歌を通して平和の大切さを訴える 杉並混声合唱団創設40周年記念演奏会

杉並混声合唱団(杉混)は、去る9月18日、杉並公会堂において、36回目の定期演奏会を兼ねた「創設40周年記念演奏会」を開催した。邦人作品は、峠三吉の「原爆詩集」に大宅寛が曲をつけた「少女へのレクイエム」(委嘱初演)、金沢智恵子作詩・鹿谷美緒子作曲の「この地球のゆくえ」(ピアノ連弾版初演)を、そして、メインはフォーレの「レクイエム」を、加賀清孝・知念利津子のソロ、伊藤佳苗・塚瀬万起子のエレクトーン、山口裕子のハープ、寺田和久ほかの弦楽アンサンブルで演奏した。指揮はすべて、杉混の主宰者である小林光雄。小林は今年傘寿の80歳を迎えたが、戦後65年を迎え、風化しつつある戦争の悲惨さと死者への鎮魂、さらには平和の大切さを歌を通して訴えかけたいという思いから、今回の選曲に至った。

伊藤・塚瀬コンビは4年前の同作品でもお願いし、エレクトーンのもつ多彩な響きに迫力を感じたが、今回はさらに弦楽などの生の楽器が加わり、厚みは増したものの、歌を含め、全体的にはエレクトーンリッチになってしまった。それでも、多くの聴衆を魅了することができた。

杉混は現在、約50名の団員を有する。1970年、杉並区立宮前中学校の音楽教諭だった小林が同中学の卒業生に呼びかけ、結成された。現在は40~60代がメンバーの中心で都内・近県あるいは転勤先の遠隔地からも参加している。

結成当初から新進気鋭の邦人作曲家の作品と著名な宗教曲を織り交ぜた構成で演奏会を開催しており、多くの作詩作曲家から直接指導を受けることができた。また、宗教曲ではフォーレほか、モーツァルトの「レクイエム」「ハ短調大ミサ」「戴冠ミサ」、ヘンデルの「メサイア」、ブラームスの「ドイツ・レクイエム」、バッハの「マニフィカート」「モテット」、ブルックナーの「テ・デウム」、オルフの「カルミナ・ブラーナ」などに挑戦してきた。

次回は来年10月1日、武蔵野文化会館でグノーの「聖チェチリアのための荘厳ミサ」等を演奏する。

団長/坂田 稔

エレクトーン演奏/伊藤佳苗、塚瀬万起子

2010年9月18日 杉並公会堂