【導入事例】専門学校ESPエンタテインメント東京 様 / 教育機関 / 東京
Japan/Tokyo Oct.2022
将来、音楽業界での活躍を目指す世代に向けて、さまざまな科・コースを用意し、現場で通用する実践的なプロの輩出を目指す「専門学校ESPエンタテインメント東京」(以下専門学校ESP)。このたびレコーディングコース、PA&レコーディングコース、PAコース、総合コースなど音響に関わるコースも擁する専門学校ESPに、「RIVAGE PM5」が2021年3月に導入されました。
今回は「RIVAGE PM5」を導入した理由と、音響のプロを育成する教育の場での使い勝手などについて、教務課 音楽芸能スタッフ科の三野 裕 氏、そして第一線で活躍する音響エンジニアでもあるPAコース講師の三好 祐貴 氏にお話をうかがいました。
現在活躍中の音響エンジニアを講師に迎えた実戦的な指導
専門学校ESPについて教えてください。
三野氏:
当校は1983年に「日本ギター製作学院」として開校し、1987年に学校法人として承認され2022年で35周年を迎えました。
当初はギタークラフトマン、リペアマンを養成するコースのみでしたが、ギターを作っても弾く人間がいなければということで、ギタリストを育成するコースを、さらにギターだけじゃバンドができないだろうということで、ベース、ドラム、ボーカル、シンガーソングライターを育成するコースができ、アーティストだけいてもライブができないということで、音楽スタッフの育成へと拡張し、現在では音楽アーティスト科、声優芸能科、音楽芸能スタッフ科、ピアノ調律科、管楽器リペア科、ギタークラフト科と幅広いコースがあります。
このたび「RIVAGE PM5」を導入された理由を教えてください。
三野氏:
音楽芸能スタッフ科のPAコース、PA&レコーディングコース、そしてレコーディングコース、さらに総合コースなど、音響を学ぶ授業の学生のための教育用機材として導入しました。
PA関連のコースは、開講してからどのくらい経つのですか。
三野氏:
PAコースは今の音楽芸能スタッフ科に統合される前からあるので、25年ぐらいになると思います。実は僕も19年前の卒業生で、今は職員・教員として働いています。
三好さんはPA関係の講師をされているのですか。
三野氏:
三好さんは第一線のプロの音響オペレーターですが、PA関連のコースで専門の授業をお願いしています。当校は、常に現場の第一線で活躍されている方を講師にお招きし、その方の知識と経験を、授業を通じて学生に教えてもらうということが教育方針の一つです。
三好氏:
生々しく昨日までやっていた現場での話などを織り交ぜながら授業をしています。ですから現場でトラブル等があった次の日の授業は、かなり面白いですよ。「こうやってやるとこうなるから気をつけろよ」っていうネタがいっぱいあります(笑)。
現場のプロの経験に基づいた教えは貴重ですね。
三野氏:
そう思います。機材があります、教科書があります、触ってみましょう、音が出ましたというシンプルな授業なら誰でもできるかもしれません。でも現場で何が求められているのか、そして、プロはそこで「RIVAGE PM5」のような最先端の機材でどんな音を出しているのか。こういった本物の知識やノウハウは、やはり最新の機材を使って第一線で活躍されている方でなければ無理だと思います。ですから私たちは三好さんのようなエンジニアを講師としてお招きしているわけです。
次世代のPAを担う人材を育成するために
次世代の「RIVAGE PM5」を導入
このたび「RIVAGE PM5」を導入いただきましたが、それまではどんな機材を使っていたのですか。
三野氏:
ヤマハの「PM5D」を使っていました。
「PM5D」などの上位機種を常に導入しているんですね。
三野氏:
ここは学校ですから必要な知識を授けて卒業させることが第一の目的ですが、その先の目的として音楽業界に優れた人材を輩出することも掲げています。学校でいい成績をとりました、で、就職しました、3日で辞めましたということでは困ります。専門学校ESPで学んだことが、プロの現場で役立つ知識でなければ意味がないと思うんです。ですから機材もプロの現場で使われている最新鋭の機材を用意し、現場で役立つような実戦的な技術やノウハウを提供したいと思っています。
三好先生は「RIVAGE PM5」のどんな点が、教育の現場で優れていると思いますか。
三好氏:
今現場でPAエンジニアが一番多く触るのがヤマハの「CLシリーズ」や「QLシリーズ」だろうな、とは思っています。ですからそれらを導入することも考えましたが、ある現場で「RIVAGE PM5」を触った時、これは恐らく次世代の業界のスタンダードとなるミキサーだと感じました。次世代のスタンダードになるのであれば、これを授業で使うべきだと思ってゴリ押ししました(笑)。
もちろん学生が「RIVAGE PM5」の全部の機能を使いこなせるとは思っていません。ただ現場に出て「RIVAGE PM5」があったとき、先輩から「ちょっとそこをこうして」って言われた時、とりあえず使える、その操作ができるところまでは持って行きたいと思っています。
これからを担う学生たちにこそ
「RIVAGE PM5」のいい音に触れてほしい
「RIVAGE PM5」を学校で使うことの具体的なメリットがあれば教えてください。
三好氏:
「RIVAGE PM5」は3つの画面があるので、これが実習授業では非常に便利です。画面ごとに機能を切り分けることで12chの卓が3台並んでいるような状況にすることができ、3人の生徒が同時に卓を触りながら授業ができます。
三野氏:
専門学校ESPは、座学ではなく実際に機材に触れる授業が特長です。そのために少人数での授業を行っていますが、それでも1つの卓に3人同時につければ、今までよりひとり一人の学生が卓を操作できる時間はかなり増やせます。
三好氏:
もう一つは「単純に音がいい」ということですね。今の学生って、スマホの音源をイヤホンで聴いて育っているので、本当のいい音がわからない。スマホで聴いてきた音が将来音を扱う彼らの音のスタンダードになってしまうのは恐ろしいことです。ですから学生たちに、できる限りいい音をきちんとした状態で聴かせることが、とても重要だと思いI/OラックもRPio622を導入したわけです。
三好先生はプロの現場でエンジニアとして「RIVAGE PM5」を使ってみてどんな点がいいと思いましたか。
三好氏:
まずフェーダーが滑らかで使いやすいです。指先の微妙な動きに音の変化がダイレクトに反応してくれる。ほかの機材だと、やや指が引っ張られている感がありますが「RIVAGE PM5」はその抵抗感を感じません。初めてPA機材を触る学生でもフェーダーのタッチには感動していました。「あ、何かいい!」って、何がすごいのかは分からないですけどね(笑)。
三好先生が気に入っている機能やエフェクターはありますか。
三好氏:
「Bricasti Design Y7」のリバーブです。プリセット一発で使える完璧なリバーブで、濁らずに音が広がります。何にでも使えますが、僕はボーカル、ピアノ系に使って生音をきれいに響かせることが多いですね。ドラムやエレキギターではむしろ「REV-X」を使います。いい意味できれいすぎない、ちょっとザラっとしたところが残る感じがいいです。
今後「RIVAGE PM5」で、学生に体験させてみたい点はありますか。
三好氏:
せっかくI/Oも「RPio622」にしたので、やっぱりSILKですかね。SILKを使うと音の質感がグッと良くなります。ほんのちょっと使った時の微妙なさじ加減を学生も分かってくれるようになると嬉しいんですけどね。料理でいえばさっぱりさせるために「すだち」をかけるか「かぼす」をかけるか、それくらいの差なんですけど。鯛には“すだち”、平目には“かぼす”くらいの繊細なチョイスができるようになれればいいな、と思っています。
学校側としては「RIVAGE PM5」でどんなことを学生に学んでほしいですか。
三野氏:
おそらく、卒業生がプロの現場に入っても、最初の1、2年は卓に触れることはないでしょうから、実際に彼らが卓の前でオペレーションするのは5年後くらいになると思います。その5年後、あるいは10年後に「RIVAGE PM5」が業界の主流となっていれば、専門学校ESPの卒業生なら基本操作はわかっているはずですから、すぐに触れますよね。そうなれば私たちが「RIVAGE PM5」を導入した甲斐があった、ということになると思います。それを期待したいですね。
学生はまず「RIVAGE PM5」で基本的な操作を覚えて卒業し、あとはたくさんある伸びしろを現場でどんどん伸ばして、いつかプロの現場を支える人材になってくれれば、私としてはたいへん嬉しいです。
本日はお忙しい中ありがとうございました。
専門学校ESPエンタテインメント東京
https://www.esp.ac.jp/tokyo
製品情報
デジタルミキシングシステム | RIVAGE PMシリーズ |