをほぼ制限なしにフルパワーで使えるようになりました。

マイク入力には「DaNSe」、LR出力には「P2MB」を使用

具体的にはどんなエフェクトをよく使いますか。

柴田氏:
たとえば配信に最適なプラグインもズラッとあって、僕が絶対入れるのはダイナミックノイズサプレッサー「DaNSe」です。これがすごいんですよ。ピンマイク、ヘッドセット、ちょっとオフぎみのマイクなど、これ一発で背後の暗騒音がカットできて、しかもとても自然なんです。

ダイナミックノイズサプレッサー「DaNSe」

柴田氏:
それと「P2MB(Portico II Master Buss Processor)」もむちゃくちゃいいです。コンサートでシーケンスやオケを同期して走らせるケースがあるんですけど、音源のステレオの広がりや奥行き感をコントロールできるのでLRソースには全部挿したいぐらい。また配信でもVTRの音楽素材にこれをかませるとものすごく臨場感が増します。

鬼澤氏:
P2MBはコンプリミッターとステレオ感や前後感を1台でコントロールできるんですよ。

「P2MB(Portico II Master Buss Processor)」

使い勝手の面で「RIVAGE PM3」で良かった点はありますか。

鬼澤氏:
やっぱりサイズ面ですね。バックヤードが狭かったりする時もありますから。

また、うちの「RIVAGE PM3」にはサンプリングレートコンバーター付きのDante対応カード「HY144-D-SRC」を入れているので、96kHzで駆動させつつ、48kHzのシステムともシームレスにやりとりできます。これまでデジタルシステムには常にクロックの制約がありましたが、「HY144-D-SRC」のお陰で柔軟にシステムを構築することが出来るようになりました。

DSPエンジン「DSP-RX」のSLOT3にはサンプリングレートコンバーター付きのDante対応インターフェースカード「HY144-D-SRC」がインストールされている

今後の「RIVAGE PM3」でチャレンジしてみたいことがあったら教えてください。

柴田氏:
僕がPAオペレーターとして乗り込んでいる「gato」というバンドがあるんですが、そのライブを「RIVAGE PM3」でやりたいですね。そのバンドはシーケンスやサンプラー、ドラムやギター等が入っていて、テクノやトランスといった電子音楽をバンド形態でオルタナティブに体現しています。曲によっての音色や、音の定位を自分とメンバー間で意思疎通を取りながら理想通りに整理したいので、選択肢が豊富な「RIVAGE PM3」ならバチっと決められそうです。またメンバーにVJがいるので、視覚からの空間演出に加え、聴覚からもアプローチ出来ればなと思います。

鬼澤氏:
僕は結構、複雑で面倒くさいことが好きなので「RIVAGE PM3」でより面白いシステムを組みたいです。

例えば先日の配信では、日本語と英語に加えVTRの言語違いで8番組同時配信しました。多言語配信の場合は「RIVAGE PM3」を配信マスター卓として使うことが多いのですが、3つあるスタジオのピンマイクを一度配信センターの「RIVAGE PM3」に送り「DaNSe」で処理した音を各スタジオの「QL5」に戻してオペレートしてもらいます。そこからマイクとBGMやSEを分けて「RIVAGE PM3」にもう一度送るといったシステムを構築しました。こうすることで番組間のラウドネスや音質を合わせることができ、配信に適したバランスに組みなおすことができます。「RIVAGE PM3」とDanteありきのシステムです。インプットもアウトプットもプラグインも全部埋まりましたけど(笑)。こんなこと出来るかな?ってのが「RIVAGE PM3」ならできちゃうんですよ。そういう複雑なシステムを延々考えるのが好きです、オタクなんで(笑)。

本日はお忙しい中ありがとうございました。

株式会社ランブリッジ

製品情報

デジタルミキシングシステム RIVAGE PMシリーズ