【導入事例】有限会社ビッグブラザーズ 様 / SRカンパニー / 福岡

Japan/Fukuoka Dec.2022

福岡を中心に楽器や音響機器のレンタル・販売、ライブハウスや音楽イベントの音響設計、録音、音声中継などを手掛ける有限会社ビッグブラザーズ(以下 ビッグブラザーズ)。そのビッグブラザーズに2021年3月、ヤマハのデジタルミキシングコンソール「RIVAGE PM5」が導入されました。

その使い勝手や機能の評価などについて、ビッグブラザーズ ステージ制作部 チーフ 髙田 靖 氏、同 ステージ制作部 石井 雄大 氏、同 田島 翔太 氏とグループ会社の株式会社 フルトラック(以下 フルトラック) サウンドエンジニア 北村 明広 氏にお話をうかがいました。


ヤマハミキサーとは1981年の創業以来の長い付き合い

ビッグブラザーズの業務内容について教えてください。

ビッグブラザーズ ステージ制作部 チーフ 髙田 靖 氏

髙田氏:
弊社は1981年創業し今年で41年目を迎えます。ここ福岡を中心に、主に音響機材、楽器のレンタルと販売、そしてライブハウスを中心とした音楽イベントの音響オペレーションや、音響設計、録音、音声中継などを手掛けています。

ヤマハの音響機器とのお付き合いも長いのでしょうか。

髙田氏:
ヤマハの音響機器は初期のミキサー「PM-700」から使っていました。「POPCON(ヤマハポピュラーソングコンテスト:1969年-1986年)」が全盛の時代からのお付き合いです。アナログミキサーの「PM4000」もよく使いました。一番使っていた時は4台所有していました。「PM1D」も使っていましたよ。

「RIVAGE PM5」の導入前は、何をお使いでしたか。

髙田氏:
デジタルミキサー「CL5」と「QL1」です。「CL5」は2台所有しています。

「RIVAGE PM5」の導入理由は「RPio622」の優れた音質と可搬性

アナログ時代も含めてずっとヤマハのミキサーを使っていただいていますが、「RIVAGE PM5」はいつ導入されたのですか。

「RIVAGE PM5」

髙田氏:
2021年の3月です。弊社はもちろん他社のミキサーも所有していますが、アーティストが全国ツアーで福岡に来る際などは、やっぱりヤマハのミキサーをオーダーされることが多いんです。ヤマハであればほとんどのエンジニアがすぐ使える定番です。ですから最新のヤマハミキサーを持っていれば、貸し出す側としては楽なんですよね。

石井氏:
実際問題、「RIVAGE PM5」を貸し出ししてエンジニアの方に使い方を説明すると、すぐに使いこなしていらっしゃいます。

ビッグブラザーズ  ステージ制作部 石井 雄大 氏

RIVAGE PMシリーズの中で「RIVAGE PM5」を導入いただいた理由を教えてください。

髙田氏:
デモで「RIVAGE PM5」と「RPio622」の組み合わせで音を聴かせてもらい、音が繊細だと感じました。ライブ現場でRPioを用いて音を出したいと思ったことが一番の決め手です。次に「RIVAGE PM5」は3画面あることです。3画面あることで、例えばサーフェスの3Bayを区切って個別画面でオペレーションすることができますし、1画面をプラグインの専用画面として固定することができます。

またやっぱり軽さ、可搬性は重要で、サイズ的にもちょうどいい。これ以上大きくなると、現場で潰す客席の数も増えてしまいます。それらを総合して「RIVAGE PM5」を選定しました。

3画面が使える操作性の良さとフェーダーの繊細なタッチ

「RIVAGE PM5」導入から1年半が経ちましたが、使い勝手はいかがですか。

石井氏:
画面が3つあるのがいいと思います。最初は3つもあるので戸惑いましたが、使っていくうちに自分なりの使い方を見つけて、そこからは一気に触りやすくなりました。僕は基本的に1つ目の画面を24ch分のインプットに、2つ目の画面は12ch分のマスター、3つ目の画面は独立させて使うことが多いです。あとはCL/QLよりUser Defined Keysが増えたのも使いやすいです。

User Defined Key

その他の操作性はいかがでしょうか。

石井氏:
フェーダーが滑らかで、指先の微妙なタッチに音がついてきてくれるので、フェーダーで1dBの差をすごく感じます。それからそれぞれのBayにフェーダーが12本あるのも使いやすいです。一度に操作できるフェーダー本数が増えたので、大人数のアイドルグループが複数出演する時などは、ワイヤレスマイクのチャンネル数が膨大になるので助かります。

デジタルで削ぎ落されたサウンドの「温かみ」が戻ってきた

北村さんは、ライブハウスでPAのオペレーションをされているそうですが、「RIVAGE PM5」の音の印象はいかがですか。

フルトラック サウンドエンジニア 北村 明広 氏

北村氏:
私は福岡中央区の大名にある「UNITEDLAB」というライブハウス(最大収容人数:スタンディング1200名 / 着席形式で500名 https://unitedlab.live)で、エンジニアをしています。私の印象では「RIVAGE PM5」は声や楽器の音だけでなく、その音の周りにある「何か」までも再現できている気がします。

それは「RIVAGE PM5」の音の分解能が上がったということでしょうか。

北村氏:
RIVAGE PMになって96kHzで駆動するようになったのは大きいと思います。私たちの世代は最初はアナログから入って、だんだんデジタルに移行していく過程を見てきました。そしてデジタルは便利でいいけど、音の温かみみたいなものが削ぎ落とされてしまったと感じることもありました。でもデジタル技術が進化するにしたがって、アナログに近づいてきている気がしています。

特に「RIVAGE PM5」は、音の分解能が上がり、立ち上がりのスピードが速くなったので、アナログに近い「音以外の何か」が戻っているという印象を持ちました。

バンドが多いフェスの現場で「SILK」が活躍

「RIVAGE PM5」は現在、主にどんな現場で使用しているのでしょうか。

石井氏:
僕が初めて「RIVAGE PM5」を使ったのは音楽フェスのモニター卓で使う現場でしたが、使用したI/Oラック「RPio」は「Rio」に比べてやっぱり音の分解能が高いなと感じました。アーティストの方から「音の抜けを良くしてほしい」とオーダーがあった時も、マイクプリ上で使える「SILK」のREDを上げるだけで音が決まり、とても評判が良かったです。

「SILK」は具体的にはどんな点がいいですか。

石井氏:
EQよりも音が自然に変化します。「SILK」のREDは高音が伸びて繊細になり、BLUEは音がちょっと太くなる感じがします。フェスみたいにいろいろなバンドをオペレートする現場だとEQよりも使いやすいです。

田島さんは、どのような現場を担当されることが多いですか。

田島氏:
私は現状では主にCL/QLシリーズを使うことが多く、まだ「RIVAGE PM5」でオペレートしたことはないんですが、いずれ現場で使う機会が出てくると思うので楽しみです。とはいえ仕込みや撤収で「RIVAGE PM5」を運搬はしていて、ハイエンドモデルなのに軽量・コンパクトで可搬性が素晴らしいと思います。

ビッグブラザーズ  ステージ制作部 田島 翔太 氏

ハイエンドモデルながら、優れた可搬性を実現

PA機器は日々設営と撤収を行う仮設の現場が多いですから可搬性は重要ですよね。

「RIVAGE PM5」用に特注されたフライトケース
専用ケースに設置されたトラックボール用のスタンド
専用ケースにはキーボードとヘッドホンの収納場所も用意されている

髙田氏:
そうなんですよ。「PM1D」や「PM4000」を使っていた頃は、スタッフ総出で、足りないときにはアルバイトも頼んで1台のミキサーを8人がかりで運びました。でも「RIVAGE PM5」なら田島君と2人で運べます。

髙田さんは現場を統括する立場として、「RIVAGE PM5」を導入してどんなところが良かったと思われますか。

髙田氏:
ミキサー単体の軽さもそうですけど、デジタル化に伴って使用するケーブルが劇的に減ったことがスタッフの負荷の軽減になっています。アナログPA時代の現場ではとんでもなく重くて長いケーブルをたくさん使っていましたから。運ぶだけでも大変ですし、敷設も大変でした。また断線などに対応するメンテにも時間を取られました。でも今はTWINLANeの光ケーブル数本で済むので、作業効率が比較にならないほど向上しています。

今後「RIVAGE PM5」を使ってやってみたいことがあれば教えてください。

髙田氏:
私の場合は自分で実際に卓の前でオペレーションする機会は減りましたが、以前は中継や録音をよくやっていました。せっかく機材も軽くなったことですし、「RIVAGE PM5」でライブ録音や中継をまたやってみたいですね。

石井氏:
せっかく96kHzで駆動しているので、ライブでのマルチチャンネルレコーディングを試してみたいです。そのためにレコーダーも用意しました。DanteでつないでNuendoで録音する、といった使い方でも活用したいです。

田島氏:
フェスでは「CL5」でモニターを担当することが多いのですが、モニター卓で96kHz駆動の「RIVAGE PM5」を使ってみたらバンドの音にどのくらい差が出てくるのかを、実際に現場ではやく体験してみたいです。

北村氏:
私はアコースティックなもの、例えばギター1本とボーカルといったシンプルな音源の現場で使ってみたいですね。これまではそういう現場にはサイズ的に小さな卓しか持ち込めないので、性能の面では妥協が必要だったのですが、「RIVAGE PM5」は可搬性に長け、しかもフラッグシップのPM10と同様の扱いの性能なので、これで思う存分オペレートできたら最高かなと思います。

本日はお忙しい中ありがとうございました。

有限会社ビッグブラザーズ
http://www.bigbros-jp.com/

株式会社 フルトラック
http://www.fulltrack.jp/

製品情報

デジタルミキシングシステム RIVAGE PMシリーズ