確かな手ごたえを得るステージ 第19回 アルカディア音楽祭

新潟県のほぼ中央に位置する見附市で毎年暮れに行われているアルカディア音楽祭は今回19回目を迎えた。この公演には延べ1300名を超す聴衆に多彩なプログラムをお楽しみいただいた。ここでは毎年、ベートーヴェンの「第九」交響曲の演奏会を柱とした市民の手による音楽祭を続けてきている。実行委員会や合唱団のひたむきな取り組みで多くの協賛金を集め、人口4万人の町ながら毎年東京からフル編成のオーケストラを招聘。第一線で活躍するソリストとの合唱の共演が定着し、その取り組みと演奏のクオリティに対し内外から高い評価をいただいている。

さて今回は"歌 響け"と掲げたテーマに呼応し少年少女合唱、近隣地域の招聘合唱団による演奏、そしてバス・菅野宏昭氏の歌や聴衆を巻き込んだ歌唱指導などバラエティに富んだプログラムが展開された。特筆すべき初の試みとしては、市内すべての公民館をつないだ合唱サークル活動が実を結び、初めて合唱を経験する人を含むおよそ200名の歌声に、エレクトーンも加わったチェンバーオーケストラのサウンドが共演に華を添えた。また主体となっているアルカディア音楽祭合唱団はベートーヴェン「第九」交響曲より第4楽章の抜粋とヴィヴァルディのグローリアを、エレクトーン(演奏:平山喜子、監修:伊藤佳苗)と地元の弦楽器奏者を含む特別編成のオーケストラとのコラボレートを果たし、確かな手ごたえを得るステージとなった。

筆者は学生時代、エレクトーンシティ渋谷で多くのアーティストとご一緒させていただいたことをきっかけに、以来様々な出会いがあったがそれらの経験を通じて今回の企画に辿り着いた。特にホールの特性を活かしたアコースティックの楽器( 弦4-4-3-2-1およびオーボエ、トランペット)との音響上のバランスは以前に比べ格段に取りやすくなったが、それは奏者の技量とセンスによるところが大きい。今後様々な方面での新たな可能性を予感させるものとなった。出会いに感謝をもって。

アルカディア音楽祭 音楽監督、指揮者/船橋洋介

エレクトーン演奏/平山喜子

2011年12月3、4日 見附市文化ホール アルカディア