【STAGEPAS 1K mkII 使用レポート】神保 彰 ドラムクリニック&ワンマンオーケストラライブ @ヤマハ名古屋ホール / 愛知
Japan/Aichi May.2024
2024年5月11日、神保 彰さんの「ドラムクリニック&ワンマンオーケストラライブ」がヤマハ名古屋ホールで開催されました。
このライブのPA機器として4台のヤマハポータブルPAシステム「STAGEPAS 1K mkII」が使用されました。その選定理由や設置方法、使い勝手などについて神保 彰さんにお話をうかがいました。
神保 彰ワンマンオーケストラについて
神保彰ワンマンオーケストラとは、デビュー40周年を迎えた世界的ドラマー 神保 彰が“ドラム・トリガー・システム”を使用してメロディやアンサンブルを一人で奏でる独特のパフォーマンススタイル。ドラムの枠を超えた唯一無二の音楽世界を至近距離で体験できるライブとなっている。
全ての音がドラムセットから聴こえることが長年の夢だった
世界的に評価されている神保さんのワンマンオーケストラですが、このスタイルで演奏を始めてどのくらい経つのでしょうか。
神保氏:
1996年に六本木PIT INNというライブハウスで始めたので、もう28年前です。ずいぶん長いですね。
神保さんはワンマンオーケストラで精力的に日本各地をツアーで回っていますが、最近はどのくらいのペースですか。
神保氏:
コロナ禍前は全国のライブハウスを年間100本ぐらい回っていました。コロナ禍でいったんお休みして収束後に再開したんですが、自分もある程度の年齢となったので少しシフトを変え、最近は200~300人ぐらいの小ホールを中心にツアーをしています。
今回のライブでPA機器に4台の「STAGEPAS 1K mkII」を採用したのはどうしてですか。
神保氏:
最近小ホールでの演奏が増えたのですが、ホールで演奏すると、どうしてもドラムの音とPAの音が分離してしまうんです。ドラムがステージの真ん中にあって、PAのスピーカーがステージの両脇にあるわけですが、会場が大きくなるとPAスピーカーがどんどんドラムから離れてしまうんです。
ワンマンオーケストラなのにドラムの音とほかの音が別の所から聞こえてしまうわけですね。
神保氏:
そうなんですよ。僕の長年の願望は「ドラムからすべての音が出ること」です。そのためにドラムのそばにスピーカーを持ってくることも試してみたんですが、大きなスピーカーをスタンドに立てると、どうしてもお客様の視野を遮ってしまうんです。そんなこんなで悩んでいた時「STAGEPAS 1K mkII」を知り、これはまさに自分が欲していたものだと直感してすぐに注文しました。
360度ライブのために4台の「STAGEPAS 1K mkII」を使用
「STAGEPAS 1K mkII」は試してみていかがでしたか。
神保氏:
購入してまず自宅スタジオで試してみたんですが、とてもいい感じで、これならライブで使えそうだと思いました。今回はドラムの周囲の360度に座席があるライブにしようと思ったので、4台の「STAGEPAS 1K mkII」でドラムを囲うスタイルにしてみました。
客席を360度に配置するのはどうしてですか。
神保氏:
ドラムって正面より少し斜め後ろから見た方がドラマーの体全体の動きがわかるんです。それで後ろから見たいというお客様がいらっしゃるんですね。そういうお客様にもちゃんと見てもらいながら、視覚を妨げずしかも音もきちんと聴かせたい。そんなステージが「STAGEPAS 1K mkII」を4台を使えば可能になるのではと思いやってみました。
「STAGEPAS 1K mkII」でPAまでもワンマンに!
実際にライブで4台の「STAGEPAS 1K mkII」を使ってみて、印象はいかがでしたか。
神保氏:
演奏中は自分ではPAの音が聴けないので、リハーサルでスタッフに叩いてもらって確認しましたが「演奏者から全ての音が出ている」というイメージ通りの音場が作れていてとても嬉しかったです。
音量的にはいかがでしたか。
神保氏:
最初ちょっと心配はしたんですが、この規模なら十分すぎるぐらいでした。このサイズからは想像できないような量感があって、特に低音が気持ち良かったです。低音に関してはミキサー部に備わっているMODEのツマミを「CLUB」にして使うとかなりヘビーな重低音が出るので驚きました。
操作感はいかがでしたか。
神保氏:
ユーザーフレンドリーな設計ですぐに使えました。マニュアルを見なくても直感的にすぐに操作できます。
ツアーにおいては可搬性や設置性も大切ですよね。
神保氏:
そうなんです。「STAGEPAS 1K mkII」は専用ケースにツイーターやスペーサーもきちんと収まりますし、コンパクトに収納できて機材車にも収まりがいいです。ケースと連結可能な専用台車(ドリー)もオプションであって、とても使い勝手がいいです。
「STAGEPAS 1K mkII」を使うと演奏だけではなくPAまで含めてワンマンで完結しますね。
神保氏:
今回ドラム用のマイクに関してもマイクもスタンドを立てずにヤマハのエレクトロニックアコースティックドラムモジュール「EAD10」を使いました。これはバスドラムに取りつけるだけでドラムセット全体をいいバランスで収音できるマイクなんです。この「EAD10」と「STAGEPAS 1K mkII」があれば、どんな状況でも高品質な音をお客様に届けることができるので、画期的な製品だと思っています。
これからもいろんな場所でワンマンオーケストラの演奏をする予定ですが、全ての場所で常に優秀なエンジニアがいて、いいマイクがあって、素晴らしい音響設備があるとは限りません。しかし「STAGEPAS 1K mkII」が、どんな場所でもお客様に楽しんでいただける音を届けられるので助かります。あとは「STAGEPAS 1K mkII」の先に照明がつけば、もう完璧ですね(笑)。
今後も「STAGEPAS 1K mkII」を活用していきたいと思います。
神保 彰 プロフィール
1980年、カシオペアでプロデビュー。2007年、ニューズウィーク誌の特集「世界が尊敬する日本人100人」に選出される。メロディーやアンサンブルを1人でたたき出すワンマンオーケストラというスタイルは唯一無二。カシオペアのメンバーとして10年、サポートとして20年活動し、36作品に参加。1986年から始まったソロアルバム制作は2024年現在で33作品をリリース。近年は「かつしかトリオ」や鳥山雄司とのユニット「ピラミッド」での活動も活発に行っている。
神保 彰 オフィシャルWebサイト
https://akira-jimbo.uh-oh.jp