YH-4000 開発ストーリー

開発者がYH-4000に込めた想い

-YH-4000の発想の原点-

“長く、時間を忘れて音楽の熱量に没入する”──YH-4000は、そんな音楽体験を追求して生まれました。胸の奥に響く低域、ボーカルの息遣いまで感じられる音質、長時間の使用でも快適な装着感、そしてどんな空間にも馴染むモノトーンの美しさを備えています。このヘッドホンで、まるで目の前でアーティストが演奏しているかのように、音楽に込められた熱量と想いを感じながら、深く、長く音楽を楽しんでください。

YH-4000開発者画像
YH-4000設計者_伊藤 優太_画像

伊藤 優汰

音響設計担当

YH-4000は、オルソダイナミックドライバーの可能性をさらに広げる新しいヘッドホンだと考えています。“長く、時間を忘れて音楽の熱量に没入する” というコンセプトを実現するため、ドライバーの特性を最大限に活かし、特にボーカルのリアルさや実体感、低域の迫力や量感に重点を置いた音作りを行いました。さらに、本体設計だけでなくイヤーパッドにおいても、長時間のリスニングでも快適に没入できる装着性を追求しています。ぜひ、このヘッドホンでアーティストの情熱や熱量を感じていただければと思います。また、曲や気分によってYH-4000とYH-5000SEを使い分けるなど、それぞれの個性を比較しながら楽しんでいただきたいです。

YH-4000デザイナー_柏瀬 一輝_画像

柏瀬 一輝

プロダクトデザイン担当

YH-4000は、YH-5000SEで確立されたデザインを受け継ぎながら、より手に取りやすく、親しみやすい印象を目指しました。YH-5000SEの特徴的なブラックとイエローのカラーリングに対し、YH-4000はブラックとシルバーを基調に、素材そのものの質感を活かしたモノトーンでまとめています。これにより、洗練されたシンプルさと、どんなライフスタイルにも自然に溶け込む普遍性を兼ね備え、長く愛用いただけるデザインに仕上げました。このヘッドホンで、より多くの方が時間を忘れて音楽に浸り、心ゆくまでお楽しみいただければ幸いです。

Yamaha High-end Headphones YH-4000 | MESSAGE FROM THE ENGINEER AND DESIGNER

ALL ABOUT ORTHODYNAMIC

オルソダイナミックのすべて — いつの時代も、真実を追求する —

初代オルソダイナミックドライバーは1976年に誕生しました。ギリシャ語で "オルソ"は「正しい」「まっすぐな」という意味を持ち、振動板を正しく駆動して音をより正確に再現させることが、初代オルソダイナミックドライバーの考え方でした。そのコンセプトは変わることなく、さらなる進化を遂げて新世代のオルソダイナミックドライバーへ受け継がれています。

YH-4000とYH-5000SEメイン画像

オルソダイナミックドライバーとは

ヘッドホンのドライバーには様々な種類があり、一般的なダイナミック型ドライバーはドーム状の振動板に接着したボイスコイルをマグネットと組み合わせ、電気信号を送ることで駆動させます。一方、YH-4000では薄膜の振動板とボイスコイルを一体化しマグネットで挟んで駆動させる平面磁界型ドライバーを採用。平面磁界型ドライバーは振動板全体を駆動するため、ダイナミック型ドライバーに比べて応答性が高く、高域性能に優れ、歪みが少ないという利点があります。その反面、開発・製造に高度な技術が必要になります。

ヤマハのオルソダイナミックドライバーは振動板を真円形状にし、コイルパターンも円形のスパイラル形状を採用しています。同心円状の凹凸により、ピストン運動領域での振動板の動作がスムーズになり、優れた応答性と豊かなダイナミックサウンドを実現します。

オルソダイナミックの歴史

1970年代、平面磁界型ドライバーの開発は複雑な構造と製造の難しさもあって製品化できたものは市場ではごくわずかでした。ヤマハ初のオルソダイナミックドライバーは、ポリエステルの薄膜にスパイラル状のボイスコイルをフォトエッチングして製造しており、分割した5つのスパイラルパターンが巻き方向変えながら同心円状に配置されるという非常に複雑な構造のため、開発・製造が非常に困難でした。

これらの課題を克服し、「オルソダイナミック ステレオヘッドホン HP-1」を発売しました。HP-1はその優れた音質が評価されただけでなく、イタリアの工業デザイナー、マリオ・ベリーニによるシンプルで実用的なデザインも好評を博しました。

いかにしてオルソダイナミックドライバーは進化を遂げたのか、新世代オルソダイナミックドライバーへの挑戦

社内で新たなヘッドホン製品のプロジェクトが立ち上がったとき、エンジニアたちは1970年代のヤマハのヘッドホンに触発され ハイレゾ音源をはじめとする現代の音楽ソースにマッチする上質なアタックを実現する方法を模索する中で、オルソダイナミックドライバーに注目しました。精度の高い振動板を設計するのは非常に難しく、約1,000種類の試作を経て、現在の設計にたどり着き、 素材や部品の選定、製造方法にもこだわり、測定・解析・改良を繰り返すことで形状や構造を完成させました。新開発のオルソダイナミックドライバーは、従来モデルよりも開口部を大きくし、振動板からの音の透過率を向上。 また、振動板の中央固定をなくすことで共振周波数を下げ、低域の表現力を高め圧倒的なダイナミックサウンドを実現 。さらに、ダンピング方式を見直し、以前のフェルトによる制動から、微細孔ダンパーによる制動へ進化したことで、 伸敏な音の立ち上がりを可能にするとともに、中高域のロスを最小限に 。幾多の困難を乗り越え6年以上の歳月をかけて開発された新世代のオルソダイナミックドライバー。聴く人の心を揺さぶる、新しい "TRUE SOUND "をぜひ体感ください。

  • YH-4000画像
  • YH-5000SE画像