『1st Anniversary × Shibuya Crossing Jam by ODD Foot Works / 竹内朋康』2025年12月6日(土)@Yamaha Sound Crossing Shibuya
2026.7.27
世代とスタイルを飛び越えて鳴り響く
限りなく自由でアツい即興セッション

渋谷サクラステージ内で営業中のYamaha Sound Crossing Shibuyaに立ち寄ったミュージシャンたちが、その場にある楽器を手に取り、繰り広げられる一夜限りのスペシャルショウ『Shibuya Crossing Jam』。2025年12月6日(土)に開催された第3回は、ODD Foot Worksと竹内朋康がスペシャル・ゲストとして登場、同所オープン1周年の節目を華々しく彩った。
Pecori(Rap)、有元キイチ(Gu)、榎元駿(Ba)からなるボトムレスなグループで、他アーティストへの楽曲提供〜プロデュース業を含め、生音と打ち込みを融合させたヒップホップを軸に、オルタナティブかつキャッチーな表現が注目を集めているODD Foot Works。そして元SUPER BUTTER DOGのギタリストであり、ソロ名義での活動以外に、.ENDRECHERI.への参加、椎名林檎や安室奈美恵のツアーにも帯同、2025年12月5日には新ユニットのBamboo Undergroundで1st EP『B.U.G.』をリリースした竹内朋康。多才な4人の初共演、果たしてどんな化学反応が見られるのだろうか。
まずステージに現われたのは、ODD Foot Works。“緩くやっていきたいですね”とPecoriが呼びかけながら、ニューアルバム『ODD FOOT WORKS 2』収録曲の「龍」を挨拶代わりに颯爽と解き放てば、切れ味鋭いフロウで早くもオーディエンスの手拍子を誘う。有元のアコースティック・ギターと榎元の6弦ベースによるサウンドメイクも、レイドバック感やスリリングさを内包した、原曲とはまったく異なるアレンジで真新しい。

続く「KAMISAMA」で、より大胆不敵に舞うPecoriのラップ、そこに有元の切ないボーカルを混ぜ合わせる展開がまた秀逸。弦と声だけのごくシンプルな編成にもかかわらず、3人は恍惚の音空間をじわじわと作り上げてみせる。“初めてなんだよね、こういうの”(Pecori)、“今、何やってたか自分でもわかんないもんな”(有元)、“なんかドッキリみたいだったよ! キイチがぜんぜん違うコードを弾き始めたからさ(笑)”(榎元)と本人たちも楽しそう。

痛快な流れのまま、もうひとりのゲストである竹内朋康が呼び込まれ、ODD Foot Worksの「夜の学校」を4人でプレイ。以降はリズムマシンも加わり、ワンループのビートに乗せてPecoriが先導する中、竹内がエレキ・ギターで超絶メロウなフレーズを味わい深く響かせる。さらに、有元の軽やかなアコギ・ソロ、榎元のファンキーなベース・ソロも決まるなど、ジャンルを飄々と超えていくような心地よいアンサンブルに、客席からは歓喜の声が。

“竹内さんって、ギター仙人みたいっすよね。もう、大先輩ですから。今日は大後輩と音楽で交わっていただく感じです。ヤマハの楽器を使ってね”(Pecori)
“ね、オール・ヤマハ。僕も一緒にやれてうれしいです!”(竹内)
“ほとんど手ぶらで来ました。サイフとケータイとタバコだけ持って”(榎元)
そう話すうちに有元がルーパーでビートを組み、次はもっと刺激的な試みとして、ぶっつけ本番のセッションを実施。気の向くままに鳴らされる音に合わせ、“ヤマハ”というワードを織り交ぜたりしつつリリックを紡ぐPecoriの瞬発力が素晴らしい。そして、負けじと炸裂する竹内のドラマチックな長尺ソロもすごい。竹内がギターを弾き倒している間、ODD Foot Worksの3人があまりに幸せそうな表情を浮かべていて微笑ましい。こんなにも素敵なパフォーマンスが入場無料で観られるのは、なんともレアで贅沢な経験だ。

即興セッションをどうにか着地させた4人は“ヒリヒリするね〜! サロンシップ貼ってんのか、ムヒEX塗ってんのか、みたいな(笑)”(Pecori)、“竹内さんのソロをぜんぜん終わらせてあげないっていうね”(榎元)、“カッコよかったです!”(有元)、“あはははは!”(竹内)と、スリリングなセッションを終えて安堵した様子。ヤマハ製造のIPAビールと本日限定のオリジナル・ラテで乾杯し、ここからはイベントのキュレーターを務める尾藤雅哉(BITTERS)を交え、和気あいあいとしたトークパートへ。


ODD Foot Worksの3人は“SUPER BUTTER DOGに始まり、マボロシ(RHYMESTERのMummy-Dとのユニット)とか、さかいゆうさんとの演奏も聴いてました。めちゃくちゃ尊敬してます”(有元)、“ギターがカッコいいと思わせてくれる人って、なかなかいないですよね。この2人(竹内と有元)くらいしかいない”(Pecori)、“ギタリストっぽさをガツンと出すところもあれば、バランスを取って<これで大丈夫だよ>みたいな空気を作ってくれるところもあるなと感じました”と竹内の印象を語る。そして竹内も“(音を合わせてみて)新鮮な気持ちですね。すごくグルーヴを持ってる3人で素晴らしいなと。今日はそこに溶け込ませてもらおうと思ってやりました”とODD Foot Worksのあふれる才能を称えた。

また、渋谷の思い出について、ODD Foot Worksは“先輩にワケわかんない店へ連れていかれたとか。いい飲み屋も多いですね。それと、ライブをたくさんやってる街かな”(榎元)、“1年くらい前までは週5で来てました。スクランブル交差点の前にあるパチンコ屋、エスパスに通ってて”(Pecori)、“その時期、パチンコで負けて凹んでるPecoriと散歩中に偶然会ったりしたね。トップっていう喫茶店に、よくコーヒーを飲みに行ってたんです”(有元)とコメント。
一方の竹内は、THE ROOM、琥珀、Ruby Roomなど、日頃ライブ出演しているハコを挙げたほか、2025年9月にTrunk Hotelで行なわれたP-FUNKのアフターパーティーへ赴き、メンバーのサートデリックと仲良くなったというエピソードを披露。“さまざまなカルチャーが集まっている街で、そこに飛び込んでいったらいろんなことが広がっていくような魅力がありますね”と所感を話す。

ヤマハとの接点に関しては、“兄貴のお下がりのRX15というリズムマシンを高校の頃に使ってたなぁ。80'sの音がするんですよ、プリンスっぽい。あと、QYシリーズのシーケンス。専門学校時代はそれでどんだけ速くトラックが作れるかチャレンジしてたり(笑)”(竹内)、“ボディが枠だけで内部が空洞になっているヤマハのサイレント・ギターを愛用してます。めっちゃいいですよ、すごく目を惹きますから”(有元)、“ヤマハのreface DX(シンセサイザー)は、たぶん自分がいちばん触ってますね。YouTubeを観てるときも左手で触ってないと落ち着かないので”(Pecori)、“ベースの前にサックスをやってたんですけど、当時はカッコつけてヤマハのスタンダードなモデルを避けてました。でも、みんなが持ってたヤマハのを吹かせてもらったらすごく演奏しやすくて……悔しかったです”(榎元)とそれぞれの思い出を明かす4人。

<手ぶら de シブヤ>のイベント・コンセプトのもと、この日使用したヤマハの楽器および機材も好印象だったようで、ODD Foot Worksの3人はマイク、アコギ、6弦ベースのフィット感や音質を絶賛。Helixのマルチエフェクト・プロセッサーに対し、“操作がわかりやすくて最高です。今後のお付き合いもあるかもしれない……!”と榎元が強い興味を示す場面も。

P-90タイプのピックアップを搭載したRevstarを選んだ竹内は、“いいですね。弾きやすいレス・ポールっていう感じ。音も然り、ネックも然り。ヤマハの代表的なエレキ・ギターとして、サンタナや高中正義さんでおなじみのSGがあるじゃないですか。あの長所が受け継がれている気がします”と頬を緩める。

誰かとコラボする際の心得、ライブの忘れられないハプニングなど、その後も盛り上がりを見せたトークを経て、最後は再び白紙状態からのセッションを敢行。マイクにリバーブとディレイを深くかけ、ラップ×ギター×ベースで瞬く間に壮大かつスペーシーな音像を構築できてしまう4人の手腕が頼もしい。途中、Pecoriが“行きますか?”と合図し、竹内、有元、榎元がそれぞれ才気煥発のソロを放出。約10分にわたる甘美な音の応酬を届け、すべてのオーディエンスをめいっぱい魅了して終演となった。

◎SET LIST
- 龍(ODD Foot Works)
- KAMISAMA(ODD Foot Works)
- 夜の学校(ODD Foot Works×竹内朋康)
- スペシャル・セッション#1(ODD Foot Works×竹内朋康)
- スペシャル・セッション#2(ODD Foot Works×竹内朋康)
◎EQUIPMENTS
<有元キイチ>
<榎元駿>
<竹内朋康>
取材・文:田山雄士
撮影:タイコウクニヨシ
<第5回 Shibuya Crossing Jam 予告>
Shibuya Crossing Jam By 百々和宏(MO'SOME TONEBENDER)/五味岳久(LOSTAGE)
日程:2026年8月8日(土)
出演:百々和宏(MO'SOME TONEBENDER)/五味岳久(LOSTAGE)



