震災犠牲者を追悼する「レクイエム」 復興の詩プロジェクト ~いま、ひとつに Vol.3~

仙台市のNPO団体(アートインクルージョン)の企画から生まれた活動「復興の詩プロジェクト」では、震災後、作詞家・作曲家に復興をテーマとした合唱曲を委嘱し、その発表を路上コンサートで行うなど、街角から合唱を通して様々な復興への想いを発信し続け、2011年より通算100回を超えるチャリティコンサートを行ってきました。

一昨年、私はこのプロジェクトの一環として、東日本大震災で犠牲になられた方々を追悼するレクイエムの委嘱を受けました。初演は2012年11月11日、混声合唱、児童合唱、アルト・バリトンソロ、室内オーケストラという編成で、「復興の詩プロジェクト」~いま、ひとつに~(仙台市楽楽楽ホール)の中で行われ、総勢120名の現地の演奏家たちによる鎮魂の演奏となりました。それから約1年後の昨年12月7日、同シリーズ演奏会において、今度はそのレクイエムの女声合唱版の初演が行われ(指揮:桑折金三)、今回はオーケストラ部分をエレクトーンで奏することとなり、赤塚博美先生に弾いていただきました。

児童合唱の子どもたちはもとより、仙台フィルとの共演や海外遠征など、多くの舞台に立ってきた宮城三女OG合唱団も、エレクトーンの伴奏で歌うのは初めて、そして全体リハーサルは当日のみという厳しい条件下でしたが、赤塚先生の奏でるエレクトーンはとても力強くまた繊細で、本当のオーケストラがそこにいるかのような安定感で歌を引っ張ってくださいました。その音色は、エネルギーに溢れたダイナミックで感動的な合唱の歌声、ソリストの素晴らしい歌声と一体化し、会場を大きな感動で包みました。エレクトーンという楽器の可能性を改めて知った演奏会となりました。

作曲家/松浦真沙

指揮:桑折金三 合唱:宮城三女OG合唱団 児童合唱:西多賀中学校合唱愛好会"Ami Choeur"/ 金剛沢小学校合唱団有志 アルト独唱:高山圭子 バリトン独唱:武田直之 エレクトーン演奏/赤塚博美

2013年12月7日 仙台市宮城野区文化センターパトナホール