念願のフォーレ「レクイエム」 あーる合唱団第三回定期演奏会

肌寒い小雨降る2月11日浜離宮朝日ホール。フォーレ「レクイエム」第1曲の前奏が満席の会場を揺るがす。

10年前、大田区西蒲田に発足し岸信介先生の熱意あふれるご指導を受けながら二度の定演を経、多くの方々のご尽力でここまでこられました。一つの集大成と位置付けたこの演奏会、その喜びをステージの上で味わえる幸せ、いろいろのことが一瞬のうちに脳裏を駆け巡ります。

地域密着型の小さなアマチュア合唱団ながら、フォーレを歌いたいとの熱い想いだけで準備をスタートさせた今回の定演。会場は世界的評価の高い朝日ホールに決め、エレクトーンに練達のオルガン奏者・大竹くみ氏、ソリストには佐々木典子氏、野本立人氏をお招きできたことは嬉しさの前に合唱が釣り合うかの不安が先にたちました。幸い友好団体の方々のご協力も得られ、上質の演奏ができたのではと、一息つけた今では大満足しております。

第3曲「サンクトゥス」交唱部、フォーレならではの終曲「楽園にて」その前奏から曲の最後まで繰り返されきざまれるリズムの宝石をちりばめたような美しさ、そしてやすらぎ、全曲を通し、終始幸せを感じさせる構成に、合唱団員すべてが溶け込んでしまったかのようでした。お客様も感動で涙した方々が大勢いらしたとのこと、後でお聞きしました。大ホールでのパイプオルガン、オーケストラ、大編成の合唱では恐らく味わうことのできない密度の濃い充実感は会場、奏者によって引き出されたこの楽器の持つ優れた特徴であり、それはこのような小、中編成の合唱等のほうがより発揮できるのでは、との感想をもちました。

この日のプログラムはほかに高田三郎作曲「心の四季」「日本の抒情歌」を関根優子先生の伴奏で演奏しお客様に大変喜んでいただきました。

今は7月4日、東京文化会館大ホールでのマエストロ岸信介グループ「舫の会」演奏会に参加すべく練習に励んでおります。今回の混声部門は新実徳英先生の委嘱作品です。まだ世に出ていない曲を歌う難しさと楽しさのなかでもがいています。これからも常日頃求めている透明感のある響き、曲想の理解、耳を使っての和音の決め方など少しずつでも前進したいと思っております。

団長 東 一雄

指揮/岸 信介 エレクトーン演奏/大竹くみ

2010年2月11日 浜離宮朝日ホール