【導入事例】中川村役場 様 / 議場 / 長野

Japan/Nagano Aug. 2025

中川村は長野県上伊那郡の最南端に位置し、アルプス連峰を臨む人口約4600人の自然豊かな村です。このたび村役場の議場および委員会室に、ヤマハの遠隔会議システム「ADECIA」が導入されました。

導入の経緯や使い勝手について、中川村役場 地域政策課 DX推進係 中平 仁司 氏、同 総務課長 桃澤 清隆 氏、同 議会事務局長 久保田 茂 氏、そして導入・設置を担当した株式会社アズムの代表取締役 岡田 修門 氏にお話を伺いました。

(左端から)
中川村役場 地域政策課 DX推進係 中平 仁司 氏
同 総務課長 桃澤 清隆 氏
同 議会事務局長 久保田 茂 氏
株式会社アズム 代表取締役 岡田 修門 氏

多目的に活用するために議場を改修

まず中川村についてご紹介ください。

中平氏:
中川村は天竜川が生み出した美しい河岸段丘を特徴とし、四季折々の風景に恵まれた村です。リンゴや梨、梅など果樹栽培が盛んで、薬用酒「養命酒」発祥の地としても知られています。また、失われれば二度と取り戻せない日本の農山漁村の景観や文化を守ることを目的とした「日本で最も美しい村連合」にも加盟しています。

中川村役場 地域政策課 DX推進係 中平 仁司 氏

今回、議場を改修された目的を教えてください。

中平氏:
これまでの議場は、議員席がひな壇型の、いわゆる国会議事堂のような造りでした。そのため、村議会でしか使用できませんでした。そこで今回の改修では、議会以外の多目的な利用ができるように、床をフラットにし、レイアウトを自由に変更できるようにしました。

それに伴い、各議席に固定されていたマイクをどこにでも置けるようにワイヤレス化し、さらに廊下を挟んだ向かい側にある委員会室でも利用できるようにしました。

中川村議場

自由度の高いワイヤレスマイクの「ADECIA」を導入

議場、委員会室の音響機器の改修を請け負った株式会社アズムでは、どのような提案をされたのですか。

岡田氏:
議場と委員会室には以前の改修でDanteネットワークが敷設されていました。そのため新たなスイッチや回線工事が不要であること、議場後方の傍聴スペースで拡声が必要だったこと、さらに将来的な遠隔会議への対応も見据え、高音質で多機能なヤマハの遠隔会議システム「ADECIA」を提案しました。

株式会社アズム 代表取締役 岡田 修門 氏

具体的なシステム構成を教えてください。

岡田氏:
シグナルプロセッサー「MRX7-D」を核とし、場所を選ばず使用できるワイヤレスマイクロフォンシステム「RM-WGL」を23台導入しました。これらは可搬型ワゴンに搭載し、議場や委員会室に簡単に移動できます。すべてDante回線で構成されているため、部屋を移動してもケーブルを1本差し替えるだけですぐに使用可能です。

プロセッサー「MRX7-D」(下段)
「MRX7-D」とワイヤレスを納めた可搬型音響ワゴン
ワイヤレスグースネックマイクロフォン「RM-WGL」
マイクロフォン充電ステーション「RM-WCH-8」

スピーカーは議場の壁面に「VXL1B-16P」を2台設置。委員会室には必要に応じて仮設で「VXL1B-16P」を2台、スタンドとともに用意しました。「VXL1B-16P」はPoE給電タイプのため、LANケーブルを挿すだけで使用できます。

また議場後方の傍聴席には、天井に拡声用のシーリングスピーカー「VXC2P」が2台設置されています。そしてシステム全体は「ProVisionaire Control PLUS」でコントロールしています。

「VXL1B-16P」(議場)
シーリングスピーカー「VXC2P」
委員会室
「VXL1B-16P」(委員会室・仮設)

「ProVisionaire Control PLUS」でシンプルな操作を実現

コントロールパネルは中川村役場専用で制作されたそうですね。

岡田氏:
この音響システムは非常に複雑な仕組みですが、できるだけシンプルに操作できるように専用のコントローラーが必要だと考えました。そこで「ProVisionaire Control PLUS」を使って操作パネルを制作しました。これにより、全体の音量調節や発言者マイクのオン/オフが簡単に行えます。また議場と委員会室ではスピーカーの数や拡声の有無が異なりますが、タブを切り替えるだけで簡単にシステムを切り替えられます。

「ProVisionaire Control PLUS」で制作されたコントロールパネル

実際に操作してみて、使い勝手はいかがでしょうか。

岡田氏:
本日が初稼働日でしたが、狙い通りシンプルに操作できました。パネルは簡単にカスタマイズできますので、今後さらに使いやすく改善していけると思います。

音質面の評価はいかがですか。

中平氏:
マイクがワイヤレスに変わって自分の近くに置けるようになったので、以前より周囲の雑音を抑制する効果が高まりました。雑音の減少は議事録作成で使用する文字起こしソフトの精度向上にも貢献します。今日は実際に議長のマイクでの発言をソフトに入力してみましたが、高い精度で文字起こしができました。これまでは議席から離れた場所の発言を録音するためにボイスレコーダーが必要でしたが「ADECIA」の導入で、その手間が解消されると期待しています。

防災本部やタウンミーティングなど幅広い活用へ

議場が多目的に使えるようになったことで、今後どのような利用が想定されますか。

桃澤氏:
「ADECIA」によって遠隔会議が可能となり、災害時の防災本部の設置にも対応できます。災害はいつ起こるか分かりませんが、非常時に備えられるのは大きな安心材料です。

中川村役場 総務課長 桃澤 清隆 氏

久保田氏:
遠隔システムを活用すれば、タウンミーティングなどでも使えると思います。床面がフラットになったので、選挙の開票場所としても利用できると考えています。

中川村役場 議会事務局長 久保田 茂 氏

中平氏:
せっかく多目的に利用できるようになり、音質も素晴らしいので、将来的には映画上映などもできればと考えています。それくらいオープンに議場を活用したいですね。

本日はありがとうございました。

中川村役場ホームページ
https://www.vill.nakagawa.nagano.jp/