無限の感動を求めて60年 混声合唱団 日立コール・ファミリエ第14回定期演奏会

去る6月1日、第14回演奏会を大きな感動を得て終わりました。

ヤマハエレクトーンシティ渋谷様にはエレクトーンの貸与他種々お世話になり有難うございました。

平成2年、札幌での第43回全日本合唱コンクールで初めてエレクトーンを使用(日立製作所日立事業所合唱団)してから、近年急速に成長してきた音質の感性は、演奏のたびに心が和みます。  今回の演奏会では、演奏終了直後からしばらくのあいだ「感動」「涙」の声が多くの観客から寄せられ、求め続けている目標に少しずつ近づいて来たことを喜びつつ人生の達成感をかみしめているところです。

特にハイドンの「テレジアミサ」のソロを歌った4人の方たち全員から「感動した」の言葉を初めて聞き、喜びが加速しました。

真に合唱・ソリスト・エレクトーンが一体化した音の頂点のよう!

私は指揮を始めて今年で60年を迎えました。19歳で棒を振り出して3年目、関東合唱コンクールで 優勝した時のことです。夜、床に着き、それまで嬉しさに湧きかえっていた自分が目を閉じた時「枕元に耀くこの賜杯は何故ここに有るのか?」と疑問を抱きだした。その時、3年前に立てた目標「5年計画」を進む一コマ一コマが脳裏をよぎり、「あっ! そうか。これらの一コマの苦しみを乗り越えたからここに光るものが有るんだ」と気づき涙が流れだし止まらない。この心の高まりを後で「感動」と知ったのです。

「そうか、一人で頂点を目指すのは大変なことだが大勢で力を出し合えばそれが比較的可能になる」と悟り自分は生涯をかけて「一人でも多くの人と共に感動を」の人生観が生まれました。やがて沢山の感動を積み重ねているある時、これが本当の感動なのか?と疑問を持つようになる。若い頃、2百倍の望遠鏡で天体を覗いていた時「アンドロメダ宇宙」がかなり大きくぼやけて見えた、その時の心の高まりを思い出しました。「まてよ、今まで銀河系の星ばかり見てその一部の光を表現していたが、銀河系より大きな遥か遠い所に有る宇宙には無限の耀き(感動)が有る筈だ」と気が付きました。今まで自信を持って音に接してきたがそれは「無限の感動へのあぜ道」を歩んできただけか。そしてその「無限の感動」は音符には記されていない。近年その音符の裏側に「無限の感動」が有ることが朧げに見えてきました。

ある作曲家から「君、この曲は日本中で聴かされてきたが、皆私のレコード通りの演奏。今日の君たちの演奏は作った私が、あれ? アレ?と作るときのイメージに無い表現が次々に出てきたが終わった時、作った私が感動して涙した。君、これが音楽だよ」全国大会の帰途直前の感動。

これからも「一人でも多くの人と共に感動を」を続けて行きます。

指揮者/木村義昭

エレクトーン演奏/奥野由希子、菊地友夏

2013年6月1日 すみだトリフォニーホール