エレクトーンと生楽器のコラボで奏でるブラームス 東京カントライ第39回定期演奏会

東京カントライは、二期会合唱団初代指揮者・伊藤栄一の音楽を愛するメンバーにより、1974年第1回演奏会をもって始まりました。以来、40年にわたって同じ指揮者の下、歌い続けてきた歴史を持つ合唱団です。その間、伴奏はピアノ、オーケストラに担ってもらっていましたが、伊藤栄一はオーケストラサウンド・エレクトーンの可能性に着目し、第23回定演ではエレクトーン3台による(恐らく世界初の)「ドイツ・レクイエム」の演奏を成功させました。それ以来、エレクトーンとの協演は十数回に及び、弦、管、打楽器との組み合わせなど多様な形態での演奏も試みてきました。今では、カントライとエレクトーンは切っても切れない関係にあると言ってもいいのではないでしょうか。

今回の定演は、信時潔作曲「沙羅」とブラームス「ドイツ・レクイエム」の2ステージ構成という重厚なプログラムです。「ドイツ・レクイエム」は2台のエレクトーン(伊藤佳苗、塚瀬万起子)にハープ(山崎祐介)、ティンパニ(服部恵)が加わってブラームスの管弦楽を奏で、ソリストには佐々木典子(ソプラノ)、福島明也(バリトン)を迎えました。

オーケストラのパートを二人で弾かなければならないエレクトーン奏者は大変ですが、合唱もかなりの体力がいる難曲です。団員の高齢化が進み、また人数的にソプラノ以外のパートが少ない我が団としてはかなりきついものです。また、生楽器と電子楽器のバランスをとるのも難しいですが、そこは指揮者の的確な指示で克服されていました。まさにSelig(幸いなるかな)で始まり、Seligで終わるこの曲に相応しい「音」が醸成されたのではないかと自画自賛しております。

次回の定演(2015年2月7日、紀尾井ホール)では、フォーレ「レクイエム」、ブラームス「愛の歌」などを予定しています。またエレクトーンのお世話になるかもしれません。

東京カントライ/會田和夫

エレクトーン演奏/塚瀬万起子、伊藤佳苗

2014年5月17日 第一生命ホール