5周年を迎え、文化的な町へ変貌した“えびの” 「第九でえびのを元気に」公演

人口約2万人、山あいの小さな町、宮崎県えびの市で第九を!という無謀な企画は主催者たった一人の強い思いで動き出した。あれから5周年。合唱経験者もほとんどいない状態で誕生したえびの第九は今や、県内外、はては九州外からも集客が望める大きなイベントへと成長した。

えびの第九の最大の特長は、エレクトーンオーケストラの利点を最大限に生かし、第一部に趣向を凝らしたオペラやミュージカルも楽しめることだ。この規模の公演には贅沢すぎるくらいの一流のソリストが彩りを添え、えびの市民合唱団と共にひとつの作品を作り上げるのだ。エレクトーンならではの台詞や演出に合わせてのオーケストラサウンドでの即興演奏や効果音、サウンドを壮大にしてくれる打楽器奏者との息の合ったアンサンブルにより、毎年クオリティの高い公演を可能にしている。

第2部の第九、総勢150名にも達する合唱団のパワーをも、このエレクトーンと打楽器のオーケストラが支えている。第九の重厚なオーケストラ、華やかに鳴り響く金管楽器、70~80人のオーケストラサウンドがたった1名ずつのエレクトーンと打楽器の奏者から奏でられる様に、毎年観客から驚きの声と歓声が聞かれる。アマチュアオーケストラとの共演で行われることの多い我が国の第九公演の中で、世界第一級の理想のオーケストラサウンドに近いえびの第九は、高水準なのではないだろうか。

数年前まで、クラシックの根付かぬ町だったえびの市が立ち見客の溢れる満席の会場で、自然と『Bravo!』の歓声の上がる文化的な町へと変貌を遂げようとしている。我らの第九が、その一端を担えたのではと、胸を張らずにいられない。10周年、20周年とこのえびの第九が益々大きく、長く根付いた伝統の一つとなることを願って止まない。

指揮/佐々木克仁

指揮/佐々木克仁、ソプラノ/西森由美、アルト/小島りち子、テノール/馬場崇、 バス/山本悠尋、エレクトーン/小倉里恵、打楽器/阿部剛、合唱/えびの第九合唱団、 主催/えびの第九を歌う会、代表/小倉真里子

2015年12月13日 宮崎県えびの市文化センター