【導入事例】株式会社ランブリッジ 様 / SRカンパニー / 千葉
Japan/Chiba Feb. 2025
株式会社ランブリッジが「STM M46」を24本追加導入
2007年に設立された株式会社ランブリッジ(千葉県千葉市)は、ライブコンサートから各種イベント、展示会、さらにはライブ配信に至るまで、様々な音響業務を手がけているPA会社です。NEXO製スピーカーを合計400本以上運用している同社は昨年、「STM Series」のフルレンジモジュールである「STM M46」を24本導入。より大規模な現場にも対応できるよう、保有するスピーカーの構成をさらに拡充させました。
既にいくつかの現場で使用したという「M46」のサウンドについて、どのような印象を持っているのか。同社の代表取締役である鬼澤 洋輔 氏、サウンドエンジニアの柴田 航也 氏、黒田 有希 氏、無津呂 拓海 氏、高橋 ひなた 氏にお話を伺いました。
合計400本以上のNEXO製スピーカーを運用
はじめに、ランブリッジさんについて簡単にご紹介いただけますでしょうか。
鬼澤氏:
僕が2007年に設立したPA会社で、今年で創業18年を迎えました。現在は僕を含めて5名のスタッフが在籍していて、基本的には音響業務に特化している会社です。手がけている仕事はスタッフによって違い、僕は展示会など企業系のイベントを担当することが多いのですが、柴田や無津呂は音楽系を、黒田はスポーツイベントを得意としています。
どこかのPA会社でキャリアを積まれた後に、自身の会社を設立されたのですか?
鬼澤氏:
いえ、ランブリッジを設立する前はフリーランスとして働いていました。僕はレコーディングエンジニア志望で専門学校を卒業した後、都内のレコーディングスタジオに就職しました。しかしすでに出来上がった環境下で何かをする事よりも、自分が一から作った環境で技術を提供することに価値を感じました、それを形にするには時間とお金が必要だと思いスタジオを辞めて大学に入り直しました。そして大学時代クリエイターチームを作り活動して、そこで知り合った仲間のライブハウスを手伝うようになったのがPAの世界に入っていったきっかけです。
レコーディングよりもライブミックスにハマってしまったと。
鬼澤氏:
そんな感じです。リアルタイムの緊張感もありますよね。さらにPA業界は新しい技術をどんどん取り入れていて、その点も飽きなくておもしろいなと思ったんです。どんな大きな現場でも自分たちの機材でやることに価値があると考えてます。
他のPA会社と比較したランブリッジさんの強みというと?
柴田氏:
弊社は社長を筆頭に、デジタルに強い会社であると自負しています。これは自信をもって言えることですね。スタッフ全員新しいテクノロジーには凄く興味を持っているので、常日頃から情報交換しています。
それと新しいテクノロジーや接続方法は、なかなか現場で試すのが難しかったりしますが、弊社の場合は社長が背中を押してくれるというか、全面的にバックアップしてくれるんです。何か新しいことを試す際に、足りない物があればすぐに揃えてくれますし。まぁ、社長の“癖”だと思うんですけど(笑)、倉庫で検証とかよくやっていますしね。なので新しい接続方法について質問したりすると、“それもう試したよ”ということが多々あります(笑)。
鬼澤氏:
色々なネットワークオーディオが普及していますが、弊社は最終的にDanteで統一しています。他社だと卓とI/OラックはDanteで接続していても他の部分は依然としてアナログだったりします。それだとせっかくの利便性がもったいないので、弊社はできるだけDanteで接続して、回線のロスを減らすようにしています。コロナ禍のときに増えたライブ配信では、レベルの管理をしっかりやらなければいけなかったので、そのタイミングで一気にシステム全体のデジタル化を進めました。
柴田氏:
映像系の会社とやり取りするときは、AES/EBUも多用しています。レベル管理もアナログよりデジタルの方が容易ですから。
鬼澤氏:
それと機材が持っているポテンシャルを最大限引き出したいと思っているので、96kHzに対応している機材であれば、できるだけ96kHzで使うようにしています。
ランブリッジさんにはNEXOの製品を多数導入いただいています。
鬼澤氏:
NEXOは約12年前に「PS Series」を導入したのが最初で、現在「GEO M6」、「GEO S8」、「GEO S12」、「GEO T」、「STM Series」、あとは「Alpha Series」や「ID Series」も使っています。僕が収集癖というのもあるんですが(笑)、NEXOのスピーカーだけで400本以上あります。もちろん他社のスピーカーでも良いものはあると思うのですが、NEXOはヤマハさんのサポート体制がしっかりしているのがいい。
これは言い方を気をつけなければいけないんですけど、今はどのメーカーのスピーカーをチョイスしても、ある程度のクオリティは得られると思っているんですよ。それだったらサポート体制がしっかりしているメーカーのものを選んだ方がいいですから。卓も「RIVAGE PM3」、「QL5」、「QL1」、「DM3」と全部ヤマハさんのものですし、卓とスピーカーが同じサポート体制というのは安心感があります。
「STM M28」導入のきっかけをおしえてください。
柴田氏:
「GEO S12」の到達性に限界を感じる現場がちょこちょこあったんです。音響的には成立しているんですが、もう少し飛んでくれると、“カッコいいライン”に乗ってくれるのに惜しいなと。それで約2年前に「M28」を12本導入しました。
黒田氏:
「GEO S12」と比べてサイズが小ぶりというのも魅力でした。スタックしやすく、扱いやすいですね。
柴田氏:
サイズが小さいことによるメリットは大きいですね。「GEO S12」と比べると現場での設置がめちゃくちゃ早く済みますから。個人的に「M28」は凄く好きです。
鬼澤氏:
「GEO S Series」は軽さもいいですしアンプのチャンネル数も少なくて済むのでまだまだ使ってます、でも全般的に「STM Series」は、「GEO S Series」よりもかなり進化している印象です。NEXOはシリーズごとに良さがありますよね。
より大規模な現場に対応するべく、「M46」を追加導入
昨秋、「M28」に加えて「M46」も導入していただきました。
鬼澤氏:
昨年、日本武道館で「GEO T」を使ったのですが、そのときにもうちょっと音飛びのいいスピーカーが欲しいなと思ったんです。それで「M46」を24本導入したんですが、同じ「STM Series」でも「M28」とは全然違うので驚きました。
どのあたりに違いを感じましたか?
鬼澤氏:
到達性だけでなく、音も解像度もびっくりするくらい違う印象です。本当に“こういう音が出したかった”という音で、もっと早く導入すればよかったなと思いましたね。「M46」に行き着くまでにずいぶん遠回りしてしまったなと(笑)。
黒田氏:
“ザ・フラッグシップ”という音ですよね。1,200人キャパの会場で、5/5/4という構成で使ったことがあるのですが、もうありあまる出力で驚きました。音の余裕感というか、まだまだいける感じが凄いなと。
柴田氏:
3/1というミニマムな構成で使ったこともあります。モジュールの重量はありますが、コンパクトなので、セッティング自体は「M28」と変わらない。それと「M46」の音が分かったことによって、「M28」の調整がやりやすくなったというのもありますね。たとえば、「M28」を「M46」のダウンフィルとして使うのであれば、こういう鳴らし方が正解かなとか。今後、メインは「M46」でアウトフィルで「M28」を組み合わせて使う現場も増えていくのではないかと思います。
鬼澤氏:
「STM Series」はサイズが同じなので、積み込みも楽ですね。モジュラーデザインというのは本当にメリットしかないと感じています。
柴田氏:
音に関して言えば、「B112」はSTMならではの音だと思っています。別アレイではなく専用のモジュールで、ローの“面で鳴る感じ”が「B112」ならではだなと、聴く度に思いますね。
鬼澤氏:
サブモジュールの「S118」もタイトで素晴らしいスピーカーですね。
多くのNEXO製品をお使いいただいるランブリッジさんですが、NEXOの良さはどのあたりにあると感じていますか?
柴田氏:
僕はクラブ出身で、そのカルチャーの流れを汲んだバンドをやっていたりもするんですけど、NEXOのスピーカーはハイが凄くきれいですよね。クラブで鳴らすと、NEXO特有のハイの伸びがよく分かります。サブに関しても、タイトで面で出てくるような音で、自分のリファレンスをクラブで鳴らすと、“ああ、NEXOの音だな”と思いますね。僕が好きなトラック・ミュージックに合ったスピーカーだなと思います。
黒田氏:
他社のラインアレイと比べると、NEXOはスタックが圧倒的にやりやすいですね。
柴田氏:
レバーをガチャっとやれば入りますし、他の人にも教えやすい。
高橋氏:
昨日もスタックしたんですが、全然難しくないですね。覚えやすいです。
柴田氏:
スタックだけでなく、「STM Series」はフライングも本当に簡単です。たまに「M28」を吊る現場があるのですが、爆速で終わりますよ。
「STM Series」以外で、特に気に入っている製品があればおしえてください。
鬼澤氏:
「ID Series」ですね。展示会で吊ったり、カンファンレンス用のモニターとしても活躍しています。あのスピーカーは目立たないのが良いですね。
黒田氏:
他社さんの現場に持って行くこともあるのですが、“何これ、このサイズ感良いね”と言われます。“こんなサイズ感でもちゃんと鳴るね”って。
柴田氏:
「ID24」の手動で指向性を変えることができるローテイタブルホーンが便利です。設置スペースの関係で、プランどおりにスピーカーを設置できない場合でも、現場でガチャガチャと指向性を変えることができますから。「ID24」をフィルで使うときも、メインスピーカーのカバーエリアに合わせて、指向性をパッと狭めることができる。凄く便利ですね。
無津呂氏:
それとNEXOは、アンプが秀逸だなと思いますね。スピーカーも優秀なんですけど、「NXAMP」の各シリーズはどれも優秀だと思います。
柴田氏:
確かに。いくら突っ込んでも飛んだことはないですからね。音楽系のイベントで、かなり突っ込んだことがあるのですが、ビクともしませんでした(笑)。
鬼澤氏:
弊社はアウト出しが多いのですが、貸し出したときも絶対に飛ばされないという安心感がありますね。特に電力の足りない場所では「NXAMP4x1」が活躍してますね。
ランブリッジさんは最近、イマーシブオーディオにも積極的に取り組まれているようですね。
鬼澤氏:
新しいことが好きなのと、弊社はスピーカーの本数がありますから(笑)。今後、イマーシブオーディオが普及するかどうかは分かりませんが、技術的にはとてもおもしろいなと思っています。
柴田氏:
今までのミックスとはまるで違うので、オペレーターは大変ですけどね(笑)。イマーシブミックスと言っても、収録用のLRやテック・モニ用のモノも作らなければならないので、ミックス・ダウンがたくさん発生するんです。イマーシブでミックスされたものをLRに落とし込むときのレベル差も考えなければいけませんし、いまだに試行錯誤しながらやっている感じですね。
鬼澤氏:
仮設の展示会は、イマーシブオーディオに凄く向いていると思います。でも、実際にやるとなると大変なので、もっと気軽にできるようになるといいですね。
最後に、これから会社として取り組んでいきたいことがあればおしえてください。
鬼澤氏:
「M46」という大きなスピーカーを導入したので、大きな会場でどんどん鳴らしたいですね。そういった市場を伸ばしていきたいと思っています。会社は小さいんですけど(笑)。あとはイマーシブオーディオですね。既にいくつもの現場を経験してきたので、それは僕らの強みになるのではないかと思います。
本日はお忙しい中、ありがとうございました。
株式会社ランブリッジ オフィシャルWebサイト
https://www.ranbridge.co.jp/