合唱「プラス」で新しい感動を! JCAA Presents『The Chorus Plus II』

実にユニークかつ画期的なコンサートであった。表現形態は「合唱」。タイトルに「プラス」とあるように、合唱に何かを加え新しいものが生まれないか、という試みである。主催の「日本作編曲家協会」は、母体は商業音楽のアレンジャー集団であったと聞く。そのメンバーが劇伴等の作曲を始め、さらに純音楽の作曲家が加わり、今や260名を超える大音楽団体である。

まずは、会長である服部克久の挨拶から始まった(開演時刻が18時55分というのもユニーク)。10人の作曲家による10作品。合唱+ギター、+チェロ、+クラリネット、+トロンボーン、そして+エレクトーン。アカペラもピアノもある。ほとんどが初演であることも、そこに意気込みが感じられる。

+エレクトーンの作品は、三枝成彰作曲「信濃川賛歌(柳沢京子 詩)」。栗友会合唱団が大河の荘厳さを朗々と表現し、清水のりこのエレクトーンは、作曲者の意図を活かしオーケストラ・サウンドと電子音(70年代のシンセ音)を駆使してさまざまな背景を描いていた。

合唱は、詩があるものとは限らない。「ピパポ」だけで成り立っていたり(北爪道夫作品)、懐かしい時代のサウンド(響き)を追求したもの(小六禮次郎作品)等々。演ずる合唱は、栗山文昭・指揮「栗友会合唱団」と西川竜太・指揮「混声合唱団 空」そして「女声合唱団 暁」。

特筆は、作品の演奏前または後に、作曲者が舞台に立ち作品の解説をする、あるいは司会者の質問に答えること。私事で恐縮だが、舞台で「一柳慧が…湯浅譲二が…」話している光景に、別な感動を味わった。司会の猿谷紀郎(作曲家)と有働由美子(NHKアナ)との掛け合いも絶妙で、時には作曲家の本音を引き出し会場を和ませた。

重鎮から中堅・若手まで、そして企画意図にあるように「音楽のジャンルにとらわれることなく」、共通に「合唱」を表現手段とした「The Chorus Plus」。これが2回目だがさらに3回目、4回目と続いてほしいと願う。(敬称略)

エレクトーンシティ渋谷・記

エレクトーン演奏/清水のりこ

2014年9月26日 紀尾井ホール