【導入事例】サーラ音楽ホール(浜松市民音楽ホール)様 / 音楽ホール / 静岡

Japan/Shizuoka Sep.2022

浜松市はさまざまな楽器メーカーが立地する「音楽の都」。市民の音楽文化活動を支える新たな拠点として2021年6月1日、浜松市北区新都田に「サーラ音楽ホール」が開館しました。そのサーラ音楽ホールの音響システムとして、NEXO GEO M6シリーズラインアレイシステムをはじめとするNEXOスピーカーが導入されました。

その使い勝手や音の印象などについて公益財団法人 浜松市文化振興財団 サーラ音楽ホール 館長 村木 啓純 氏、同 サーラ音楽ホール 鈴木 雅子 氏、同 サーラ音楽ホール 宗田 涼 氏、株式会社 ステージ・ループ 岩崎 博子 氏にお話を聞きました。

公益財団法人 浜松市文化振興財団 サーラ音楽ホール 館長 村木 啓純 氏(前列左から2番目)
同 サーラ音楽ホール 宗田 涼 氏(前列右から2番目)
同 サーラ音楽ホール 鈴木 雅子 氏(前列左端)
株式会社 ステージ・ループ 岩崎 博子 氏(前列右端)

「サーラ音楽ホール」は卓越した建築音響で
美しい響きを実現した市民のための新たな文化拠点

「サーラ音楽ホール」についてご紹介ください。

村木館長:
サーラ音楽ホールは2021年6月に開館した音楽ホールです。正式名は浜松市民音楽ホールですが、サーラコーポレーションとネーミングライツ契約を結んでいます。もともと楽器メーカーが多く立地する浜松市は音楽人口が多い都市です。その音楽活動の受け皿の一つとして作られたホールであり、浜松市の新たな文化施設の拠点としての役割も担っています。

公益財団法人浜松市文化振興財団 サーラ音楽ホール 館長 村木 啓純 氏
サーラ音楽ホール外観

サーラ音楽ホールにはどんな特長があるのでしょうか。

村木館長:
浜松には数多くの大型ホールがありますが、その中でも市民の皆さまに身近な存在として、私どもサーラ音楽ホールではできるだけ多くの市民にご活用いただきたいと思っています。とはいえ音楽に親しまれていない方にとって、ホールはちょっと敷居が高いイメージがありますので、できるだけ敷居を低くしていろんな方に気軽に立ち寄っていただき、さまざまなことに挑戦できる施設にしたいと考えています。

使用料に関しても浜松市がかなり抑えた金額設定をしており、教育関係団体でしたら平日の日中であれば朝から夕方までの980席の1階席のみの利用で3万円程度です。ぜひいろんな用途でご活用いただきたいと思います。加えて言えば、演奏会などで使われたお客さまからよく「このホールは響きがいい」と言っていただきます。

この地区では吹奏楽の活動が盛んだそうですが、このホールだと気持ち良く演奏できそうですね。

宗田氏:
ヤマハ吹奏楽団さんもここで演奏をした時、「ここの響きはすごく良いですね」って褒めてくださいましたよ。アマチュアの利用が多いのですが「自分たちがちょっと上手くなったみたいだ」という言われるぐらい、響きがいいです。また吹奏楽だけではなく、合唱などでも「こんなによく響く大きいホールなのに自分の声が返ってくるなんて初めての経験です」などとお褒めいただいています。弦楽の演奏時には、響きを抑制するカーテンを半分開けたり閉めたりして、効果的に響きをコントロールされていました。これだけいい響きのホールはなかなかないと思います。

公益財団法人 浜松市文化振興財団 サーラ音楽ホール 宗田 涼 氏
吹奏楽の演奏
合唱

サーラ音楽ホールの響きがいい理由はどんなところにあるのでしょうか。

岩崎氏:
よい響きが得られているのは、固定型の反響板がステージにあることと、ホール形状が音響特性をよく考えて設計されていること、さらにステージの中にも響きをコントロールするための凹凸が壁面にあることなどが大きく寄与していると思います。

株式会社 ステージ・ループ 岩崎 博子 氏
ステージにある固定の反響板と凹凸が付けられているステージの壁面

開館してから1年ですが、どんな利用が多かったですか。

鈴木氏:
この一年、多くの市民の方々にご利用いただき、みなさんに認知されてきたのかなと思います。このホールは内観がとても美しいホールで響きもいいので発表会などでも人気があります。舞台音響をはじめ、ホールスタッフがお客さまの細かな要望にもお応えしていることも評価されていて、今後のご予約もすでにたくさんいただいています。

公益財団法人 浜松市文化振興財団 サーラ音楽ホール 鈴木 雅子 氏

具体的な用途はどんなものが多いですか。

村木館長:
多いのは吹奏楽の練習ですね。あとは吹奏楽、弦楽、合唱のコンサート、ピアノの音楽発表会、和太鼓の演奏など、音楽の催しが多いです。2022年からは市内の小学校の音楽発表会の場所に指定されましたので、11月末から12月初旬にかけて、市内の小学4年生が集まって演奏会をします。

宗田氏:
音楽以外では民間企業様のご利用もあり、講演会やカンファレンスなど、マイクを使った催しも行われています。音楽ホールの場合、マイク音声が響きすぎて聴き取りにくいことが多いのですが、このホールはマイクを通した声がボヤっとすることなく、明瞭に聞こえるとご評価いただいています。先日もここを使われた企業さんが、別の場所の予約をキャンセルして、このホールを予約してくださいました。

NEXOの小型ラインアレイと多数の補助スピーカーにより
明瞭で聴き取りやすいアナウンスを実現

ここからは音響システムについておうかがいします。今マイクのお話が出ましたが、ホールの響きと明瞭なマイク音声の両立は大変ではないでしょうか。

村木館長:
最近はコンサートも演者がお話しすることが多いのですが、よく聞くのが「演奏の響きはいいんだけど、おしゃべりは何を言っているか全然分からない」という声です。特に古いタイプの音楽ホールでは響きとマイク音声の両立に悩まれているようですが、当ホールは適切にスピーカーを設置することで両立できています。

どうやってマイク音声の明瞭度を確保しているのでしょうか。

岩崎氏:
サーラ音楽ホールは、音楽ホールでありながら、かなりの数の補助スピーカーが分散配置されていることが明瞭性に大きく影響していると思います。スピーカーはコンパクトでかつパワー感があって、ナチュラルなサウンドのNEXOの小型のものが選定されています。そして各スピーカーは音質、音量、距離補正が適切に設定されているので、お客さまはスピーカーの存在を感じることなく、ホール全体が鳴っているような自然な聞こえ方になるように調整されています。

外見からはスピーカーの存在を感じさせませんが、NEXOスピーカーがたくさん使われているのですね。

岩崎氏:
そうなんです。ステージの両脇にサイドスピーカー、ステージ中央の天井部分にプロセニアムスピーカーがありますが、これらはすべてNEXOの小型ラインアレイ、「GEO M6シリーズ」が埋め込まれています。また2階席用の補助スピーカーとしても「GEO M6ラインアレイシステム」が天井の金属ネットごしの見えにくい部分にあります。さらに客席後方やバルコニー両サイドの天井、そして最前列のステージフロントにはNEXOの小型スピーカー「ID24」が距離補正を施して分散配置されています。これらのおかげで、響きが豊かな音楽ホール特有のトークの聴こえづらさが少なく抑えられています。

サーラ音楽ホール
プロセニアムスピーカー、NEXO「GEO M620フルレンジモジュール」× 9台と「GEO M6Bベースモジュール」× 3台で構成
ステージ左右に設置されたサイドスピーカー、NEXO「GEO M620」× 7台と「GEO M6B」× 2台に「RS15サブウーファー」x 1台で構成
2階席補助スピーカー、NEXO「GEO M620」× 3台、「GEO M6B」× 1台で構成
ステージフロント補助スピーカーNEXO「ID24」(ステージ下に設置)
後部座席、バルコニー用補助スピーカーNEXO「ID24」
アンプ室に設置されたNEXO パワードTDコントローラー「NXAMP MK2」シリーズ

調整卓はデジタルミキシングコンソール「QL5」を導入いただきましたが、音響システムについての使い勝手はいかがでしょうか。

岩崎氏:
調整卓は乗り込みのオペレーターも使われますが、ヤマハの「QL5」は音響エンジニアであれば、どなたでも使いこなせます。また舞台袖、客席などにデジタルオーディオネットワークDanteのコネクターを準備していますので、催し物にあわせてフレキシブルに使いこなすことができます。舞台袖にも簡易操作用に「QL1」を備え、催し物の音声の記録もデジタルデータですぐにお客さまにお渡しできます。

音響調整室
音響調整室に導入されたデジタルミキシングコンソール「QL5」
舞台袖に設置されたデジタルミキシングコンソール「QL1」

「アイディア・チャレンジ事業」の創設で、
市民の創造的な文化活動を支援

サーラ音楽ホールはコロナ禍での開館となりましたが、現在の状況はいかがでしょうか。

村木館長:
まだまだコロナ禍ではありますが、施設の稼動はおかげさまで上がってきており100%に近い状態になってきました。

宗田氏:
コロナ禍で収容人数に制限があった中で、サーラ音楽ホールは広さが十分あり、1階と2階を完全に分ける運用ができた点と配信の設備も整っていた点を生かすことで、コロナ禍の中でもある程度催事を行うことができました。

今後のサーラ音楽ホールについてのお話をきかせてください。

村木館長:
最初にも申しましたが、できるだけホールの敷居を下げて、音楽に親しむ趣味層を増やしていきたいと思っており、その一環として2021年に「アイディア・チャレンジ事業」を立ち上げました。この助成制度はホール側からの提案ではなく、ホールを使う側の方々の「○○がしたい!」という思いを手助けするものです。具体的にはこのホールを活性化する、賑やかにしていくアイデアを募集し、ホールの職員といっしょに企画会議を重ねて、ホールの主催事業として実現に向けて動いていきます。助成は通常年度単位で締め切られ、発表を行いますが「アイディア・チャレンジ事業」では年度単位では実現が難しそうなものであっても、2年、3年かけて取り組むことができます。

また単独ではできないような催しでも、ホール側と一緒にやることで実現可能になるかもしれません。その他にも「サーラ音楽ホール」がNPO法人浜松生涯学習音楽協議会と協働で育成している小学生有志による吹奏楽団「浜松ジュニアブラス」(https://www.hcf.or.jp/facilities/music-hall/what/サーラ音楽ホールhjb育成事業とは?/)の育成事業なども積極的に行っています。こうした活動を通じ、「サーラ音楽ホール」が、市民の方々の創造性を育む場、そして創造的な文化活動の中心となるようにしていきたいと思います。

本日はご多忙中ありがとうございました。

サーラ音楽ホール
https://www.hcf.or.jp/facilities/music-hall/

ヤマハサウンドシステム株式会社 納入事例ページ
https://www.yamaha-ss.co.jp/halls-in-japan/shizuoka-hcf-music-hall.html


データ

NEXO

NEXO製品についてはこちらをご覧ください。
NEXOサイト 日本語ページ