【導入事例】株式会社若尾綜合舞台 様 / SRカンパニー / 愛知
Japan/Aichi Oct.2022
1949年の創業以来、中部地域を中心に国内外の舞台芸術、イベント、放送、空間創造などを支えてきた株式会社若尾綜合舞台(以下、若尾綜合舞台)。2021年3月、同社にヤマハデジタルミキシングシステム「RIVAGE PM5」が導入されました。
その導入の経緯や運用の感想について、同社音響部の方々にお話をうかがいました。
舞台芸術から空間創造まで幅広く携わる「若尾綜合舞台」
若尾綜合舞台について教えてください。
吉川氏:
「舞台」「照明」「音響」「映像」「美術」と、舞台全般に携わる会社です。もともとは、舞台照明を扱う「若尾照明研究所」として戦時中に設立されたと聞いています。舞台やイベント関係以外にも、ホール管理や、ここのところ需要が急増している配信など、舞台に関わる表現芸術に幅広く携わっています。
若尾綜合舞台は音響の歴史も長いのですか。
吉川氏:
照明ほど長いわけではありませんが、アナログミキサーが主流の時代から舞台音響に携わっています。
若尾綜合舞台とヤマハ機材とのお付き合いも長いのでしょうか。
梅村氏:
かなり長いですね。ヤマハの製品は1970年代に発売されたアナログミキサーの「PM1000」や「PM2000」の時代から使っていますし、2001年に発売されたヤマハのPA用デジタルミキサーの最初のモデル「PM1D」の導入も、国内ではかなり早い方でした。
今回「RIVAGE PM5」を導入する前は、何をお使いでしたか。
梅村氏:
「PM1D」をずっと現役で使っていましたし、「DM1000」などのヤマハのデジタルミキサーも使っていました。
「RIVAGE PM5」を選んだ理由は、ヤマハならではのサポートの安心感、多入力、そしてコンパクトさ
「RIVAGE PM5」を導入されたきっかけを教えてください。
吉川氏:
導入以来ずっと使ってきた「PM1D」の修理サポートがついに終わってしまったというのが大きな理由です。もし何かあったとき、サポートがないのは困ると思い、新しいミキサーの導入に踏み切りました。
再度ヤマハのデジタルミキサーをお選びいただいたのは、これまでのヤマハミキサーの良さを感じていただけたからでしょうか。
吉川氏:
そうですね。正直言って海外製の他社ミキサーも導入候補ではありましたが、操作性の良さとサポートなどで安心して使えるのは、やはりヤマハのミキサーだと思いました。もし現場でトラブルがあった場合でも、電話でサポートいただけるという安心感は大きいですね。
「RIVAGE PM5」を導入されて1年半ということですが、実際に使ってみての印象はいかがですか。
大西氏:
私の場合、ずっとヤマハのミキサーを触ってきたので、どこにどのような機能があるかが感覚的に分かりやすかったです。便利だなと思ったのはシフトキーです。例えば、何かのパラメーターをまとめて変更するときに、シフトキーを組み合わせれば一気に変えられるので、それはすごく楽ですね。
「RIVAGE PM5」は主にどんな現場で使われることが多いですか。
大西氏:
マイクの多い現場でよく使います。最近は詩吟で使いまいした。詩吟って、実はすごくたくさんの人が吟じたり演奏します。それぞれにマイクを立てるだけでも相当な数ですし、一度に出演する人数は少なくても、演者が位置を変えるのでバウンダリーマイクを設置したりするとたくさんのマイクを使います。また詩吟以外にも、合唱やお祭り系のイベントではマイクを多数使用するので、そういう時はチャンネル数が多い「RIVAGE PM5」が活躍します。
またマイクが多い現場ではプラグインエフェクトの「DaNSe」が欠かせません。多数のマイクを使用する際のマイクに入り込む他の楽器の音や電源ノイズなどを綺麗にカットしてくれるんです。しかも自動学習機能があるので操作がとても簡単で、便利に使っています。
吉川さんは、1年半使ってみてどんな印象ですか。
吉川氏:
フェーダーの横に縦幅の長いメーターが付いているのは視認性がよく、オペレートしやすいです。「PM1D」の時は5つのLEDが光るぐらいの短いメーターでしたが、「RIVAGE PM5」は結構な幅で光ってくれるし、ステレオペアしたフェーダーでは左右別々にレベル表示をしてくれるのでレベル管理がしやすいです。
また、ようやく弊社にもiPadを使用できるミキサーを導入できたことが、現場作業やサウンドチェックなどで効率があがりました。
勝又さんは、使ってみていかがですか。
勝又氏:
私はまだ一人でミキサーを触ることは少なく、先輩方と一緒にオペすることが多いのですが、「RIVAGE PM5」は画面が3面あって便利です。先輩が2画面、私は1画面をそれぞれ専用にして操作でき、お互いに干渉することなく操作に集中できるのがいいと思います。例えば、現場のPAと配信で画面を分けてツーマンでオペレーションするときなどにとてもやりやすいですね。またフェーダーの触り心地が滑らかで、細かいニュアンスの操作がとてもやりやすいです。
伊藤さんはいかがですか。
伊藤氏:
私はまだ入って一年目で、入社した時から「RIVAGE PM5」はありましたが、まだ運んだことくらいしかなくて、実際に触って作業したことはないです。でも、見た目がかっこいいと思いました。
PA機材にとって軽いことや可搬性は重要ですよね。
吉川氏:
軽さはとても重要です。最近は女性の比率が高まっていますからますます重要になってきました。弊社も音響セクションの9名のうち、6名が女性です。たとえば先日行ったミュージカルの現場は、音響は全員が女性でしたが、「RIVAGE PM5」は女性2人で楽に運ぶことができました。「PM1D」に比べると、ずいぶん可搬性が向上して良かったです。
96kHz駆動によって音の分解能が上がって、よりクリアになった
音質面で先代の「PM1D」と「RIVAGE PM5」ではどんな点が違いますか。
吉川氏:
僕は「RIVAGE PM5」のほうがシャープになったというか現代風な音になったと感じます。
大西氏:
たしかに「PM1D」は、もうちょっとモコっとしていましたが、「RIVAGE PM5」は、より細かいというか、分解能が上がったと思います。
梅村氏:
それが「RIVAGE PM5」の96kHz稼動の恩恵なのかもしれないですね。もともとアナログから「PM1D」でデジタルになった時に、音の分解能がグンと上がって、今回の「RIVAGE PM5」になってさらにクリアになったという印象です。実はネットワークの導入も「RIVAGE PM5」で初めてとなります。というのも「PM1D」を導入した当時は、まだDanteもTWINLANeもなかったんです。今はTWINLANeをメインで使っています。
ネットワークでは主にTWINLANeを使われているのは、主に音質面からですか。
梅村氏:
音質はあります。それとTWINLANeで「RPio」を使わないと「SILK」が使えないというのもあります。絶対に「SILK」が必要というわけではありませんが、「もうちょっと何か欲しい」と思ったときに選択肢としては有効です。
やはり「SILK」を使うと、一味入りますか。
大西氏:
変わりますね。まだ探り探りですけど、音がぐっと変わるのはよく分かります。
最後に、「RIVAGE PM5」を使って今後やってみたいことを教えてください。
伊藤氏:
私はもともと音楽が好きで、バンドでベースをやっていました。これから「RIVAGE PM5」の操作をしっかり覚えて、いつかバンドもののPAをやってみたいです。
勝又氏:
まずは一人でPAが操作できるようになるのが目標です。「RIVAGE PM5」は出来ることが多いため、いずれは出力をどうまとめるかなどプランニングも含めて、大きい現場で使っていきたいです。
吉川氏:
ビッグバンドやフラメンコの公演が控えていますので、演者が大人数の舞台で「RIVAGE PM5」を積極的に活用したいと思います。特に私が担当する予定のビッグバンドの公演は、演奏よりもダンスがメインなので、通常のビッグバンドのライブよりは低音を出し、座って聴くジャズとはまた違った音作りを「RIVAGE PM5」を駆使して行いたいと思います。
大西氏:
「RIVAGE PM5」は便利な機能がいろいろ増えていて、まだなかなか使いこなせていないのですが、近いうちにマルチトラック録音ができるDante Virtualsound Cardを用いて「VIRTUAL SOUND CHECK」機能を試してみたいです。自分の現場でマルチ録音して、終わった後にチャンネルごとの音がどうだったのかをじっくり聴いて検証してみたいと思います。
梅村氏:
私の立場から言うと「PM1D」を導入した当時は、唯一無二のデジタルミキサーという価値があったのでツアーなどの貸し出しがよくあり、一人で稼いできてくれた面もありました。今はまだコロナの影響で海外アーティストが頻繁に来日できる状況にはありませんが、今後来日公演も増えてくるでしょうから、「RIVAGE PM5」にはぜひワールドスタンダードのデジタルミキサーになってもらい、来日する海外アーティストにどんどん貸出しができるようになるといいなと思っています。
本日はお忙しい中ありがとうございました。
株式会社若尾綜合舞台
https://www.wakao.co.jp
製品情報
デジタルミキシングシステム | RIVAGE PMシリーズ |