子どもたちの想像を超える好演に感動! 津久見樫の実少年少女合唱団 創立35周年記念東京公演
春爛漫の4月5日、紀尾井ホールで、大分県津久見市という典型的な過疎の町で35年の長きにわたって地道な活動を続けてきた津久見樫の実少年少女合唱団、60余名、念願の東京公演が開かれた。
人口わずかに2万人足らずの町で常に100名以上の在籍を抱えコンサートや慰問演奏などを続けている「ミラクル」な子どもたちである。炎の女指揮者・浜野柾子先生のモットーである「合唱を通しての人間形成」の信念は35年間少しのブレも見られず、ゆるやかな規制の中での良識ある行動は「合唱力」以上に素晴らしい成果である。
20年間、熱心なサポーターとして付き合ってきた小生の前でまったくと言っていいほどボロを出さなかったのだからホンモノだろう。
この合唱団の実力を飛躍的にジャンプアップさせてくれたのは2011年の別府アルゲリッチ音楽祭への出演であった。アルゲリッチ女史の賛辞が子どもたちの自信につながったようだが、その後も少しも慢心することなく、ひたすら楽しく歌い続けて現在に至っている。そんな子どもたちの心映えは東京公演というプレッシャーの中でも少しも萎縮することなく1年間の研鑽の成果を披露してみせた。
前半はピアノの伴奏中心のオーソドックスな合唱団の演奏スタイル、後半はエレクトーンが加わり聴衆の多くを占める地元出身者のふるさと心をくすぐる演出を加えて進められた。この合唱団もエレクトーンとは長期間にわたる付き合いがある。1993年に菊地雅春氏作曲のミュージカル『ムジカ』にはじまって、今回までおよそ10回ほど共演、シンフォニックなサウンドでコーラスに彩りを加えてきた。終演後の聴衆の感想としては…想像を遥かに超えたレベルの児童合唱団、というのが支配的で、ステージから降りてくる子どもたち全員の感動の涙が印象的だった。
総合プロデューサー/山口豊二
エレクトーン演奏/山田千波
2014年4月5日 紀尾井ホール